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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
最終章 覚醒の刃

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第2話 花火のように儚く

 朝、カーテンの隙間から光が差し込む。


 眩しさに目を細めながら、意識がはっきりしてくる。

 色々と考えているうちに、どうやら眠ってしまったみたいだ。


 支度をしながら、今日のことを考える。


 ……一旦、英霊のことは忘れよう。


 今は強くならなければいけない。

 どんな選択肢を選ぶとしても、魔王軍と戦うのは決まっている。


 強さが足りずに、結局誰も守れなかったというのは避けたい。

 ゲートがあるうちにレベル上げをしておこう。


 ……ゲートが消えるなら、レベル上げがしやすい個体も消えるということだ。

 

 アラヤと話したから分かる。

 魔王軍と対抗できる人類を育てるためにこの個体を出したのだろう。


 ——その結果、多くの人が死んだとしても。


 頭を振り、雑念を振り払う。

 今はこの個体がいることに感謝し、レベル上げに励もうとゲートに向かった。



*******



 ゲートの中でモンスターを狩っていく。

 戦うときだけは、全てを忘れて集中できる。


 目の前のオーガをナイフで刺す。

 周囲のオーガが私に気づいたが、即座に気配遮断を強めた。

 そして、一気に地面を踏み締める。


 瞬間移動したような高速移動。

 

 オーガが完全に私を見失った。

 その背後に回り、ナイフでオーガの首を刈る。


 機械のように連携しようが関係ない。

 気づかれた後でも、見失うように動けばいい。


 気配遮断がさらに使いやすくなってきたなと思った瞬間——



【スキルレベルが上昇しました】


スキル:【気配遮断 Lv.5】 → 【気配遮断 Lv.6】



 ウィンドウが目の前に現れる。


 スキルを把握するために、オーガとの戦闘を続ける。

 今度は気づかれた後、少し移動しただけで私を見失ったようだ。


 ……さらに影が薄くなった。

 強くなればなるほど、自分が人間から遠ざかり、『星の部品』に近づいていく気がする。


 強くなることに複雑な思いを抱き、ため息が出る。

 その後もモンスターを倒し続けた。



*******

 


 咲との花火大会の待ち合わせ場所に向かう。


 到着すると、咲がすでに待っていた。

 しかも浴衣を着ている。


「天音おそーい! しかも普段着だし……」


 咲がジト目で見てくる。


 ……私も浴衣にした方が良かっただろうか。


「天音は女子高生という自覚がないみたいだねぇ……」


 咲は呆れたような表情を浮かべた。


「屋台を見て回ろう」


 とりあえず、そう言って話を変えた。


 チョコバナナを買ったり、金魚掬いなどをして遊んで回っていると、花火が上がる時間が近づいてきた。


 隠れスポットの花火がよく見える位置に移動した後、時間になった。


 周囲の喧騒が一気に静かになる。

 ヒュウゥゥと空を引き裂くような音とともに、一筋の光が夜空を駆け上がっていく。


 ドン、と破裂音の直後、視界いっぱいに真紅と黄金の大輪が咲いた。

 黒い空が真昼のように照らし出される。


 ……綺麗だ。でも儚い。


 最後は一瞬の輝きを残して煙に変わる。


(私もこんな風に人々の記憶から消えていくのかな)


 花火を見ていると、そんなことが頭に浮かんでくる。

 そして、花火の打ち上げが終わった。


 帰り道、咲が笑顔で話しかけてくる。


「楽しかったねー! 来年もまたこようね?」


 ……あぁ、と思った。

 この笑顔を守るために、力をつけたことを思い出す。


 何もしなかったら、失うかもしれない。

 守るためなら、私は全ての人から忘れられてもいい。


 私は英霊になることを決めた。


「……うん」


 咲から視線を外し、返事をする。


 来年は……きっと一緒に来れないだろう。


 だが、思い出の品は欲しい。


「咲に言おうと思っていたんだけど……初めて作ってもらったナイフが壊れたんだよね。

 次のは、絶対に壊れないくらい頑丈なやつをお願いしてもいいかな? できれば5日以内に。……ずっと、大切に使いたいから」


 私がそう言うと、咲が口籠った。

 咲が何か言おうとしたが、また口を閉じた。


「……もー、大事にしてよね! 頑丈なナイフね。それまでに作っておくね!」


「うん。ありがとう」



 今まで本当に……ありがとう。






 別れ際、咲が私に聞いてきた。



「今からおかしなことを言うけど……天音、消えないよね?」



 そう言われたとき、心臓が跳ねると同時に……流石は咲だなと少し笑ってしまった。


「もー、変なこと言わないでよ。人が消えたりするわけないじゃん」


 咲がじっと見つめてくるが、私は視線を逸らさない。

 手をギュッと握りしめる。


 爪が皮膚に食い込んで痛い。

 でも、その痛みより——嘘をつく方がずっと苦しかった。


 しばらく見つめ合った後、咲が口を開いた。


「そっか。変なことを聞いてごめんね」


「うん……来年も楽しみにしてる」


 最後にそう言って別れた。


 ……何も気づかれなかったと信じたい。

 


*******



 咲と別れ、家の前に戻ってくる。

 自宅前の街灯がチカチカと点滅している。


 その街灯の下に、見慣れないおかしな物があった。

 漆黒で明らかに高級そうな車。


 その中から、ある人物が降りてくる。



「思ったよりも、帰ってくるのが遅いのじゃな……相沢天音殿?


 いや、こう言った方がいいかのう? 影殿、と」

 


——玉野さんが家の前で、待ち構えていた。


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