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八章 能力と犠牲=詐欺

「おまえ、女の子を誘拐しなかったか?」


 俺はまわりくどい事が大っ嫌いなので単刀直入に疑問をジニスにぶつけてみる。


「・・・私が人さらいですか?特に思い当たる事はないですが。」


 ジニスは翔威を真正面から見据えて、表情を変えずに返答する。


「本当だな?本当に信じていいのか?」


 ジニスは否定しているけど、その言葉だけでそう簡単に信用しろと言うのは無理な話しである。

 今の時点で怪しい人物は、翔威の知っている限りではこいつしか居ないからだ。

 ただ、こいつに春香を誘拐する理由も見出せないのも事実なんだけど・・・。

 まあ、なんの目的で俺の前に現れて何をどうしようかを一切話さないこいつを全面的に信用するなんてできないってのが本音なんだけどね。


「・・・・・・・・それなら、ご自分で確認してみてはいかがですか?」


 少し間を置いてジニスが口を開いた。


「・・・どうゆう事だ?」


 ・・と言う事は自分が犯人じゃ無い事を証明できる手だてがあると言うのか?

 犯人を知っているのか、それとも本当はこいつが犯人でカミングアウトとか・・・。


「おまけ能力の一つを使い、時間を遡りご自分の目で確かめてみればよろしいかと。」


 ????????いやいやいや、それは現実的に無理だろ!?

 テレポだけでも非常識なのに今度は時間旅行かい!!こいつの話しはいつでも俺の右斜め上を行き過ぎじゃ!

 もし、気軽に過去に行けるなら競馬やロト6なんかで大儲けできるんじゃんか!!

 でもなあ・・・、テレポートだって本当にできるようになったしなあ。

 信じられんけど、春香の手がかりを見つけるにはこいつに頼るしかないか・・・。


「ただし、一つ注意点があります。あなたのメインスキルであるテレポートに関しては、何も犠牲にする事無く使用できますが。おまけ能力の数々はその使用と共に犠牲が伴いますが、それでもよろしいでしょうか?」


 微妙に言い回しがきついよなこいつは、もうちょっとこうフレンドリーに話せってんだ。

 顔はお人形さんみたいに可愛いのにギャップありすぎ、俺にはそういう萌え要素は無いし。

 ましてや、ドMでも無いんでうれしくも楽しくもないやい!!

(春香もSのような気がするのは気のせいか・・・。)

 ・・・って事は実は俺ってMなのか!?

 え~!俺は攻めたいんだ!攻めて攻めて攻めて、その頂点にある『極み』を・・・・・・。

 ・・・・・・・、何の話だっけ?何か思考が脱線?支離滅裂?

 冷静に思い出せ・・・、おっと今はSM議論なんかしてる場合じゃなかった!!!!

 本題に戻らねば。


「・・・犠牲ってなんだよ。」


 翔威が後ずさりしつつ、眉をひそめながら聞き返す。


(まさか腕の一本とか足の一本とか、はたまた俺の大好物であるイカリング禁止令とか言うんじゃ・・・。)


「一回の使用ごとに、生まれてから百日分の記憶が消去されます。」


「・・・俺の・・・記憶だと・・・。」


 この条件を聞いた翔威は腕を組み、なにやら考え始めた。


(記憶の消去・・・・。まあ何回か使うくらいなら、消えるのは赤ん坊の頃の記憶か。)

 使いすぎなければ多分・・・大丈夫・・・だよな??


「どうなされますか?」


 こちらの思慮などお構いなしに事務的な応答を返してくるジニス、その言動と佇まいはロボット的な印象を受けてしまう。


「使うに決まってるだろ!!」


(春香の手がかりをつかむ為なら、俺の記憶ぐらいくれてやる!)


 春香の為なら、翔威はたとえ腕一本の犠牲でもイカリング禁止令でも首を縦に振ったであろう。

 それほど今の翔威は春香への思いが強くなっていた。


「あと補足ですが、過去は半年まで。未来には『今は』行けないと言う制限がかかっていますのでご了承ください。」


「・・・?なんだ、その半端な制限は?」


 テレポートもそうだけど、なぜにいちいち制限付きなんだ??なんで未来には行かせないんだ??

 制限無しだとこいつに何か都合の悪い事でもあるんかいな?実は俺の命は明日までとか・・・。

 なあ~んて、どうせ聞いても答えてくれないんだし、余計な事は考えるのやめましょ。


「・・・きっと、分かる日が来ると思いますよ・・・多分。」


 ウキ―――――!!!やっぱこいつ腹立つぅぅぅ!!多分ってなんじゃ~!・・・まあまあ、おさえろ俺。

 今は春香の事が最優先だし、これ以上は時間が勿体無いので細かい詮索は後日にしてとっとと時間を遡ろう。


「で、どうすればいいんだ?教えろ。」


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