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N・A・SーOnline  作者: 想磨
7/22

7-システム上、禁止用語の設定はしておりませんが、罰則はあります

少し下ネタを含みます。ストーリーは少ししか進まないため読み飛ばしても平気です。

 大きく跳んで、軽く跳んで、大きく跳んで、軽く跳んで。


 繰り返している内に、コツのようなものが分かってきた。


 このスキルで真っ直ぐ跳ぶ事は僕には無理だ。


 幾ら微調整をしようと左右、前後にふらふらと傾き、どうしようもない。


 それなら前後左右どちらに行くか分からないよりは少しだけ、前に傾けて必ず前に行くようにした方がまだ良い。


 つまり、最初から前に跳ぶように意識をしておく。


 そこから微調整を重ねて、垂直に近い前方跳躍を作り出す。


「よし、ほぼ垂直だ」


「益々兎らしいな」


「兎で良いよ。もう」


 但し、僕は格好良くて、ダンディズムに溢れた兎を目指す。


 タキシードを着て、片眼鏡をかけて、スマートに敵を倒す。


「立ち振る舞い、着るもの、言動、全てに気を払えば、誰も僕を子供扱いしないに違いない」


「ウルカが何をしようと子供という印象は付きまとうがな」


「タキシードにはそれを打ち消す視覚作用があるんだ」


「ウルカにはどんな服も子供服に見せる視覚作用がある」


 それは酷い言いがかりだ。


 僕は姉さんの趣味に付き合わされて子供服みたいなのを着せられる頻度が多いだけで僕のせいじゃない。


「因みに、制服も何か子供服みたいに見える」


「夢も希望も砕かないでよ!?」


「そろそろ偏食癖も何とかすべきだ。だからきついことも言おう。今のお前は何をしようが子供だ」


「顔がその、えーと、変なのは遺伝なんだよ!」


 父さんも母さんも妙に若いし、姉さんも年をごまかして年下の彼氏を捕まえてる。


 これはもう、一族にかけられた呪いに違いない。


「誰だこんな悪辣な呪いを考えた奴は」


「呪いと言うよりは加護だな。年上に人気だろう?」


「僕は、年下の女の子に甘えられたいんだ!」


 なのに、人生で二回あった告白は全てお姉さんに任せなさい? みたいな口調だから嫌になる。


「小学生でお姉さんも何も無いじゃないか」


「お前の小学生時代は常に二学年は下に見られていたからお姉さんも通るな」


「通らないよ!」


「えいぎょーぼーがいじゃ!」


 僕の叫びにおばばが店から出て来るや否や、大喝した。


 幼く高い声が通りに響き渡り、木霊する。


 けれどやはり怖くない。無理に偉そうにしてる、可愛らしい子供が居るだけだ。


 本当に妹にならないかなあ。


「営業妨害と言うなら、先ずはそこの両生類と爬虫類を片づけるんだな」


「マヨ、子供相手にそこまで言っちゃ駄目だよ。もう少しやんわりと」


「子供に子供と言われとうないわい! さっさと小学校に帰れ!」


「はあ!? 僕は子供じゃないよ! 立派な青年だ! 幼稚園児には分からないだろうけどね!」


「よ、ようちえんじ!? 貴様は目がくさってるみたいじゃな! 良いこと教えてやろう! せーねんとじしょーするならシタノケ生やしてからでないと誰もだまされんぞ!」


「なっ! 女の子がそんな言葉を言っちゃ行けません!」


「さては生えてないな! シタノケが生えてない奴は子供だ!」


 そんな下品な言葉を使うなんて誰が許そうとお兄ちゃん、じゃなくて、僕が許さない。


 それに早く何とかしないと中学生くらいになって思い出したくない記憶が増えてしまう。


「取り込み中悪いが、」


「何!? 今この子の未来がかかってる、重要な局面なんだ!」


「ふむ、それなんだが」


 おもむろにマヨがおばばを指差して、鋭い眼差しを向けた。


「下の毛の意味、理解してないぞ」


「へ?」


 そう言えばこんな子供に下品な言葉の意味なんて分かる訳ないか。


「な、何を根拠に言うか!」


「ならば、シタノケが実は妖怪で大人はそれと戦っている事も知っているのか?」


「何!? い、いや、無論知っておったわい。私も倒したぞ」


「そうか。しかし、大変だったろう」


「うむ。大変だった」


「神出鬼没でいつどんな時に奴らが現れるか分からずただただ身構える日々は苦痛。しかも出て来た奴を始末したとしてもまた奴らは必ず我々の前に現れる。終わりの無い戦いだ」


「終わり、のない」


 おばばの顔が真っ青になって突然、おろおろとせわしなく動き出した。


「しょ、しょようを思い出したゆえ、しつれーする。これ首飾り」


「え、うん、ありがとう。これお金」


「では、これで」


 光の輪がおばばを中心に生まれ、直ぐに子供の姿は消えてしまった。


 これで良かったんだろうか。でも、あの様子だと親に相談するだろうから、大丈夫か。


「それにしてもマヨって子供の扱いに慣れてるよね」


「子供が身近に居るからな」


「へえ、弟? 妹?」


「どちらかと言えば、弟のような感じだ」

 弟のような? 近所に居る子にでも懐かれたのかな。いや、近所にそんなに小さな子供は居ない。


「でも驚いたよ」


「何がだ?」


「マヨに物語を作る才能があるなんて思わなかったよ。シタノケって妖怪は何をモチーフにしたの? 神出鬼没で倒してもまたやってくるなんてストーカーみたいだよね」


 もしそんな妖怪が居たら、姿によっては本当に恐怖心を煽る妖怪になるだろう。


 そんな事を想像していたら、マヨが僕に対して、何か、言い表せない眼差しを向けていた。


「……お前、生えてないだろう」


「はあ!? は、生えてるよ! てか、今の話とそれって関係無いだろ」


「うるさい。さっさと行くぞ」


 マヨはこれ以上何も言わず、さっさと道を歩き出してしまった。


「ちょっと、待ってよ!」


 せめて、何で、何で分かったのか教えてくれたって良いだろう。



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