↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生】辺境伯家の長男 《千客万来》スキルに今日も振り回される  作者: jadeit
領主見習い編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
129/138

第129話 結婚式と、謎の襲撃者

 バンッ!!


 勢いよく神殿の扉が開かれ、外から武器を手にした数人の男たちがなだれ込んできた。


「きゃあっ!?」

「な、何だ!?」


 参列者たちが悲鳴を上げる。


「お頭。どうやら情報通りのようですぜ」

「ああ。……ってことは、あれが“レオン”だな」


 お頭と呼ばれた男は、壇上でアンナをかばうように立っているノアくんを見た。


「お前が“レオン”だな! ケガしたくなかったら大人しくこっちへ来い!」


 男はニヤリと口角を吊り上げると、剣をノアくんへ向ける。白い礼服に身を包み、堂々と立つその姿は、領主の息子に見えなくもない。


「は? 何を言って――」


 困惑するノアくんの言葉を遮るように、男は続けた。


「おっと。抵抗しようなんて考えるなよ?」


 男が目配せすると、部下たちが武器を手に、じりじりと包囲を広げていく。


「ここにいる奴らがケガしても知らねぇぜ?」


 その言葉に、神殿内の空気が凍りついた。


「そうはさせないぞ!」


 俺は怯える参列者たちを守るように前へ出る。


「あぁ? 何だ貴様は!」

「僕は、あちらにいる“レオン様”の従者、“ノア”です」

「は? ちょっ、レオン様――」


 後ろから聞こえたノアくんの声を遮るように、男が鼻で笑う。


「はん! 従者一人で何ができる!」

「いえ、一人ではありません」


 そう言って、エリスが俺の隣へ並び、優雅に一礼した。


「初めまして。メイドの“アンナ”です」

「ちっ! 武器も持ってねぇ使用人が二人になったところで何だってんだ!」

「おや? 僕たちに勝てるとでも?」


 俺の挑発に、男の額へ青筋が浮かぶ。


「……もういい。こいつらを片付けろ!」

「へい! 野郎ども、行くぞ!」


 剣を振り上げた男たちが、一斉にこちらへ襲い掛かってきた。


「あまいね! 行け、ピーちゃん! ≪バードストライク≫!」

「ぐはぁっ!?」


 何羽もの水の鳥が飛び立つと、男たちに突撃して爆散していく。


「こちらも行きます。≪ガイア・キャノン≫」

「うぎゃあっ!」


 エリスが生み出した石の弾丸が、正確に男たちを吹き飛ばしていった。


「なっ!? こいつら魔法使いか!」

「お、お頭! どうしやしょう!」

「仕方ねぇ! 魔法使いは無視しろ! 他の奴らを狙え!」

「へい!」


 数人の男が俺たちを無視して参列者へ向かって駆け出す。


「はっはぁ! 死にやがれ!」

「きゃあああっ!」


 男が剣を振り下ろそうとした、その瞬間――。


 ドゴッ!!


「ぐはっ!?」


 父上の拳が男の顔面へめり込み、そのまま入口の壁まで吹き飛ばした。


「何だ。この程度とは拍子抜けだな」


 父上は襲い掛かる敵の攻撃を軽々と避けながら、呆れたようにため息をつく。


「まったくです」


 少し離れた場所では、ガイルが怒りの形相で男たちを蹴り飛ばしていた。


「息子の結婚式を邪魔するとは……いい度胸だな」

「ひぃっ!」


 蹴り飛ばされた男が、椅子ごと吹き飛ぶ。


「な、何なんだこいつら!?」

「ば、化け物だ!」


 父上とガイルの強さに、男たちが怯み始める。


「お前ら! 何ビビってやがる!」


 お頭と呼ばれていた男の怒鳴り声に、俺は思わずそちらへ視線を向けてしまった。その隙をついて、一人の男が俺の横をすり抜ける。


「しまった!」


 男の先には母上の姿が――。


「くたばりやがれ!」

「母上! 危な――」


 ヒュッ!


 ドッゴォォォォン!!


「……へ?」


 俺の顔のすぐ横を何かが通り過ぎたと思った直後、後方で轟音が鳴り響いた。恐る恐る振り向くと、そこには、壁へめり込んで白目を剥いている男の姿があった。


「まったく。か弱い女性を狙うなんて許せないわ」


 母上は攻撃の構えを解き、服についた埃をパンパンと払う。


「いや、どこの魔物基準の“か弱い”ですか……」


 思わず本音が漏れた。


「むにゅ~~~」


 次の瞬間、俺の頬は母上によって躊躇なく、横に引き延ばされていた。


「レオン。母は今、侮辱された気がしたのですが?」

「い、いえ! 母上は“か弱い”女性だなと言ったのですよ」

「おや? “可憐”が抜けていますよ?」

「……母上は可憐でか弱い女性です」

「まあ。レオンは相変わらず素直で良い子ですね」


 満足そうに微笑んだ母上は、ようやく俺の頬を解放した。


「お母さま、すごいですわ!」

「エレナちゃん強いね!」


 母上の周りでは、リリアーナとノクスがピョンピョン飛び跳ねている。


「ふふふ。ありがとう、二人とも」


 母上は二人の頭を優しく撫でると、嬉しそうに微笑んだ。


「くそっ! お前ら、ずらかるぞ!」


 劣勢を悟ったお頭が撤退を命じ、神殿の外へ駆け出す。しかし――。


 ゴンッ!!


「ぐへっ!?」


 男が勢いよく吹き飛ばされ、その場へ転がった。


「大将! ご無事ですかい?」


 入口には、領兵を引き連れたザックスが立っていた。


「ザックス。遅かったな」

「すいやせん。城の方にも賊が襲って来やして」


 申し訳なさそうに頭をかくザックス。


「そうか。それで被害は?」

「ケガ人はいますが、死者は出てやせん」

「うむ……それは良かった」


 父上が安堵したように息を吐く。


「それにしても、こいつら何者でしょうか?」


 縛られていく男たちを見ながら、ガイルが眉をひそめた。


「レオン様の誘拐が目的みたいでしたけど……」


 エリスがちらりと俺を見る。


「何故かノアくんを僕だと勘違いしてたけどね」


 俺がそう言うと、ノアくんがジト目でこちらを見た。


「というか、何で僕のフリしたんですか?」

「エリス様も私のフリしてましたよね?」


 ノアくんの言葉に、アンナもエリスに詰め寄る。


「え? そっちの方が面白そうだったから?」

「はい。確かに面白かったですね」


 俺とエリスが笑い合っていると、ノアくんが深いため息をつく。


「はぁ~、まあみんな無事でよかっです」

「そうだね。よし、それじゃあ――」


 俺はパンパンと手を叩き、皆の注目を集める。


「結婚式の続きをしようか」

「え!? いや、しかし……」


 戸惑うノアくんの背中を押し、俺は壇上へ向かわせる。


「良いから良いから。ザックス、後は任せたよ」

「へい。お任せください」

「……で、では改めまして、誓いの口づけを」


 若干引きつった顔で司祭様が式を再開する。その後ろでは、領兵に引きずられていく賊たちの悲鳴が響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。