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三章 あなたと転校=トラップ

 腰まであるサラサラな長い銀髪に深い紫色の瞳。

 その顔立ちは綺麗に整っていて、顔の一つ一つのパーツが翔威の好みと一致する。

 もし翔威が福笑いで好きな顔のパーツを集めていくと最終的にこうなるだろうなっていう。

 ジニスとのファーストコンタクトで感じた翔威の印象。

 そしてセーラー服がとてもお似合いの謎の少女、今はそれしか翔威にも分からなかった。


「・・・・・本当に、それでよろしいんですね?」


 そこは、周りの建物たちが影を落とさなくなった世界だった。

 その全てが破壊しつくされた街の片隅でジニスは誰かに問いかけていた。


「そこに僅かな可能性しか無くても、これしか方法は無いからな・・・。我々の責任を押しつけるようで心苦しいが、俺は道なかばで朽ちる身だ。手段を選んでいる時間が無い・・・。」


 歳の頃、四十半ばぐらいで髪の毛の半分は黒の色素が抜けている男性の体は素人が見ても分かる程の深いダメージを負っていた。

 もう長くは持たないであろう男性の周りには、身体活動を止めた無数の人影が・・・。


「あなたの願いは、私が責任をもって叶えましょう。その結果、手段は問わずとも・・。」


 ジニスがその言葉を男に伝えた直後、その場に残されていた最後の命の灯火が消えた。


 ◇ ◇ ◇


「翔威は今日もミスターメディアンだねー!」


 小動物のような仕草、短い髪にディープブルーの瞳、屈託のない笑顔がとても愛らしいボーイシュな春香。

 とても活動的で活発、異性よりも同性からの人気があるのは昔から変わらない。

 いつも俺を陰ながら支え、助け続けてくれた春香。

 それが当たり前だと、ずっとそれが続く物だと思っていた。

 春香が遠くに行ってしまうなんて、女々しいと思われても俺は嫌だ!!!

 納得なんてできやしない!!できるなら転校を阻止してやりたいぐらいの気持ちだ。

 ただ、春香の方は転校を間近に迫っているのに、俺への接し方はいつもと変わっていなかった。

 そして、お互い会話の中で転校の事については触れられずにいた。


(でも、浩二には転校の事話してるんだよな・・・。)


「ちょっと~!翔威ってば今日反応がじじい化してるよ。」


「・・・あっ、ちょっと考えごとを・・・。」


「もしかして、お昼にあげたパンの賞味期限が一週間過ぎてたのバレた?」


 小悪魔的な表情で、そしていつもと変わらない俺への悪戯(いやがらせ?)。

 おまえは寂しくないのか?俺は、おまえの本心を聞きたい。

 俺と同じように切ない気持ちでいるのか。

 聞きたいけど、そんな勇気も無いしな・・・・・・。


「うげっ!全然気づかなかった!!」


 よくまあ毎回毎回、幼稚な悪戯を仕掛けてくるもんだ。

 小学生の頃だったか、浩二も含め三人で海に行った時なんか。

 二メートルくらいの深さの落とし穴に埋められて、三途の川で両親とお菓子を食べながら雑談してたし・・・・。

 中学生の修学旅行ではフェリーから突き落とされて・・・、デッキ上から春香が大笑いしてたのをハッキリと覚えている。

 そして、なた三途の川で今度はじいちゃん、ばあちゃんにケンタッキーを御馳走になったっけ・・・・・・。

 う―――――ん、あまり(かなり)いい思い出が無いような気もするが、気のせいだな、うん。


 でも、北海道って遠いよな・・・・、ここ(東京)から何キロあるんだろう?

 何回、いや何十回テレポすればたどり着けるんだ?

 テレポの距離の縛りをジニスに交渉して解除してもらった方がいいかな~。

 じゃないと、この心地よい(そう思うってことは、やはりM?)春香との関係が疎遠になってしまう。

 それが、どうしようも無く不安で(S役が居なくなるからか?)。

 考えたくないのに、ずうっとその事ばかりが頭を巡っていた。

 今まで春香の事を異性として意識した事は無いが(翔威の認識は可愛いメスゴリラ)

 離れ離れになる事実が、少しだけ翔威の春香への気持ちに変化をもたらしていた。

 当の本人は鈍感なのではっきりと気付くまでには時間がかかると思うけど。

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