4.メルトロー前侯爵邸①
こんにちは。
今まで乗ったことないような豪華な馬車に乗っているリーリエです。
こんなに座り心地のいい馬車は初めてで、見える景色も違う気がします。
いつもの街並みを少し高い位置から見下ろすのは新鮮です。
「リーリエさん?そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。メルトロー前侯爵夫妻は穏やかな方たちだから」
現実逃避しているリーリエの目の前で爽やかな笑顔を見せているのは、神官長のニコラス。
驚くことに、リーリエの父親の話を聞いて二日後には、メルトロー前侯爵から教会へこの立派な馬車が迎えに寄越されたのだ。
いつも無表情な護衛のレオナルドも一瞬、目を丸くしていた。
ニコラス神官長からリーリエの父親の話を聞いた時、扉の外にいたレオナルドにはまだ、父のことを話してなかったから、余計に驚いたに違いない。
今は、御者席の隣にいるので、その表情は分からないけれど。
最近、無表情のレオナルドの表情を崩すのがちょっと楽しくなっているリーリエだが、残念ながら今回はレオナルド以上にリーリエの目が大きく見開いてしまって、密かに負けた気分になっていたりする。
祖父母に会う選択が正しかったのかどうか。
色々と不安を抱えていても、教会からそれほど離れていない場所に前メルトロー侯爵が暮らしている別邸はあるので、三十分もすると、あっさりと到着してしまった。
馬車から降り立ったリーリエは口をポカンと開けて、目の前に広がる光景を見つめた。
そこには西洋のお屋敷ってこんなだよねって頭に思い描いたままの大きなお屋敷と綺麗に整えられた広い庭園が広がっていた。
使用人たちが出迎えてくれるけれど、リーリエの服がメイドのお仕着せより貧相な気がして仕方ない。
持っている服の中では、一番いいワンピースを選んだというのに!
恐るべし、侯爵家!
「ようこそおいでくださいました。お久しぶりです。ニコラス神官長」
いかにもこのお屋敷のご主人といったオーラを漂わせている少し年配の男性とニコラスは顔見知りらしく、挨拶している。
少しでも、自分の貧相な格好が隠れないかと、ニコラスの影にひっそりと立っているのに、男性の隣の上品なご婦人から視線をひしひしと感じる。
リーリエが居心地悪そうにしているのに気づいたのか、男性がこちらを向いてにっこりと微笑んだ。
「はじめまして。リーリエさん。ジョルジュ・メルトローです。そして彼女は妻のシンリー。よろしくね」
男性のその瞳は、リーリエと同じ紫紺の色をしていた。
ジョルジュの妻のシンリーはリーリエを見て、涙ぐんでいる。
「初めまして。リーリエです。よろしくお願いします」
慌てて挨拶を返して、頭を下げた。
貴族的な礼儀作法は知らないから、多少の無礼は許してもらえますように…
ご覧いただきありがとうございます!本作はアルファポリス様からの移行作品(手直し版)となります。すでに全話書き溜めがありますので、これから毎日複数回、一気に出し切るペースで爆速更新していきます! 途中で止まる心配はありませんので、安心して楽しんでいただけたら嬉しいです。「続きが気になる!」「リーリエ頑張れ!」と思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】や【ブックマーク】で応援していただけると、更新の大きな励みになります!




