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仲間を増やそう(ただし金で)

「教会?!」

 いつものように詰め所で依頼を受けた時に世間話がてら仲間が欲しいけど酒場の連中は怖いみたいな話をした時に言われたのが「奴隷市場か教会へ行け」である。

「いや、奴隷市場はまだ解るけどなんで教会?」

「ん、金のある教会は孤児院を経営していてな、そこで育ててる子供たちに読み書きや魔法なんかを教えて育ったら貴族の護衛とかにとして紹介して手数料をもらう。悪く言や子供を売ってるのと変わらんがな。んで、金さえ出しゃ誰だろうがそれこそ冒険者にでも売ってくれるってわけよ」

 黒いな教会。

「もちろん奴隷市で買うほうが安いがピンキリだし一から教える手間がない分、高くても教会で買ったほうがいいぞ」

「なんかもう買うこと前提で話しますね」

「だって買うだろお前。酒場の連中に声も掛けられないくらいなんだから。まったくなんでそんなヤツが大怪蟲を一人で倒せるのかねえ……」

「……」

 ほっとけ。

 まあ奴隷は一度考えたのだが物を教える以前に上下関係を教えるのが面倒だなというのがあって手を出さなかったのだ。

 これの手を抜くと逃亡・窃盗どころか主人への反逆・殺害も多くありとても命を預ける仲間や部下として使うのは難しい。

 絶対服従させるアイテムとかがあればいいがそんな物は知らないし危険すぎて一般には出回らないだろう。

 よく奴隷に優しくすると奴隷が感動して臣従するみたいな描写があるがあれはレアケース、主人公補正万歳だ。

 実際やさしくすればつけあがるし罰則がなければ怠けたがるのが人間だと思う。少なくともこの街で売られている奴隷はそんな感じで労働力として管理するならともかく仲間として背中を預けるには危険すぎる。


 さて、ここで教会の場合はどうだろう。

 能力が上がると裏切られた場合の危険も増すような気もするが勉強をさせている分、利害を説けば仲間としてやっていけるような気もする。

 う~んとりあえず行ってから考ええるか。


「じゃあその教会を教えてもらえますか?」

 衛兵はそれみろと一頻り笑ったあと教会の場所と対応の仕方、売買の相場を教えてくれた。

 もちろん、勉強代は取られたが。




 教会、ここは意外と冒険者に縁がある場所だ。

 呪いの解除や武具への魔法付与、そして何よりレベルアップがここで行なえる。

 俺は解呪や魔法付与は必要ではなかったし、チェルのおかげレベルアップできたため教会を利用することは今までなかったのだが逆にそのせいで孤児院のことを知らなかったことになる。

 今日はパーティを組めそうな人をスカウト、というか買うためにここ街の南部最大の教会に来ている。

 ここは魔法の神ファージアを信仰しているので魔法の腕には期待できそうだ。


「すみませーん」

 ノックをして少し待つと恰幅のいいシスターらしき服装の人が出てきた。

 美少女シスターとかでないことに少しガッカリしつつ要件を伝えることにした。

 この際に寄付を渡すことを忘れない。

「私は冒険者で糧を得ているダイチと申します。こちらでご相談に乗って頂きたいことがあり伺わせていただきました。あっこちらはファージア様へどうぞお収めください」

「まあ、ご丁寧に。それでは司祭さまをお呼びするのでそちらに掛けてお待ちになってください」

 少しすると慌てた様子で先ほどのシスターと豪華な格好をした老人、おそらく司祭がやってきた。

 どうやら寄付として金貨10枚を包んだのが効いたようだ。

 金貨10枚ってのがどの程度の価値かといえば一般市民の月収よりすこし少ないくらいで酒場でくだを巻いているような冒険者なら半年は食っていける金額といったところだろう。

「おまたせして申し訳ない。私がこのガーフォーク聖教会の司祭ドルグラントです。ファージア様へのご寄進感謝致します。ファージア様の御加護があらんことを」

 そう言って司祭は聖印を切った。

「なんでもダイチどのは当協会に相談事があるとか」

 やっと本題に入れる。

「はい、私は冒険者を営んでおりますが縁に恵まれず一人で活動しております。こちらで信徒をご紹介していただけると聞き参った次第です」

「なるほど、そうでしたか。ですが私どもが紹介できるのはまだ未熟な者達ですのでダイチどののご期待に添えますかどうか……」

 俺の相談に対して司祭の顔が曇る。

 要約、金が少ない。

 金貨10枚は寄付としては多いが子供を売る金額にしては少ないということだ。

 奴隷ならダースでもお釣りがくるのだがもちろん相場は聞いている。安くて100枚、戦闘に耐えうるようなものなら1000枚は必要になる。

「もちろん大事な信徒をお預かりするのですから寄付とは別に相応の支度金は用意させていただきます」

「おお、そこまで仰って頂けるのでしたら私としても言うことはありません。こちらへどうぞ、寄宿舎へとご案内致します」

 やっと孤児院の方へ連れて行ってくれるみたいだ。

 しかしこの面倒くさいやり取り、本当にほかの冒険者もやっているのか?


協会側も体面があります。いきなり「~で買える奴をくれ」といえば手間はないですがハズレを買わされたりとそれなりの対応をされてしまうので大地のやり方は一応意味があります。

次話でやっと仲間が登場します。

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