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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第4章 解明の刃

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第7話 継承

 ヤタ王と名乗る者の言葉が頭に直接響く。


 この感覚は覚えがある。

 玉野さんに【共有】を使ってもらった感覚と同じだ。


 言語が異なっても理解できることに驚いていると、さらにヤタ王は話しかけてくる。


『他の監視役がここに向かってくるかもしれぬ。ワシらは別の場所へ移動するつもりだ。

 助けてもらったお礼がしたいが、一緒にどうだろうか?』


 少しだけ考える。


 ……もしかしたら、ヤタ王は移動時の警戒をして欲しいのかもしれない。

 だが助けた人たちが、また捕まるのは避けたい。


 了承し、ヤタ王についていく。

 

 私はヤタ王に促されるまま、複雑に入り組んだ岩礁の隙間を通り、隠された集落へと移動した。

 そこは、海底の岩肌を器用に削って作られた場所だった。


 どの家も正直豪華とは言えない。

 集落の奥に入り、その中でも一番大きい家に案内される。


『さて……お礼をしたいのだが、正直手持ちはあまりない。

 何かこの中で欲しいものはあるだろうか?』


 ヤタ王は宝石や大きな真珠を見せてくる。


 だが、それよりも情報などをできれば知りたい。


『貴金属などよりも、情報を教えてもらえないでしょうか?

 なぜここで暮らしているのか。あなたたちはどこから来たのかなど知りたいです』


 私がその言葉を頭に浮かべると、ヤタ王は目を瞑った。


『今から故郷がどうなったか見せる。共有する力を強めるために手に触れてほしい』


 ヤタ王が手を差し出してきた。

 その手を取った瞬間、脳の奥深くに熱い奔流が流れ込んできた。


 視界が真っ白に染まり、ヤタ王の記憶が私に流れ込む。

 それは、どこまでも透き通った海と、海底にある穏やかな王宮の情景だった。


 だが、その平和は一瞬で塗り潰される。


 空がガラスのように割れ、そこからサハギンをさらに巨大化したような怪物が現れた。

 圧倒的な威圧感だ。


 フーガに似た威圧感を感じる。

 この怪物も魔王軍幹部なのだろうか。


 周囲の人たちは身が竦み動けなくなっている。


 その瞬間、私はある違和感に気づいた。


——ゲートを通っていない。


 私たちの世界では、モンスターは常にゲートを通じて現れていた。

 だがこの世界では違う。


 怪物たちは、何の前触れもなく世界に直接顕現したのだ。


 考えている間も記憶が流れてくる。

 このことは後で考えよう。


 その星の強者たちも抵抗しようとしている。

 だが、怪物が腕を振るうたびに人々は倒れる。


 その様子を今よりも若いヤタ王が絶望の表情で眺めていた。


 やがて、大地から光が怪物が持つ何かに流れ出し、星が少しずつ枯渇していく。


 ヤタ王はやがて力尽きたように横になった。

 そこで記憶の奔流は止まる。


『奴らは……星を枯らす者たちだ。故郷を滅ぼし、今もなお、吸い取り続けておる……』


 脳内に響くヤタ王の声には、深い絶望と怒りが混じっていた。


 今もまだ、光が海底神殿に向かっている。

 かつてはそんなものはなかったが、怪物共が築き上げたらしい。


『あれを壊せば……きっと呪縛を、解き放てるはずだ。

 せめて……光を発する場所を止めたい。どうか力を貸してもらえないだろうか』


 ヤタ王は頭を深く下げてきた。


 目を瞑り情報を整理する。


 フーガもほとんど侵略が目的だと言っていた。

 巨大なサハギンもいずれ私たちの星に来る可能性がある。


 少しだけ悩み、返事をする。

 

『……分かった。あの怪物は私が倒します』


 私の覚悟を確かめるように、ヤタ王は力強く私の手を握り返した。


『そうか……そう言ってくれるか! ならば……ワシも覚悟を決めよう! お主の力となるはずだ!』


 ヤタ王の体から、黄金色の光が溢れ出し、私へと吸い込まれていく。

 熱い。全身の細胞が書き換えられるような、激しい衝撃。


 光が消えるたび、ヤタ王の体の輪郭がわずかに薄れていく。

 まるで存在そのものを削り渡しているようだ。



【継承が完了しました】


称号:【ヤタの友】 を獲得

スキル:【水月歩(すいげつふ) Lv.1】 を獲得



 称号とスキルを見ていく。


【ヤタの友】


水中での呼吸と機動力アップ、さらに姿を水に溶け込ませることができる。


ヤタ族との意思疎通が可能になる。


水月歩(すいげつふ) Lv.1】


水中を走ることができる。


Lv.1では、

・使用可能時間:5分

・再使用可能時間:60分


(これは……!)


 水中で、戦闘するのに便利な強力なスキルだ。


 思わず目を見開く。

 そんな私にヤタ王が話しかけてきた。


「……これで話せるようになった……はずだ。

 スキルは……どういったものを……得たかは分からぬが……役に立つのを祈る」


 よく見ると、ヤタ王がかなり衰弱している。

 ヤタ王を鑑定すると、レベルやスキルなど全て失っていた。


 ……力を失って今後どうやって生きるのだろう。


「お主は子供たちのことだけを考えておけばいい」とヤタ王は笑っていた。


 ヤタ王の覚悟が私の胸にのしかかる。

 こんな状態になってまで私に賭けたみたいだ。


 この人たちが過ごしやすい生活ができるようにしようと強く思った。


 それにこの星だけじゃない。

 いずれ私たちの世界も同じ運命を辿るかもしれない。


——怪物は必ず倒す。


 ヤタ王は激しくふらついていたが、その表情は晴れやかだった。


 家の外に出ると、お墓の前で出会った子供が私を待っていた。


「お母さんを助けてくれてありがとう!」


 子供の言葉がはっきりと意味を持って聞こえてくる。


「うん。お母さんが無事で良かったね」


 他の小さなヤタ族の子供も私の周りに集まり、物珍しそうに服の裾を引いたりしてくる。

 

 温かな、どこか懐かしい時間。


 気づけば外は暗くなっている。

 私はヤタ族が用意してくれた、柔らかな海草の敷かれた一角で横になった。

 

 明日のお昼頃に玉野さんたちと合流する予定だ。


 眠る前にふと思う。

 今までの違和感についてだ。


 ゲートを潜り、異世界に来たと最初は考えていた。


 だが、街の家には明らかに生活感がない。

 過去に生活していたのなら食器一つ、衣服の切れ端すら残っていないのは変だ。


 石碑の言葉を思い出す。



『見極めよ』


『虚実が入り混じる世界を』




——ここは本当に異世界なのだろうか?



————————————————————



後書き?


 松田「代表? 代表?」


 松田が重村代表に声をかけている。

 その代表の顔は天国に行ったように朗らかだ。


 ヤタ族の子供が天音と遊んでいる姿を見て、口から何かを吐き出していた。


 ……どうやら尊死したらしい。


 いい人だったなぁ。


 松田「もう……本当にしっかりしてください!」





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