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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第4章 解明の刃

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間話 契約 ヤタ王視点

——ヤタ王視点——


【ヤタ族集落】


 光の柱が消えていくのを眺める。


 どうやらあの影を纏っていた嬢ちゃんが上手くやってくれたみたいだ。


 少し話しただけでも分かる、誠実そうな者だった。

 ワシの目に狂いはなかったらしい。


 そのことにホッとする。


 少しだけ、嬢ちゃんに伝えられなかったことがあるが、伝わっただろうか。


 ふと思い出す。

 謎の者との契約を。



*******



 ワシらの世界『ガルヴェール』にサハギンどもが現れて、ワシが力尽きようとしていたとき、ある声が脳内に響いた。


『契約を要求。

 承諾確認後、座標を再配置。


 条件設定。

 適合個体と遭遇時——【継承】を実行せよ』


 機械のような声。

 それになぜその情報を知るのだろうか。


 あまりに不気味だ。

 契約をするか、かなり悩んだ。


 ワシら王族に代々受け継がれる【継承】。

 その価値は、ワシらにとってあまりにも重い。


 それにこの声の人物が何者か分からない。


 その声には感情がなかった。

 救済を語っているはずなのに、温度をまるで感じない。


 果たして……信用していいのだろうか。


 だが、元々ここで力尽きようとしていた身だ。

 死んでは元も子もない。


 結局、その契約にとびついた。


 しかし、契約後、追加情報が開示された。

 襲撃してきた奴らが案内した場所に来る可能性もある、と。


 契約した後になってその情報を伝えられたのは釈然としなかったが、結局は受け入れるしかなかっただろう。

 しぶしぶと自分を納得させた。


 そして気づけば、ワシらの街を模倣したような世界へと移されていた。

 多くの者が怪物にやられ、生き残った者はわずかだった。


 それでも生きていることに感謝した。

 失ったものは多かったが、それでも命が続いているだけで十分だった。


 その世界で過ごし始めて、10年ほどが経つ。


 その事件を知らない若い子供も生まれ、穏やかに過ごしていたときに、また怪物共が現れた。

 抵抗らしい抵抗もできず、再び、次々とやられていく。


 ワシは怪物に捕らえられ、檻に入れられた。

 これから何をされるというのだろうか。


 せめて怪物共の腹の足しにはなりたくない。


——そう考えていたときだった。


 影を纏う者がいとも容易く怪物共を倒し、ワシらを救い出した。

 お礼を渡そうとしても、報酬は情報でいいと言われた。


 ワシが持つスキル【共有】を使い、今までのことを教えていく。


 その際、申し訳ないが、嬢ちゃんが考えていることを読み取らせてもらう。


『助けてあげたい』

『怪物共に立ち向かおうとする勇気』

『家族や友人を想う気持ち』


 ……とても心地よい人柄だった。

 この者なら、あの怪物共を倒すことに全力を注いでくれるだろう。

 

 そう考えた瞬間——

 『適合個体と遭遇時——【継承】を実行せよ』という契約が頭に浮かんだ。


 なぜか嬢ちゃんが適合個体だというのが分かる。


 少しだけ躊躇した。

 だが、この者なら【継承】を使うのに惜しくない。

 ワシは覚悟を決めた。


 本当は謎の者のことも伝えたかったが……なぜか話すことができなかった。

 ここは本当の故郷ではなく、模倣された世界だということも。


 話そうとした瞬間——喉が締め付けられた。

 不可視の呪縛のようなものを感じる。

 嫌な感覚だ。


 それでもできる範囲で怪しいと思えることを見せていく。


 死にかけのワシ。

 以前住んでいた、生活感のある街の様子。


 ……少しでも伝わってくれるといいが。


 情報を嬢ちゃんに渡した後は、【継承】を行った。


 ワシの力が一気になくなったが、元々怪物共にも抵抗できなかった力だ。

 ワシには必要ない。


 それにワシはもう歳だ。そこまで長くは生きられないだろう。

 

 その分、嬢ちゃんが怪物共を討伐して、子供たちが生き延びる確率が高くなったと思えば満足だ。

 人生の最後に、一仕事をやり終えた気分になった。

 

 そして約束通り、光の柱を嬢ちゃんが消失してくれた。

 

 あとは嬢ちゃんがあの超巨大なサハギンを倒せるかだが……ワシは祈るしかない。

 そう思っていると、集落に何か激しい音が近づいてきた。


 猛烈に嫌な予感がした。


 重い体を引きずり、外に出る。


 普段はよく聞こえる子供たちの声が聞こえない。


 それに重苦しい気配を感じる。

 この感覚は覚えがある。


 ある方向へ視線を向ける。


『チッ! 気配を感じてやってきてみたが……ここはハズレか!』


 気づけば、集落に超巨大なサハギンが立っていた。

 ワシらの世界を滅ぼした存在。


 顔が青ざめる。

 その威圧感だけで、体が重くなる。


 それでも、子供だけでも逃がそうと指示を出す。

 そして……ワシは決死の覚悟で前に出る。


『あ? よろよろのジジイがなんのようだ? お呼びじゃねぇんだよ!』


 怪物が足を持ち上げた。


(……ワシの人生、ここまでか)


 走馬灯のように今までのことが流れる。


 もしかしたら、嬢ちゃんがこの後来てくれるかもしれない。

 最後に子供たちだけでも生き残ることを祈って——目を瞑った。


「ドォォォォォンッ!!」


 地面が激しく揺れる。

 だが、痛みがない。


 疑問に思い、目を開ける。


 そこには——



——地面を割りながら着地し、ポージングを決めている上裸の男が立っていた。



 太い腕を誇示しながら、こちらを振り向き、「ニカッ」と歯を見せている。


 ……どなた?



————————————————————



後書き?


 重村「天音ちゃん来……お前かーーーーい!」


 重村が立ち上がり、叫んだ。

 テーブルに少しワインがこぼれている。


 ……勿体無い。


 松田「……確かに予想外でしたが、ひとまずはヤタ王が助かったことを喜びましょう」


 松田がテーブルを拭いた後、重村のグラスにワインを注いでいる。

 やはりできる秘書らしい。


 重村が椅子に座り、ワインを飲む。

 どうやら落ち着いてきたようだ。


 重村「それにしても……謎の声の人物は怪しいのう。ワシらのように、どこかから俯瞰して見ているのか……」


 重村が顎に手を当て、その人物について考えている。

 何か分かるのだろうか。

 


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