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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
最終章 覚醒の刃

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88/90

第13話 覚醒

——適合完了——


【ユニークジョブ:勇者】


 ユニークスキル獲得:【聖剣武装】 / 【制限解除】


 全身から力が湧き出る。


 魔王の外装を貫ける——そう感覚的に理解した。

 さらに、全スキルのクールタイムが消失していることに気づく。


 まだ有利になったわけではない。

 ようやく土俵に立てただけだ。


 魔王は、依然として優雅な足取りでこちらに近づいてくる。

 その余裕こそが、最大の隙だ。


 警戒される前に、私の最大火力を叩き込む。


——【雷遁】——



——世界から色が消え、静寂が支配する。



 この世界でも、魔王は反応してくる。

 最大のチャンスは一度きりだ。


 地面を爆ぜるように蹴り、最短距離で魔王へ肉薄する。

 月影(アルテミス)に、凝縮された紫電を纏わせた。


 魔王の顔に、呆れたような、あるいは嘲るような色が浮かぶ。


——そうやって、最後まで油断していろ。


 ユニークスキル——【聖剣武装】発動。


 ナイフに強烈な黄金の光が灯る。


 その光を見た瞬間、魔王の瞳に初めて戦慄が走った。

 奴は即座に回避態勢へ移行しようとするが、もう遅い。


 私は渾身の力で、ナイフを振り下ろした。


 魔王は致命傷を避けるべく体を捻る。

 だが、光を帯びた刃は奴の右腕を捉えた。


 これまでとは明確に違う。

 初めて——刃が魔王の外装を通り過ぎる。


「ガァアアアアアアア!!!」


 絶叫。

 右腕が断ち切られ、荒れ狂う雷が奴の傷口から全身を焼いていく。


 一太刀で沈めることは叶わなかった。

 しかし、ずっと無傷だった奴の体に初めて傷がつく。


 追撃の一閃を放とうとした瞬間、魔王は猛然と後退した。


「——瞬間回復」


 傷が、音もなく塞がっていく。


 だが——

 切断された右腕までは再生せず、その断面は残ったままだ。


「勇者は完全に滅ぼしたはずだ……。なぜ、勇者がここにいる!!!」


 常に余裕を崩さなかった魔王が、初めて声を荒らげ、動揺を露わにした。


 勝機だ。

 ここで油断はしない。


 再び魔王に向かって走り出す。


「チィ……【狂化ベルセルク】!!」


 魔王が叫ぶと、奴の身を禍々しい漆黒のオーラが包み込んだ。

 かつてフーガが見せた強化スキル。


——速い!


 ナイフと奴の爪が激突し、凄まじい火花が散る。

 その衝撃に耐えきれず、私は後方へと弾き飛ばされた。


 速度は互角。

 だが、純粋な力はこちらが僅かに下回っている。


 私が吹き飛ばされたのを見て、魔王は僅かに落ち着きを取り戻した。


「多少驚いたが……もう一度、過去と同じことをすればいいだけだ」


 魔王が左手をこちらにかざす。

 その掌にどす黒い闇が凝縮された瞬間——フーガが横から割り込み、私を抱えて強引に場所を移動させた。


 直後、私たちがいた地点に、すべてを呑み込むような黒い渦が発生する。


「気をつけろ。奴の『次元転送』だ。あの渦に入れば、どこへ飛ばされるか分からん」


 フーガもまた、漆黒のオーラ——【狂化】を纏っている。


「……ありがと」


 素直に感謝を口にすると、フーガは短く鼻を鳴らした。


「フーガァ……どこまでも邪魔をするか!」


 魔王の標的がフーガへと移る。

 戦況は再び拮抗し始めた。


 この均衡を崩すには、もう一押し、決定的な一打が必要だ。


(……そうだ、適合個体)


 アラヤが玉野さんたちをそう呼んでいた。

 私と同じ状態になる可能性がある。


 玉野さんたちに視線を向けると、体力の限界か膝をついていた。


「玉野さん。以前、私に言いましたよね? 『部屋の隅で震えて待っておくか?』って」


 私の問いかけに、玉野さんがハッとした表情を浮かべる。


「このまま私に任せて……部屋の隅で震えて待っておきますか?


 風戸さんも、雪奈さんも。限界なのはわかってます。

 それでも——ここで『覚悟』を灯せますか?」


 あえて挑発する。

 玉野さんにはこの方法が効くはずだ。


 玉野さんの瞳に不敵な光が戻る。

 風戸さんは血まみれの顔で「まだ動けるで」と笑った。

 雪奈さんは無言で立ち上がり、氷の結晶を手の中で転がした。


「小娘にここまで言われて、動かんわけにはいかんのぉ。

 ……影殿、先に行っておれ。必ず追いつく」


 玉野さんの力強い言葉を背に、私は再び前を向く。


「期待して待っていますよ」


 視界の端で、フーガが深い傷を負いながらも奮闘している。

 だが、魔王の傷は一切増えていない。


 私は魔王へと肉薄し、月影(アルテミス)を振るう。

 魔王はそれを鋭い爪で迎撃した。


「フーガは援護を! 私が攻める!」


 私の合図で、フーガが絶妙な距離感で後方へ下がる。


 魔王の爪とナイフがぶつかり合う。

 その反動を利用し、私は【影潜伏】で奴の影へと沈み込んだ。


 目標を失い、魔王の体勢が僅かに崩れる。

 その死角——背後から飛び出し、奴の首筋へナイフを突き立てる。


 咄嗟に躱されたものの、刃は奴の左肩に深く食い込んだ。


「ぐっ……!」


 肩が大きく抉れ、奴の左腕の動きに精彩が欠ける。


「この器は限界か……。もう少し、エネルギーを集めたかったが……」


 魔王の口から、どろりとした漆黒のモヤが溢れ出した。

 同時に、魔王の体が糸の切れた人形のように崩れ落ちる。


 漆黒のモヤは、窓を突き破って屋外へと飛び出していった。

 あれが本体なのだろう。


——逃がさない。


 私はモヤの後を追って、窓から飛び降りる。


 空は濃密な瘴気に覆われ、軋むように歪んだ。


 空間そのものに巨大な亀裂が生じ始める。

 漆黒のモヤがその亀裂へと吸い込まれた瞬間、中から天を突くような20メートルほどの巨人が姿を現した。



【個体鑑定:魔神アルナ】

レベル:50

スキル:【次元転送 Lv.8】 / 【暗黒魔法 Lv.7】 /

    【威圧 Lv.7】 / 【瞬間回復 Lv.6】 /

    【鑑定 Lv.6】 / 【魔王覇気 Lv.5】 /

    【吸収 Lv.5】 / 【憑依 Lv.4】 /

    【幽体 Lv.3】 / 【洗脳 Lv.2】 /

ユニークスキル:【次元崩壊】 / 【魔王外装】

状態:不完全 弱点:——



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