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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第4章 解明の刃

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第12話 怪獣決戦

 咆哮が聞こえた場所に全員で向かい、近くの崖の頂へと辿り着いた。

 崖の上からなら見渡しやすいためだ。


 ドリューを探していると、崖の下から怒声が響いた。

 ドリューがヤタ王を襲おうとしている。


 ……流石に、ここから飛び降りるのは厳しそうだ。クナイで迎撃できるだろうか。


 そう考えていたときだった。


「ほな、先行くで」


「え……風戸さん!?」


 止める間もなかった。

 風戸さんが崖の縁からそのまま飛び降りた。


 百メートルの自由落下。常人なら、着地の衝撃で肉塊に変わる高さだ。

 少し心配になる。


 だが、落ちていくその背中は、空中でサイドチェストのポーズを固めている。


「筋肉が通りまぁぁあああす!!」


 ドリューが上空を見上げた瞬間——

 真上から降ってきた「筋肉の塊」に顔面から押し潰された。


「ドォォォォォンッ!!」


 地響きと共に土煙が爆ぜ、衝撃波が崖の上の私たちにまで届く。

 ドリューは地面に這いつくばっていた。


 顔面にくっきり跡が残っている。


(うわぁ……)


「ふぅ……ええ刺激や」


 土煙の中から現れた風戸さんは、何事もなかったかのようにポージングを解き、ニカッと歯を輝かせる。


 ……相変わらず無茶苦茶な人だ。


 だが、おかげでヤタ王が助かった。

 ヤタ王が離れていくのが見えた。


「今のうちに、あの崖の中腹へ向かうのじゃ!」


 玉野さんが指示を出す。


 私たちは崖の中腹、高さ三十メートルほどの岩棚へと飛び降りていく。


 ここならドリューの巨体でもすぐには登ってこれない。

 遠距離で攻撃がしやすいはずだ。


「アイテムボックス、開きます!」


 九尾ギルドのメンバーが小声でそう言い、保管されていた大量の投擲武器を取り出した。

 私も消耗用の投擲武器を受け取り、眼下の怪物を見据える。


「……ッ! キサマァァ!」


 立ち上がったドリューの全身から、禍々しい圧力が放たれる。

 空気が重くなり、肌がチリチリと焼けるような感覚。


 完全に激昂し、風戸さんを睨みつけている。

 だが、風戸さんは微塵も動じない。


「これはええ負荷になるわ! もっと強めたってや!」

 

 そんな風戸さんを見て、さらにドリューが苛立っている。


 ……ドリューは完全に周囲を警戒していない。

 今ならここからの攻撃は全部当たりそうだ。


 玉野さんから『大技を発動する故、遠距離スキルを持っているものは合わせるのじゃ!』と【共有】で全員に指示が来る。


 私の【電磁砲】は射程距離が30mほど。

 崖の上からだと微妙に届きそうにない。


 他の人の攻撃に合わせて、クナイを飛ばそう。


 玉野さんの体から数条の焔が渦となり、ドリューに飛んでいく。

 それに合わせて、各々が持つ遠距離攻撃をドリューに飛ばす。


「ガァアアアア!!」


 視界外からほとんどの攻撃がその巨体に当たり、ドリューの全身が傷だらけになった。


 鱗が焼け爛れ、かなり重傷だ。

 

 だが、ドリューには【脱皮】という回復スキルがある。

 このままでは終わらないだろう。


『【脱皮】が終わったタイミングで、また一斉攻撃じゃ!』


 玉野さんが【共有】で再び指示を飛ばす。

 

 少し待ち、鱗にヒビが入り始めた。


——今だ!


 私はクナイを投擲する。

 他の人も遠距離スキルを発動した。


 しかし、ドリューはその状態でも素早く動き、避けられた。


 その巨体が距離を取りながら、皮を脱ぎ捨てていく。

 だが、鱗がまだ少し爛れていた。


 ……避けられたのは残念だが、完全には回復していなさそうだ。


「許さんぞ、キサマラァアアアア!!!」


 激昂して崖に向かってきた。

 そこで風戸さんが立ち回る。


「ワイのことも忘れんといてな! ユニークスキル——【パンプアップ】!!」


 風戸さんの肉体が、咆哮と共に膨れ上がった。

 ミシミシと骨を鳴らし、一瞬にして五メートルを超えるドリューを上回るほどの巨漢へと変貌する。


 絶対にパンプアップで済むサイズじゃない。

 思わず二度見する。


 ……いや、どう見てもサイズがおかしい。

 

「マッスル・ハルマゲドンの始まりや!!」


 ……言ってる意味は分からないが、気合いが入ってそうだ。


 急に巨大化した風戸さんをドリューが警戒している。


 とりあえず私も集中しよう。

 風戸さんを援護するため、クナイを思いっきり投擲する。


 鱗に当たり、少しだけ削れたが……あまり効いてはいなさそうだ。

 だが、ドリューの集中力を削いでいる。


 ——視線が一瞬、こちらに逸れた。


 その隙を逃さず、巨大化した風戸さんの拳が——ドリューの顔面を捉えた。

 丸太のような腕でドリューを吹き飛ばしている。


「……まずはキサマを先に対処してやる!」


 ドリューが完全に風戸さんをロックオンした。


 交錯する槍と筋肉。


「おぉぉおおお! これはホンマええ負荷やで!」


 風戸さんはそう言うが、痩せ我慢なのが分かる。

 風戸さんの体に傷がつき始めた。


 私たちも援護は続けている。

 だが——風戸さんが押され始めている。


 レベル差がやはり大きいのだろう。


 それに、ドリューは周囲を攻撃する余裕まで出てきた。

 ドリューが周囲の水分を鋭い刃に変えて、私たちに向けて放ってくる。


 玉野さんが炎で防いでいたが、何か手を打つ必要がありそうだ。


 風戸さんがドリューを羽交い締めにしようとするが、ドリューの槍がその腕を切り裂いた。

 風戸さんの左腕がだらりと垂れ下がる。


 ……迷っている暇はなさそうだ。


 【気配遮断】を強め、崖から飛び降りた。


(ぶっつけ本番だけど……仕方がない)


 私は右の指先に魔力を集める。これまでの【雷遁】とは比較にならない密度。

 指先に集めた魔力が、今にも暴発しそうに震えている。


 制御が難しい。誤れば、別の場所を撃ち抜きかねない。


 必死にドリューに狙いを定め、風戸さんとドリューが離れるタイミングを待つ。


 まだ我慢だ。

 嫌な汗を流しながら、集中する。


 風戸さんがドリューから離れた。


——今だ!


——【発動:電磁砲】——


 放たれた青白い閃光が、夕闇の集落を昼間のように照らし出した。

 一直線に伸びた雷の光線は、ドリューの硬質な鱗を紙のように貫き、その右肩を派手に爆破した。


 思わず、顔をしかめる。


 ……狙いが外れて、右肩に逸れてしまった。


「ギィイイイイイ!?」


 ドリューの右腕が力なく垂れ下がる。

 だが、致命傷には届かない。


「……ハァ、ハァ……ッ」


 魔力を一気に持っていかれた。

 もう魔力がほとんど残っていない。


 【雷遁】を一回発動できるかどうかくらいだ。


 ドリューが血走った目で私を睨みつける。


「チッ……一度引く! 次はキサマら全員、海の底で塵にしてくれるわ!」


 ドリューは負傷した肩を庇いながら、背後の水の中へと猛烈な速さで飛び込んだ。

 逃げて、回復するつもりだろう。


——逃がさない。


 ドリューを追いかけ、私も水の中へと迷わずダイブした。

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