表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
最終章 覚醒の刃

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/90

第11話 魔王

——魔王城、最深部への回廊——


 先を行くフーガの背中からは、静かだが刺すような怒りの威圧感が漏れ出していた。


 静寂が支配する廊下を、私たちの足音だけが響く。

 城内からは、不気味なほど兵の姿が消えていた。


「魔王がいる城なのに、警戒が少ない理由は分かる?」


 ふと抱いた疑問をフーガにぶつける。

 

「……ワレは監獄にいたため、確実とは言えぬ。

 だが、侵攻の準備か、兵はすでにお主らの星へ向かっていると思われる」



 すでに、地球への侵攻が始まっている可能性がある。

 フーガの言葉に、心臓の鼓動が激しくなる。


(……大丈夫、岸さんたちがまだ地球にいる。きっと、守ってくれるはずだ)


 そう自分に言い聞かせる。

 今、私がすべきことは動揺することではない。


 元凶を断つことだ。


 無言のまま、私たちは巨大な黒鉄の扉の前に辿り着いた。

 扉一枚隔てているというのに、中から溢れ出す強烈な存在感に、肌がチリチリと焼けるような錯覚を覚える。


 私たちは顔を合わせ、頷き合う。

 ここまでできることはやった。


——行こう。


 迷いなく、その扉を押し開いた。





 玉座に鎮座していたのは、巨大な角と漆黒の翼を持つ存在。

 城の外の銅像で見た、フーガに似た顔立ちの男——魔王。


「……」


 魔王は冷徹な瞳で私たちを見下ろしていた。

 動き出す前に、【鑑定】を叩き込む。



【個体鑑定:魔王アルナ?】

レベル:50

スキル:【次元転送 Lv.8】 / 【暗黒魔法 Lv.7】 /

    【威圧 Lv.7】 / 【瞬間回復 Lv.6】 /

    【鑑定 Lv.6】 / 【魔王覇気 Lv.5】 /

    【吸収 Lv.5】 / 【憑依 Lv.4】 /

    【幽体 Lv.3】 / 【洗脳 Lv.2】 /

ユニークスキル:【狂化(ベルセルク)】 / 【魔王外装】

状態:精神汚染(強)——憑依 弱点:——



——【鑑定】。


 あまり時間をかけるのは良くなさそうだ。

 こちらも分析されかねない。


「……問題ないな」


 魔王がボソリと呟き、ゆっくりと立ち上がった。

 まるで、私たちの戦力をすでに測り終えたかのような口ぶりだ。


「ここまでよくぞ、辿りついたと言っておこう。

 そして、フーガよ。なぜお主は戦いもせず、その者たちと一緒にいる? 敗北に加え、裏切るつもりか?」


 フーガの肩が怒りで震えている。


「ぬかせ! 貴様が兄上を乗っ取っているのは聞いている!

 その体から、今すぐ出ていってもらうぞ!」


 次の瞬間、フーガの姿がかき消えた。超高速の移動。

 気づけば彼は魔王の至近距離に肉薄し、渾身の拳を叩き込んでいた。


 だが、衝撃波が玉座の間を揺らしたにもかかわらず、魔王は微動だにしない。

 フーガの拳を掌で受け止めていた。


「フーガよ。なぜ蛮族共の言葉を信じる? 信じる根拠などないと思うが?」


「根拠などいらん! 拳を交わせば、相手が嘘をつく者か分かる!

 ……今、明確に理解した。貴様は偽物だッ!」


 二人の激突を横目に、私は最も不気味なスキルの詳細鑑定を試みる。


 ユニークスキル:【魔王外装】

 ——特殊な攻撃を除く、あらゆる攻撃を弾く。


 ……は?


 思考が凍りつく。


 それは防御という次元ではない。

 明確な無敵の法則だ。


 だが、鑑定の詳細には「特殊な攻撃を除く」とある。

 特殊な攻撃とは何かを考える。


『影殿、判明した魔王の情報を教えてほしい』


 玉野さんの念話に応じ、鑑定結果を伝える。

 伝えている間にも、魔王とフーガは言葉を交わしていた。


「……ふむ、洗脳が完全に解けてしまったか。ならば、もう貴様は用済みだ。

 滑稽だな。実の兄の肉体に滅ぼされるとは」


 魔王がフーガを煽る。


「キサマァァアアアア!!」


 フーガが完全に激昂し、理性を失っている。

 目にも止まらぬ速さで、拳を放っている。


「……ああ、懐かしい。その怒り……前の世界で何度も見たな」


 ……魔王はこちらに意識を向けていない。

 今がチャンスだ。


「——氷魔法!」


 雪奈さんの氷魔法が魔王を包むが、氷の結晶は魔王の肌に触れる直前で霧散した。


 ……「特殊な攻撃」と聞き、真っ先に「魔力の込められた攻撃」を考えたがダメか。


 他の思いついた手段を実行していく。


 毒スキルによる攻撃。

 目を狙った物理の斬撃。

 巨大化した風戸さんによる押し潰し。


 しかし、そのすべてが魔王に対して意味をなさなかった。

 打つ手がどんどん無くなっていく。


 必死に他の策を思い浮かべる。


(……周囲から酸素を無くすのはどうだろう?)


 いや、仮にできても意味がない。

 ステータスの影響で、呼吸なしでも長時間動ける。


 焦りが部隊に広がる中、魔王が冷笑し、静かに右手を掲げた。


「少しだけ鬱陶しく感じてきたな。——魔王覇気」


 何かが体を通り抜けたような感覚。

 悲鳴すら上げられず、レベル30以下のメンバーが次々と失神し、崩れ落ちていく。


 瞬く間に、立っている者は半分以下に減っていた。

 意識を保っている者たちも疲弊している。


 思いつける策はもう全て試した。

 だが、どれも効果がない。


——あらゆる攻撃を無効化し、立っているだけで精神を削り取る存在。


 ……こんな敵をどうやって倒せばいい?


 背筋に冷たい汗が流れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ