第40話「シゾフさんと勉強」
勉強回じゃ。
ワシらは準備を整えて、次の日シゾフ仙人さんの家を訪ねたのじゃった。ん? 描写が抜けておると? ふむ。
わざわざ言わんでもわかるじゃろう? キスはしたのじゃ。
体液を混ぜないといかんからべろちゅーじゃ。まったく、ここまで言わんといかんとはのう?
幸せそうな顔しとった昨日と打って変わって今日は真剣な顔をしとるルナじゃ。
一応言うておくのじゃが、ジーナとグーシャにもキスしたぞい。せがまれて仕方なくじゃ。
まったく、前の世界ではモテないお爺さんじゃったのに、上位神の作ったこの狐依コンという造形が良すぎて困るわい。
助けた恩もあるとはいえ、少しワシに傾きすぎじゃ。じゃがジーナとグーシャはもう普通の恋はできんからのう。仕方ないかもしれんのう。
とにかく、シゾフさんの元へと行ったワシらは、テーブルにつくように促されたのじゃ。
「改めてコン様御一行、ようこそ。ワシはシゾフ、もう名乗ったよのう? さて、コン様はそもそも神力というものがどういったものかはご存知かな?」
「いや、なんとなくでしかわからんのう。神が持つ力というのはわかるのじゃが」
「神力とは神の魂じゃ。人で言うところの魂力が神にとっての神力であるのじゃ。
そもそも、神力の塊であるコン様が依代なくこの場に立っていられるのも……土や、この家などに使われている木材……つまり木にも神力が強く宿るからなのじゃよ」
「それはおかしいのじゃ。ワシは家などをすり抜けることができるのじゃ」
「何もおかしくないのう。意識して抜けようと思えば抜けられるだけじゃ。すり抜けようと思えば地面からも抜けられるのじゃ」
そうなのか! では試してみようかのう。
「ちなみに試さない方がいい……ああ、してしもうたか」
ワシはシゾフさんの言葉が最後まで聞き取れんと地面を落ちていったのじゃ!
「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ………………」
ワシの声は響かないのじゃ。暫く凄い勢いで落ちていったのじゃが、唐突に柔らかいものにぶつかって弾き返されたのじゃ!
ワシは今度は上昇してどんどん上にいくのじゃ! 何なのじゃ! わけわからんのじゃ!
暫く飛んでいると地面から飛び出て屋根にぶつかり頭を打って、転がったのじゃった。
「し、死ぬかと思ったのじゃ!」
「だから試さない方がいいと言ったじゃろ」
「もっと早く言わんかい!」
シゾフさんには呆れられたのじゃが、ワシだってこうなると知っておったら試さんわい。
「とにかく神力についてはわかったと思うのじゃ。次に魔素じゃ。魔物などの生き物や植物に存在するものじゃ」
「魔素は神力とは違うのかのう?」
「基本は一緒じゃ。じゃが人の欲が生んだもの、それが魔素じゃ。神が生んだのが神力に対し、人が生んだ魔法や魔物が魔素で出来ておるのじゃ」
なるほどのう、わかってきたぞい。巫女は神に選ばれるから神力が使えるのじゃな。
「なんとなくわかったのじゃ。で、巫女が強くなるにはどうしたらよいのじゃ? ルナが困っておるのじゃ」
「巫女は人間じゃ。神よりも神力のレベルアップは遅いのじゃ。代わりに人であるからこそ魔法の才があるのじゃ」
そうか! 巫女は神力と魔素、どちらも扱えるのじゃな。
「儂はその昔、神に選ばれ聖なる禰宜となり、魔法を学び旅した経験があるのじゃ。だから魔法を教えることはできるのじゃ」
そんな経験があったのじゃな。じゃが人より神の方が長生きなはずじゃ。
「お主の神はどこにおるのじゃ?」
ワシは聞いてはいかんかもしれんと思いながら聞きたい気持ちに勝てず聞いたのじゃ。
「言わんでもわかるじゃろ。もうこの世にはおらんのう」
「神様にも寿命があるんですか?」
ルナは聞いたのじゃ。じゃが、それがないのはわかっておる。ワシらはメデサに会ったからじゃ。当然シゾフさんは首を横に振るのじゃ。
「ある魔王と戦い、敗走し、儂を庇って神様は殺されたのじゃ」
「何の魔王じゃ? ワシは魔王を救う旅をしようと思っておるのじゃ。情報は少しでも欲しいのじゃ!」
「そこの二人は弱い魔王だったから懐柔できただけじゃと思うぞい。悪いことは言わん、魔王を救うなどと思わん方がいいのじゃ」
「それでも道を探したいのじゃ。ワシ殺生はあまり好かん。特に相手が人間なら尚更じゃ」
「そうか……まぁそれならそれでよい。儂の神様を殺したのはドラゴンの魔王じゃ」
昔々、シゾフさんが神様と旅しとった若い頃、神力と魔法を鍛え上げ、デス大陸の攻略に挑んだのだそうじゃ。
魔王を倒そうと上陸し少し進んだ先で、ドラゴンの魔王に出くわしたらしいのじゃ。
それは運のない事ではあったのじゃが、奥地で出会わんかっただけマシだったそうじゃ。
一匹、また一匹と、倒せぬまま増えていくドラゴンに、流石に逃げることを選択したそうだったのじゃ。
じゃがドラゴンの魔王から逃げ切るのが難しく、シゾフさんが囮になると言ったそうなのじゃ。しかしその女神様は自分が囮になるから逃げなさいとシゾフさんに言ったそうじゃ。
シゾフさんは納得いかんかったそうじゃが。鳥の分体に体を掴まれそのまま船まで飛ばされたそうじゃ。
途中で分体が消えるのを見て、その神様……鳥依チュン様の死を悟ったらしいのじゃ。
シゾフさんは話しながら目に涙を浮かべておったのじゃ。ワシは思い出させたことを謝ったのじゃった。
シゾフさんの過去、悲しみじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




