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七章 ジニスと誘拐犯=グレーゾーン

「分からないって・・・、どうゆう事ですか!!ちゃんと説明して下さいよ!」


 はっきりとしない母親の返答に俺は苛立っていた。

 一緒に乗っていた両親が分からないって話があるかい!!

 俺みたいにテレポーターならともかく、春香は普通の娘だ。

 突然居なくなるなんて、あり得ないんだから。


「まあまあ翔威君、少し落ち着きなさい。」


 声のトーンが激しくなっていた俺を、おじさんがトーンダウンさせる。

 そして、おじさんになだめられた俺におばさんが答える。


「私たちが見たのは、バスの中に突然現れた少女が春香に二言三言話しかけたと思ったら。次の瞬間には突然二人とも消えちゃったという事だけ・・・。」


「??????・・・。」


(どういう事だ?連れ去られたのか?誰に??何の目的で???)


 俺は少ない情報の中、冷静に頭の中で情報を整理していた。

 少女、突然消えた、誘拐の理由、能面女ジニス


(突然現れて一緒に消えただと・・・。)


 少女でテレポーター・・・、俺の脳裏に一人の名が浮かぶ『ジニス』。

 あいつがテレポを使っているのを見たことは無いが、今の時点で思い当たる非常識な奴はあいつだけだ。

 でも、誘拐の理由が見当たら無いんだよなぁ・・・・・。

 それに、おまけ能力について知りたければいつでも呼んでくれって言ってたし。

 本人に聞いてみるのが手っとり早いか。

 そうと決まれば、動くが吉日。


「・・・じゃ、俺はこれで失礼します。」


 そそくさと逃げ足の俺に、おばさんの追及のムチが・・・。


「そう言えば翔威君、学校はどうしたの?」


 ほっほっー、言い訳の下手な俺にそんな高等技術が必要な回答が出来る訳ないでしょうが。

 よって、退却宣言です。


「あっ、いやっ、その、あはっ、あははっ。・・・・・ごきげんよう!」


 不意をつかれた質問から逃げるようにバスの裏手に回り、テレポしてその場から離れた。


「翔威君~!って、あれ?居ないわ??」


 ◇ ◇ ◇


「ジニス!ジニス~!出て来いや~!!!」


 人影の見当たらない裏路地にテレポした翔威が叫んでいた。

 そして建物に反響した声が何度もジニスを奏でる。


「・・・私はここですが、何か御用でしょうか?」


 誰も居ない筈の背後から聞き覚えのある女性の声が。


「うおぉぉぉ~!?っと、いつの間に後ろを取りやがった!!」


 不意をつかれた後方からの返答に翔威が驚きの声を上げる。

 この路地には人影は無かった、やっぱりこいつはテレポが使えるのか?

 となると、やっぱりこいつが犯人か?????


「あなたが私を呼んだからではありませんか。」


 相変わらず事務的で、抑揚の無い喋り方の奴だな。

 現れるなら正面から出てこいっつーの、ひねくれ者が。

 絶対に結婚できないタイプだなこいつは。


(一人で納得する翔威であった。)


「だからって背後から急に現れるなっつーの!びっくりするだろ!」


 翔威の意見は当然である。

 背後に現れたのが、驚かせるためなのか、はたまた現れる所を見られたくないからなのかは分からないが。


「そう、ですか。それは大変失礼いたしました。」


 ジニスの言葉からは反省の色は感じられない。

 むしろ、なぜ自分が責められるのかの疑問が表情に表れていたようだが。

 そもそも、ジニスの喜怒哀楽を見た事が無いような気がするが気のせい?


「ちょっと聞きたい事があるんだけどいいか?」


 こいつが本当の事を話すかどうかは分からんが、今の所怪しいのはこいつだけだし。

 とにかく今はどんな些細な情報でもいいから欲しい。


「私の答えられる範囲でしたら、なんなりと。」


「本当だな?・・・・嘘は無だぜ。」

 

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