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【完結・番外編追加】もしかしてヒロインなのでしょうか?断固拒否ということで(※ざまぁ回避のため頑張ります・本人談)  作者: 桃田みかん


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19.学院祭

「今日のリーリエさんは一段とかわいいわね」

「スージー様こそ、クールなメイドさんっぽくて素敵です」

 リーリエとスージーはお互いを褒め合い、きゃっきゃとはしゃいでいる。


 装飾のない紺色のワンピースにに白いフリルの付いたエプロンを身に纏い、ハーフアップにしたピンクブロンドの髪にはホワイトブリムを付けて、気分はすっかりメイドのリーリエ。


 以前に行ったカフェのウェイトレスの雰囲気を真似たら、メイド風になったのだ。



 あっという間にやってきた学院祭。

 


 結局、生徒会として模擬店を出すのではなく、希望者を募ってやってもらうことになった。

 生徒会役員は他の会場や催し物のチェックも行わなくてはいけないので、これだけにかかりきりになることはできない。


 比較的仕事の少ないリーリエを中心として、生徒会役員はできる範囲でお手伝いという形だ。

 カフェで出すお菓子は全て、リーリエ以外の役員から提供されてるので、あとはお皿に盛るだけの状態になっている。



「リリー、あの、メガネはかけなくていいの?」

 開店前に様子を見に来たパトリシアが、リーリエの装いを笑顔で一頻り褒めた後、思い切ったように耳元で囁いた。


「メガネ?」

 キョトンとした表情で問い返す。


 もう既にメガネ無しの顔をみんなに見せた後に、あのメガネを掛けても意味がないかと、あれからは掛けていない。


 修理から戻ってきたメガネは、メルトロー前侯爵にいずれ返さなくてはいけないかと思って部屋で保管している。


「えっと、今日は学院外のお客様もたくさんいらっしゃるから」

「???そうね」

 パトリシアの言いたいこと分からず、首を傾げる。


「リリーって、目立ちたくないからあのメガネ掛けてたのよね?」

「そうね?」

 だから何なのか、さっぱり分からない。


「特に貴族の目を気にしてるんじゃないの?」

「?貴族の?」

 気してたのは、攻略対象者候補たちの目だけど?


 候補筆頭のライハート殿下がパティを溺愛してるのが分かったし、気にするのがバカらしくなったのもあって、メガネを掛けなくなって三ヶ月以上経つのに、なぜ今更?


 リーリエの不思議そうな顔を見て、パトリシアも不思議そうな顔になる。


「え?違うの?分かっててやってるんじゃないの?」

 パトリシアの小さな呟きはリーリエの耳にまでは届かなかった。



 結局、どういう意味なのか聞く間も無く、ライハートに呼ばれて、パトリシアは名残惜しそうに去っていった。



「うわー、すごいキレイ!」

 カフェに入った途端にその光景に、誰もが目を奪われる。

 

 魔法学院らしく、あちらこちらに魔法が使われているのだが、ここカフェでは水の中をイメージして、ライティングを工夫している。

 ライトは魔力を注いで光る魔道具なのだが、その術式を少し書き換えて、注ぐ魔力の属性で光る色が変わるようにしてあった。

 リーリエが魔力を注いだライトは虹色に光っている。

 それを乱反射させて、水の中にいるような不思議な、雰囲気にしていた。

 内装もそのイメージで統一している。


 もちろん、プロであるシェフによって作られたスイーツの数々も大好評だ。




「注文お願いできますか?」

 少し離れた席に座った若い男性二人組が、リーリエに向かって声をかけてきた。


「はーい。少しお待ちください」

 リーリエはあちらこちらから声がかかって非常に忙しくしていた。

 それでも、お待たせしないように急いでその席に向かう。


「チーズケーキと紅茶を二つずつお願いします」

「チーズケーキと紅茶を二つずつですね」

「ねぇ、君、かわいいね。名前なんていうの?」

 男性にオーダーを聞きに行くと、かなりの確率で同じような会話が繰り返されている。


「ありがとうございます。わたしなど名を名乗るほどではこざいませんわ。すぐにお持ちいたしますね」

 にっこり笑って、席を離れる。


「チーズケーキを二つお願いします」

 厨房となっている場所に戻るとオーダーをまず通して、リーリエは紅茶を淹れる。


「大丈夫?リーリエさんはたくさん声が掛けられるから。少し休んで」

 スージーが心配そうにリーリエを見た。


「全然大丈夫ですよ。わたしは食堂で鍛えてましたから」

 こんなこと、マイルズ亭で働いていたリーリエは慣れっこなのだ。


 これくらいでへばってたら、人気食堂のマイルズ亭では働けない。


 普段は働いたりしない身分の人たちだから、こんなに動き回るなんて考えられないんだろうな。


 心配するスージーを他所に、リーリエはチーズケーキを二つ受け取ると、トレイに紅茶と共に載せて注文を受けたテーブルに運んで行った。



「リーリエさん目当ての客、多すぎ」

 スージーは動き回るリーリエの後ろ姿を見ながら、疲れたように呟いていた。

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