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貧乏脱出を掲げて冒険者になったら、女神みたいな魔法使いと出会った ~知恵と工夫で難題クエストを一緒に攻略だ!~  作者: 小日向 ななつ


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9:スキルツリー【勇敢な戦士】

 行く手を阻むゴブリンの群れを蹴散らした僕達は、順調に第二階層を進んでいた。

 襲いかかってきたスライムを撃退し、戦闘を終える。


 順調順調っ。

 これならすぐにクエスト達成できるぞ。


 僕がそう思ったその時、不思議な音と共に身体から青い光が放たれた。


「なんだ?」


 妙なファンファーレが頭の中に響くと同時に、身体の奥底から力が湧いてくる。

 この感覚はなんだろうか?


 そんな疑問を抱いていると、アリサさんが「おめでとう」と微笑みながら拍手をしてくれた。


「レベルアップしたね、カロル君。これでスキルを覚えられるね!」


 アリサさんの言葉を受け、僕は自分がレベルアップしたことを知る。


 そういえばエレナさんからもらったパンフレットに、レベルアップに関する説明があったな。


 レベルアップは、様々な経験をすることで起こる現象。

 見たもの、感じたこと、戦いから心を打つ感動など、人生で起きる出来事の全てが糧にあり、冒険者の器を成長させる。


 とあったかな。

 じゃあ冒険者になった僕は、ゴブリンとの戦闘でレベルアップしたってことだろう。


「へぇー、これがレベルアップなんですか。なんだか不思議な感覚です」


「ふふ、そうでしょう。私もレベルアップした時はカロル君みたいにちょっと戸惑ったよ。

 すごく身体が軽くなったし、力も湧いてきたし。まるで別人になった気分だったわ」


「ああ、確かに。自分なのに自分じゃないみたいな感覚がありますよね!」


 レベルアップすると妙な高揚感が生まれる。

 もし一気にレベルアップしたらどうなるだろうか?

 たぶん、腰が抜けて立てなくなるかもなぁー。


「ねえねえ、カロル君。どんなスキルを獲得するつもりかな?」

「スキル、ですか?」

「あ、もしかして説明されてない? じゃあ、私が教えてあげるね」


 アリサさんはそう告げると、懐から冒険者ライセンスを取り出した。

 その冒険者ライセンスに記された名前を指でなぞる。

 途端に冒険者ライセンスは輝き出し、一つの大樹が姿を見せた。


「これは【スキルツリー】っていうんだ。冒険者はこの木を育てることで、様々なスキルを獲得できるわ」

「へぇー。不思議な仕組みですね」


「レベルアップすると、スキルツリーを育てるスキルポイントが得られる。

 職業にもよるけど、スキルツリーはその人が持つ隠された能力を開花させることがあるわ」


 つまり、僕の中に眠っている可能性を引き出せる、ってことなのかな?

 そう考えると、このスキルツリーの育成方針をどうするか決めるのは大切だ。


「でもまあ、ギルドに行けばスキルリセットをかけられるし、最初だからそこまで深く考えなくてもいいよ」

「ギルド様々ですね」

「ただお金がかかるし、全部リセットになるからやるとしたら慎重に決断しないといけないかな」


 僕は初めてのレベルアップだし、その必要はなさそうだ。

 それにしても、スキルか。

 何から獲得しようか。


 そう思いながら僕は冒険者ライセンスを取り出し、自分のスキルツリーを眺めた。


「えっと何々? 【戦闘能力】に【電光石火】、あとは【勇敢な戦士】か。どれがいいんだろう?」

「ちょっと待って! 最後のスキル、もしかして二つ名があるの?」


 なんだ?

 アリサさんがものすごく食いついてるぞ。


「えっと、何かあるんですか?」

「ユニークスキルだよ、その【勇敢な戦士】! 通常だと手に入らないものだわ」

「そ、そうなんですか?」


 僕は勇敢な戦士を見た。

 これがどうして珍しいんだろうか?

 そう思っていると、アリサさんが上目遣いで僕を見つめていた。


「いいな、カロル君。ユニークスキルがあって」

「あの、そんなにいいんですか? このスキルって」

「うん! 滅多に見られないわよ。だから、このスキルがどんな風に育つか見てみたいわ」


 アリサさんは目を細め、僕のスキルツリーを優しく見つめていた。

 それは心を打つ美しさであり、だからなのか傷ついてほしくないと感じた。


「どうしたの?」

「あ、いえ。その、勇敢な戦士にスキルポイントを振ろうかなって」

「うん、そうしたほうがいいわ!」


 アリサさんは自分のことのように喜んでくれる。

 だから余計に、僕はこの人を守りたいと思った。

 僕は【勇敢な戦士】にスキルポイントを振った。


『スキルポイントの振り分けを確認しました』


 途端に妙な声が聞こえた。

 なんだこれ?


『カロル・リーファスは【勇敢な戦士】より、スキル【挑発】を覚えました。

 対象に向けて挑発すれば、自動的に注目を集めるスキルです。使い時には注意をしてください』


「はぁ……」


 なんだか妙な解説をしてくれるな。

 というか、この声は誰?


 僕は気になってアリサさんに声について訊ねようとした。

 だけど、僕の目に美しい青空が飛び込んできて聞きたいことを忘れてしまったのだった。

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