第11話 新スキル
予定していた合流地点の岩場に辿り着くと、そこにはすでに九尾ギルドと難波ギルドの面々が集まっていた。
今後の作戦について話し合っている。
全員私に気づき、声をかけてきた。
「影殿! 無事で何よりじゃ! こちらも無事に銅像を粉砕したぞ!」
「こっちもバッチリや。多少苦戦したが、ええパンプアップになったわ!」
玉野さんが扇をかざし、風戸さんが汗を拭いながら笑う。
だが、何かを感じたのか、玉野さんが問いかけてきた。
「……影殿、何かあったのかの?」
「……海底神殿の門が開きました。中から、フーガと同じレベル40の敵を確認。名はドリュー」
その場の空気が一変する。
私は短く、だが正確に情報を伝えた。
光の柱はゲートを壊すために必要なエネルギーだったこと。
ゲートは怪物を閉じ込める檻である可能性。
そして、ドリューの持つユニークスキル【崩壊】について。
ゲートの価値観が変わるその情報に多くの者が戸惑っている。
玉野さんも驚いていた。
だが、まずはドリューをどう対処するか決めようと話し合う。
「触れた物を消滅させる……それじゃと前衛はかなり厳しいのぅ」
玉野さんが眉をひそめ、扇を握りしめる。
重たい雰囲気が場に流れていると、風戸さんが前に出た。
「それならワイの出番や! 鍛えた筋肉ならそんなスキルに負けんで!」
風戸さんがマッスルポーズを取り、宣言した。
念のため、私は【崩壊】が肉体に影響しないかは分からないことを伝える。
それでも風戸さんの意見は変わらなさそうだ。
むしろ、なおさらやる気が出たといった雰囲気を感じる。
「ついに筋肉の集大成を見せるときや! それに新しく獲得したユニークスキルを試したいと思うとったところやで!」
……心配だが、風戸さんに任せる方がいいだろう。
ドリューが今どのように動いているかは分からない。
奴は【地中移動】のスキルも持っていた。いつ奇襲されてもおかしくない。
早く見つける必要がある。
直接ドリューと対峙するのは風戸さんで、他の人は遠距離で攻撃していくのが決まった。
(……最悪、私も蹴りなどで戦うことを考えよう)
私がそう考えていると、玉野さんが話しかけてきた。
「念のため、影殿にこれを渡しておくのじゃ」
ゴブリンが持っていそうな棍棒を渡された。
……微妙な気持ちになったが、意味がないものは渡されないだろう。
鑑定してみる。
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【物品鑑定:棍棒】
状態:正常 品質:高品質
スキル:頑丈(中)
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「その棍棒には【頑丈】のスキルがついておってな。
それなら【崩壊】にも少しは耐えれるかもと思ったのじゃ」
説明され、納得する。
玉野さんは風戸さんとドリューのレベル差を心配していた。
万が一風戸さんが耐えきれそうにないときは、私に動いてほしいらしい。
棍棒を風戸さんに渡さなくていいのか尋ねたが、すでに玉野さんは聞いていたらしい。
少し苦笑いしている。
風戸さんが「筋肉以外に必要ないわ!」と言う姿がありありと想像できる。
玉野さんにお礼を言い、棍棒を借りた。
他の人が準備をしている間に、私はスキルの選択画面を開く。
今回は遠距離攻撃が必要だ。
だが、クナイなどの小さい物では、あの巨体にダメージが入るとはあまり思わない。
攻撃を与えるなら、高火力なものがいる。
事前に考えていたものを取ろう。
魔力消費があり、再使用に30分かかるという制約はある。
だが、今の私にはそれが必要だ。
メニューを選択し、スキルを選ぶ。
⸻
【電磁砲 Lv.1】を取得しました。
⸻
脳内にシステムメッセージが響く。
いきなりのぶっつけ本番になるかもしれない。
万が一外しても、ドリューに対して牽制にはなるだろう。
気合いを入れていると、遠くで強烈な咆哮が響く。
……おそらくドリューだ。
全員聞こえたのか、その方向を見る。
不安がないわけではない。
だが、今度は信頼できる仲間がいる。
そして手の中には、新しい武器がある。
再び空気を震わせる咆哮が届いた。
私たちは一度顔を合わせ、頷く。
「行くで! 狩りのときや!」
風戸さんが宣言し、周囲の筋肉たちが雄叫びをあげた。
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後書き?
重村「流石じゃのう。急がないといけないときも情報共有をしっかりしておる」
松田「そうですね。こういうときは、焦ってすぐに敵に向かう人が多いです。
玉野様と言い、流石は代表が選んだ人たちですね」
二人は感心したように話をしている。
重村「じゃが心配じゃのう……無事に帰ってきてくれるのを祈るしかないのは歯痒い」
松田「……その気持ち、分かります。ですが天音様たちは、こういう場面を何度も乗り越えてきました。
きっと今回も無事に帰ってきてくれるはずです」
松田は代表を励ますようにそう言った。
重村「そうじゃな……それに天音ちゃんも切り札を獲得した様子じゃ。
天音ちゃんが活躍して、あの巨大なサハギンを倒すのを期待しよう!」
重村は熱心に応援を始めた。




