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【ゲート×ソロ成長】孤独な少女は、影を纏い最強へ 〜日常の底で、刃は静かに成長する〜  作者: ショーナ・レーベン
第4章 解明の刃

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第3話 筋肉専門

 目の前には、上裸で筋肉ムキムキの男が20人ほどいた。

 さらに、全員がリズミカルに大胸筋をピクピクさせている。


 ……なにこの集団。


 正直に言おう。気持ち悪い。

 闇纏いのモヤの下で、私の顔はこれ以上ないほど引き攣っていた。


「ピピーッ!!」


 鋭いホイッスルの音が響く。

 音のした方を振り向くと、一人の警官が鬼の形相で立っていた。


「上裸で公道に出るなと何度言ったら分かるんだ!」


 警官が駆け寄り、筋肉の壁に向かって怒鳴り散らす。

 心の中で「もっと言ってほしい」と応援してしまった。


 集団の中から、一際黒光りした大男が前に出た。


「すまへんお巡りさん。でもこれがワイらなりの歓迎なんですわ! 筋肉に囲まれたら、誰だって嬉しいやろ?」


 嬉しくない。

 というか、威圧感で周囲の人たちが避けて通っている。


「……嬉しいわけないだろう! せめてタンクトップくらいは着ろ!

 次またやったらしょっぴくからな!」


 警官の言葉に、大男はヤレヤレと肩をすくめて見せた。

 その動きに合わせて背筋が波打つ。


「お巡りさん、無茶言わんといてください。これは服やない、『大胸筋という名の鎧』や!」


「やかましい! 本当に公然わいせつ罪で引っぱるぞ!」


 結局、彼らはしぶしぶと「これ見よがしに筋肉を強調したタンクトップ」を着用し、男たちは解放された。


 何かが体から抜けた気がする。

 玉野さんを見ると、そんな私を吹き出しそうな表情で見ていた。


 ……絶対に知っていて黙っていたな。


(いつかやり返そう)


 心の中でそう決めた。


 タンクトップの集団がこちらに近づいてくる。

 周囲の通行人が、可哀想な人を見る目で私たちを見ていたのが印象的だった。


 そして、ようやく私たちは難波ギルドへと案内された。



*******



 難波ギルド。そこはギルドというより、巨大な24時間営業のトレーニングジムだった。

 立ち並ぶ見たこともない最新鋭のマシンの数々に、九尾ギルドの面々も圧倒されている。


 先ほどの大男が、【闇纏い】状態の私をじっと見つめてきた。


「ほう……その黒いモヤの下、ええ広背筋しとるな。体幹のバネが普通やない。君、ええ『速筋』の持ち主や!」


 ……筋肉だけで中身を評価されたのは初めてだ。


 それにモヤを纏っているため、筋肉は見えないはずだ。

 私はさりげなく【鑑定】を飛ばす。


【人物鑑定:風戸涼】

レベル:29

スキル:【格闘術 Lv.5】 / 【絶息鍛錬 Lv.5】 /

    【筋肉鑑定 Lv.4】 / 【金剛不壊 Lv.3】 /

    【大地の鼓動 Lv.3】 / 【肉体美 Lv.2】 /

    【縮地 Lv.2】

状態:正常 弱点:遠距離


 ……筋肉に特化されすぎじゃないだろうか?


 筋肉鑑定は対象の筋肉密度を調べると書かれている。

 これで私を鑑定したのだろう。


 なんとなく微妙な気分になった。


 スキルの詳細を見ていく。


絶息鍛錬(ぜっそくたんれん)


周囲の対象に、酸素を必要とせずに運動を継続できる加護を付与する。

筋肉を酸欠状態に追い込み、超回復を促すスキル。


継続時間:約30分

再使用可能時間:1時間


 これを海に入るときに私たちにかけるのだろうか。


 ……筋肉が肥大しそうで嫌だなぁ。


 思わず遠い目になった。


「それにしても……九尾ギルドのもんは、ちょっと筋肉に愛が足りんなぁ」


 風戸さんが玉野さんたちを眺めてボソリと呟く。

 玉野さんは「ワシは後衛職じゃから……」と困ったように苦笑いしていた。


 その後私たちは海中のゲートへどう向かうかを話し合った。


 風戸さんの【絶息鍛錬】と、水圧を無効化する【大地の鼓動】の恩恵を受け、一気に海中のゲートに潜り込む。

 その後はゲート内部の陸に最初は向かい、何か手掛かりを手分けして探す。

 そんな作戦が決まった。


 港に向かうと、海面が激しく波打っている。

 まるで台風のときの海みたいだ。


 普通なら、船を出すのは命知らずだけだろう。


 でも風戸さんが叫んだ。


「大地の鼓動や!!」


 その瞬間——荒れ狂う波が、船の周囲だけ見えない壁に叩きつけられたかのように平伏していく。

 船の周囲だけが穏やかになった。


 ……便利なスキルだ。


 こういうスキルも欲しいなと思った。

 

 私たちは船に乗り込み、大阪湾の沖合へと向かう。

 荒れ狂う海も問題なくスイスイと進み、船が目的地に止まった。


「よっしゃ、野郎ども! ワイらの筋肉、見せつけたるぞ!」


「「「オオオオッ!!」」」


 気合の入った咆哮と共に、男たちがタンクトップをパージする。

 そして、次々と海へ飛び込んでいった。


 ……なぜだろう。すごく心細い。


 玉野さんたちを見ると、苦笑いしていた。


 ……感性が同じ仲間がいてよかった。


 一つ深呼吸を入れる。

 私は意を決して、冷たい海の中へと飛び込んだ。


 ——海中のゲート。


 そこには一体、何が待ち受けているのだろうか。


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