レベルアップの精霊
俺は目の前の少女と話をすることにした。
なんか半透明だが先程の犬人間からすれば大したことはない。
「わたしは~レベルアップの精霊チェロラウフといいます。呼びにくかったらチェルって呼んでください~」
精霊か、まあ半透明だしふわふわ浮いてるしそういうもんなんろうととりあえず置いておくことにした。
「お、俺は光野大地、仲間からコウとかダイとか呼ばれてます」
「じゃあダイくんって呼ぶね~」
君付けなんだ。30歳を過ぎているのだが精霊からすると子供と変わらないんだろうか。
見た目は中学生くらいの女の子に見えるのに結構年が……じゃなくて!
「結局レベルアップって何なんですか?」
「レベルアップとは、人間さんや動物さんが日々得た経験を経験値としてこの世界に捧げることで肉体を強化することが出来るんですよ~わたしたち精霊やそういう力を持った人間さんがレベルアップのお手伝いできるんですよ~」
「そういやさっきレベルアップできたのって」
「はい、ダイくんがこれまでの人生で得た経験を使ってレベルアップしました。経験値はお勉強したり働いたりすることで増えるの。あとさっきみたいに魔物と闘うと少しだけ経験値が多く貰えるんですよ~。あと、レベルアップのときには怪我も治って元気もいっぱいになるのです。さっきの戦いでキズだらけになったけどレベルアップしますか~?」
傷が治るとか本当にゲームみたいだな。
そういえばレベルアップ前は死ぬほど痛かったのが直っている。
今は犬人間との殴り合いでも同じくらい殴られたのにほとんど痛みはない。
俺は再度レベルアップして傷を回復したあと先程までの事情を謎の少女に話してみることにした。
すると。
「は~異世界からの訪問者さんですか~はじめて見ました~。じゃあはじめから説明たほうがいいですね~」
「ちょっ、今あっさり異世界っていいましたよね!はじめてってよくあるんですか?帰る方法は!?」
「わわっ、慌てないで落ち着いてください~。じゃあ最初にこの世界と異世界について説明するね」
俺は逸る気持ちを抑え黙ってうなずき続きを促がす。
「ここは生命の大地ゾイアルド。わたしたち精霊は生まれた時からその名前を知ってるけど誰が名前をつけたかは分からないの。同じようにこの世界とは別の異世界がたくさんあるらしいってことも知ってるけどそれだけで詳しいことはしらないの。ごめんね~」
「……」
「それで異世界の来訪者ってたま~にあるのよ~、わたしは会うのはダイくんが初めてだけど。来訪者の共通点は『窓』を抜けてきたってことだけ。『窓』っていうのはダイくんが変な鏡って言ってた世界の継ぎ目のことだね~」
「俺と同じような人が他にも居るのか?」
「う~ん、いるとは思うけど同じ世界とは限らないよ?それにこっちから向こうへ行く『窓』もまれにあるけどどの世界につながってるかは『窓』の景色で判断するしかないし間違っちゃったらもう戻ることもできないよ~」
「じゃあ俺は……」
「変な世界に行くかもしれないから『窓』を使うのは正直おすすめしないよ。ダイくんの世界ほどじゃないかもしれないけどこの世界もいいところだよ~」
もとの世界へ帰るのは難しいのか。
だが落ち込んでいても仕方がない。
このままここに居ては危険だしまずはこれからのことを、と気持ちを切り替えて俺はチェルに色々教えてもらった。
まず俺がいる一帯はガーフォードという国であること。
細かい用語などを省くとかなりゲームよりのファンタジー世界といっていいだろう。
ただチェルはあまり人間の世界には詳しくないためその辺は自分で何とかするしかない。
言葉の問題は彼女の魔法でこの辺りの言語を使えるようにしてもらったため何とかなるだろう。
ただ定期的に掛け直してもらう必要があるのが面倒ではある。
レベルアップについて少し突っ込んだ話をしてみたがこれ自体にデメリットは特になさそうだ。
心なし俺の身体も引き締まってきた気がする。
生命力、魔力、腕力、脚力、頑強の5項目がレベルアップすると個人差はあるが一定値上昇し、追加でボーナスポイントという数値を得てその分だけ任意で強化を行なう。
このパラメータを確認するにはレベルアップ時に精霊に聞いたり専門の魔法を使う必要がある。
ちなみに現在の俺のパラメータは以下の通りでレベル1成人男性の各能力の平均値は10である。
光野大地 レベル7/1000 ※括弧内はレベル1の値
生命力 13(6)
魔力 6(0)
腕力 12(5)
脚力 14(7)
頑強 8(2)
元の倍以上強くなったようだがそれでも目眩がしそうなほど弱いな、なお同レベルなら各項目が平均25くらいはあるそうだ。
一方レベルだが現在レベルが7で上限1000、普通の人は上限が50くらいだからえらく高いが現状あまり意味がない。
「俺、弱くないですか?」
「ちょっとね。でもダイくんはまだボーナスポイント使用してないから。ボーナスポイントを使えば1ポイントにつき好きな能力を1上げられるの~」
「おおっ、そうだ!そのポイントってどの位ありますか?」
ちなみに先程戦った魔物はコボルトといってレベル1でも武器を持ってさえいれば十分戦える程度の最弱といっていい部類の魔物なのでアレより上が出ると人里に着く前に死んでしまうから早急に強くなる必要がある。
「え~とダイくんのボーナスポイントは~なんと30ポイント~。すごいよ~!こんなの今までではじめてかも~」
おおっ、凄いのか。何が凄いかは分からないが驚いておこう。
まあなんとなく多いかなとか思うくらいだが。
「普通の人のボーナスポイントはレベルアップごとに1ポイントなの。だけどダイくんは5ポイント。ダイくんは変わった才能を持ってるんだね~」
「才能ですか?」
「そう才能。運動が得意とか記憶力が良いみたいなのと一緒で私達精霊はそういうのが分かるの~」
自分の適性が早い時期に分かるって目茶苦茶便利だな。
「で、それが俺はボーナスポイントってこと?」
「そう、ダイくんは『ボーナスポイント+4』、さらに『経験値x100』の2つを持ってま~す。ほとんどの人は1個か2個だからまあ普通だね~」
元の世界で有用な才能は俺にはないらしい。
しかしまたえらくゲーム的な、というかゲーム改造の代表格みたいな能力が出てきたな。
「あのそれってやっぱり」
「『ボーナスポイント+4』は普通の人は1ポイント貰えるところにプラス4の5ポイント、普通の人の5倍強くなれちゃう、凄いよね」
これは能力値の低い俺には有難いな。
「そして『経験値x100』はなんと取得した経験値が100倍になるというレベルアップが待ち遠しい!やったね!」
初期ステータスこそ低いが経験値が100倍で取得できレベルの上限が1000まであって、ボーナスポイントが普通の人よりも多くもらえる、と。
これはつまりガンガン、レベルを上げて成り上がれということか。
「よーし、やってやるぜー!」
「お~」
俺は現実逃避とやけっぱちの入り混じった叫びを上げた。
もう少し簡潔にできないものかとも思うのですがこの世界のレベルシステムと主人公のチート内容の説明です。
この話はレベルがフレーバー扱いで各パラメータを表示するのは今回が最初で最後です。
単に現代人よりこの世界の一般人のほうが肉体的に強いんだよというのを書きたかっただけです。
あとは「~のレベルxと同じくらい」といった表現で進みます。




