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貧乏脱出を掲げて冒険者になったら、女神みたいな魔法使いと出会った ~知恵と工夫で難題クエストを一緒に攻略だ!~  作者: 小日向 ななつ


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10:湿原に響くカエルの声

 澄み渡る青空に輝く太陽。

 広がる大地には生い茂った草花があり、僕はそれを見て感嘆の声を上げた。


「わぁー! なんだこれ!」


 大きなカエルが跳ね、イヌ頭が走り回っている。

 飛び回る鳥はどんな名前の魔物だろうか。見たことがないし、生態もわからない。


 点々と生えている木は異様に背が高い。

 何か赤い果実を実らせているけど、あれはなんだろうか。


 すごい、なんだここは。

 ここは本当に大迷宮の中なのか?

 まるで本物の湿原みたいじゃないか。


 僕があまりにも様変わりした光景に目を大きくし、見渡しているとアリサさんがクスクスと笑っていた。

 僕の顔を見つめ、広がる大地についてアリサさんは教えてくれる。


「大迷宮の環境は、時々だけど変化するの。

 どんな環境になって、いつ変化するかは完全にランダム。

 だからその時その時、私達はどう攻略するか判断を迫られる。

 このまま進むか、それとも態勢を整えてからまた挑むか、ってのをね」


「階層を移動するたびに判断しなきゃいけない。

 だから大迷宮ハンバルドは誰も踏破していないっていわれているんですね!」

「そうね。でも、突発的に変化するのは稀だから基本的には気にしなくていいわ」


 アリサさんは朗らかに笑う。

 そんな笑顔を見たおかげか、僕はまた笑顔になってしまった。


 順調に第三階層へ辿り着いたし、クエスト達成はもうすぐできるだろう。

 そう思って僕達は第三階層を進み始める。


「あ、そうだ」


 ふと一つの疑問が浮かんだ。

 それはクエスト達成に必要なアオキノコと解毒草の採取は、環境が変化しても採取できるのか、というものだ。


 すごく気になったので、僕はアリサさんに聞いてみた。

 すると当たり前のように「できるよ」と答えてくれた。


「不思議なことに大迷宮だと環境変化しても、ちゃんと採取できるわ。

 むしろ、普段手に入らないアイテムを手に入れるチャンスよっ」


「じゃあ、もしかしたら珍しいアイテムが手に入るかもしれないんですね!」

「うん! 今日はすごいわよ。これは張り切って探索しなきゃねっ!」


 なんだかアリサさんのテンションが高い。

 それだけ珍しい状況なんだろう。


 僕がそう感じながら足を踏み出そうとしたその時、アリサさんが「待って」と呼び止めた。


 どうしたんだ?

 振り返り、アリサさんを見ると僕の口に手を当ててきた。


「静かに」


 アリサさんは真剣な顔をしながらある方向を見つめる。

 視線の先には、青い毛皮に覆われたイヌ頭の魔物が数体いた。


 赤く輝く目で周囲を警戒しながら談笑している。

 何かと戦ったのだろうか。

 青い体毛に覆われているはずなのに、身体がドス黒く染まっていた。


「このまま伏せて。物音を立てないように気をつけてね」


 アリサさんの指示通りに、僕は静かに伏せる。

 コボルト達は僕達に気づいていないのか、何やら笑った後そのままどこかへ去っていった。


 それを確認したアリサさんは、緊張の糸が緩んだのか大きく息を吐き出し、ゆっくりと立ち上がった。


「危なかったわね。まさかこんなところにコボルトがいるなんて」

「あの、アリサさん。コボルトってそんなに強いんですか?」

「うーん、一体一体はそこまでじゃないけど、集団になったら厄介かな。すごい連携を取って襲いかかってくるわ」


 すごい連携って、どんな連携だろうか。

 でも、アリサさんが警戒するほどなんだから厄介なんだろう。


「どうにかやり過ごせたし、早く行きましょう」

「はい」

「それにしても、なんでコボルトがいたのかしら?

 確か五階層より先に出てくる魔物のはずなんだけど……」


 アリサさんはそう呟き、腕を組んで考え込む。

 よっぽどコボルトのことが気になるようだ。


 しかし、アリサさんがいると頼もしいな。

 わからないことをいろいろと教えてくれる。


 うーん、でもこのままおんぶにだっこだといけないな。

 いろいろと学んで成長しなければ!


 僕がそう考えていると、遠くからドシンッという音が響き渡った。

 目を向けると、そこには飛び跳ねている巨大なカエルの姿がある。

 身体は毒々しい紫に覆われ、トサカみたいなものが頭にあり、頬を膨らませながら「ゲーコゲーコ」と鳴いていた。


 あのデッカいカエルはなんだ?

 そう思っていると、アリサさんが叫んだ。


「あー! ポイズントード!」


 え? あれが今騒ぎを起こしているポイズントードなの!?

 うわぁー、毒々しいな。


 というか、なんでこんなところにポイズントードがいるんだ?

 そう思っているとポイズントードはどこかに身体を向け、跳ねていく。

 どうやら僕達に気づいていないようだ。


 それを確認していると、アリサさんが僕の隣に立った。

 振り返ると、とても渋い表情を浮かべている。


「あの方向は……」


 アリサさんは地図を取り出し、確認する。

 途端に顔をしかめさせた。

 何度も地図を見つめ、そして僕にこんなことを告げた。


「カロル君、あのポイズントードを追いかけるわよ!」

「え?」


 アリサさんに手を引かれ、僕は走る。

 そのまま丘の上へと立ち、目の前に広がる光景に目を疑った。


 泉なのか、はたまた見た目が綺麗な沼なのかわからないけど大きな水たまりがある。

 その水たまりに、いや正確には水辺にたくさんのポイズントードが群がっていた。


「なんだこれ……」


 数は二十、いやもっといる。

 もう数えるのが億劫なほどたくさんいる。

 一体どうしてこんなにポイズントードがいるんだ?


 僕が疑問を浮かべていると、アリサさんが顔を引きつらせていた。


「やっぱり。カロル君、あれ見て!」


 指し示された先に目を向けると、一際大きなポイズントードの姿があった。

 あれは一体なんだ?


「あれは群れのボスよ」

「え? ボス?」

「たぶんだけどね。あのボスを倒さないと、クエスト達成ができないわ」


 アリサさんは眉間にシワを寄せ、困ったように笑っていた。


 そもそも、カエルって群れを作る生態だっただろうか?

 いや、大迷宮の魔物だから常識が通用しないのかもしれない。

 だけどそれよりも、引っかかる言葉がある。


「どうしてクエスト達成ができないんですか?」


 僕はアリサさんに訊ねる。

 するとアリサさんは、顔を険しくさせながら答えてくれた。


「私達が目指す場所。

 つまりアオキノコと解毒草の群生地は、あのボスが陣取っている場所にあるからよ」


 それは、とんでもなく頭を抱える問題だった。

 こうして僕達は、素材アイテムを採取するためにどうやってポイズントードを倒すか、ということを考えなければならなくなった。


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