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六章 父親と母親=オオカミ少年

(ここからなら一回のテレポで行けるかな?。)


 翔威の学校は空港から十キロ圏内に位置していた。

 しかし、空港行きのバスなんて沢山走っているし、春香がバスで空港に向かったかさえも知らない。

 でも翔威は嫌な胸騒ぎをずっと消せずにいた。

 とても、教室でじっとなどしていられない、まずは行かなきゃ!

 思い立ったらすぐ行動、おもむろにポケットから地図を出して空港と高速道路の位置関係を確認する。


「ここらへんかな?」


 自分の見えない所へのテレポは面倒くさいな。

 地図上で事故が起きたらしい場所を大まかに把握してと、あとここからなら七キロちょいぐらいかな?


 翔威のテレポは自分の見えている範囲へのテレポなら問題無いのだが。

 見えていない場所へのテレポは、地図上で正確な距離を測定しておかないとちょっと怖い事になるらしい。

(ジニスにかなり脅されたらしい。)


「行くか。」


 瞬きと共に景色が高速道路の景色になっている。


「パァァァァァァ――――――――――――!!!!!!」


 何事!?!?!?車のクラクションか???

 音の方を慌てて確認すると、自分は車道に立っていて、自分に向って車が突っ込んでくるぅぅぅぅぅぅ!!!!的な状況に陥っていた。


「ハァァァホゥォォォォォォ!!!!!!」


 オゥ!!テレポの着地点が車道だったようですネ!!などと冷静に現状分析してる場合じゃねぇっての!!!!

 ど、どうする!?視界に中央分離帯が映ったと同時に速攻テレポ!!

 ぎりぎり皮一枚の差で轢かれなかったようだ。


「ふゥ――――――――。やれやれだな。」


 落ち着いた所で改めて周囲を確認すると、あれま!?

 運の悪い事に事故で不通になっている車線では無くて、普通に流れている車線に着地しちゃたのね。

 こればっかりはテレポの前に認識のしようがないじゃんか!

 まあ、以後気を付けるようにしようっと。


 それよりも春香は?バスはどこだ?

 今度は周囲の捜索範囲を広げて見渡してみると救急車や消防車が沢山集まっているば一角が確認できた。


「あそこだな・・・。」


 今度は慎重に位置確認しつつテレポしてその場所へと向かった。


 ◇ ◇ ◇


 闇の中静かに佇んでいるジニス。

 その周りに生物の気配も無い。


「思ったより時間がかかりそうだな・・・・・ヒールを増やすか。」


 ぼそりと呟いたこの言葉の意味を翔威が知るのは、まだまだ先の事である。


 ◇ ◇ ◇


 現場はバス、乗用車、大型車などが絡んだ事故のようだ。

 警察、消防隊員、救急隊員などが慌ただしく動いている中にバスを探す翔威の姿があった。

 十数台ほどがぶつかり合っている中の先頭にいるバスに翔威が気がついたようだ。

 

 バスは、他の車たちに比べて損傷の程度は軽いようだ。

(後方をぶつけられているぐらい。)

 乗客も全員車外に脱出したようで、バスには誰も残っていなかった。


 これくらいなら、乗っていた人達も大した怪我はしていないだろう。

 最悪の結果は無いだろうと胸をなでおろしていた時に、翔威は人垣の中から春香の両親を見つけた。

 急いで駆け寄り話しかける。


「おじさん、おばさん、春香は?」


 翔威にとっては、春香の両親も小さい頃からの付き合いなので気心が知れた物である。

 両親の無事を視認で確認した翔威は、春香の安否を確認しようと問いかけた。


「おっ?翔威君。なぜ、ここに?」


 春香の父親は落ち着いた様子で、普通の人が当然に思うであろう疑問を返してきた。

 本来なら学校に行ってる時刻、誤魔化すしかないのだが、どう言い訳したら良い物か悩んだ揚句に口からでた言葉は。


「いや~、ちょっと近くをと通りかかったもので。」


 そんなん、『ここ』では理由になら~ん!本来歩いて登れんじゃんかよ!!

 翔威が自分が言い訳が物凄く下手だということに気付いた瞬間であった。


「・・・ここ高速道路上だけど?」


 ウォォォォ――――!そう返してきますか、至極当然の返しでありまする。

 しか~し、言い訳が下手なのはさっきので自覚したので俺は強引に話題を戻そうとする。


「それより春香は?どこにいるんですか?」


 春香だけがいない状況を見て、てっきり怪我をして救急車で運ばれたんだと俺は思っていたのだが。


(でも救急車で運ばれたなら、母親も一緒に乗って行くよなぁ。)


「それが翔威君、私たちにも分からないのよ。」


 ?????分からないとな?????


 俺の問いに答えたおばさんは『何がどうなっているのやら』という表情を浮かべていた。

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