対帝国戦準備
更新が大変遅くなりました、申し訳ありません。
個人的なことが重なってバタバタしていましたが、それも片付いたので今後は元通りの頻度に戻せると思います。
「これは……」
「僕が作った、魔法道具です」
テーブルの上には、僕が持ち込んだ大小様々な道具がある。
全てが、魔力を微弱な纏った魔法道具だ。
「作ることが出来たのか……?」
驚く将軍に首肯で返す。
この世界においてはルーンマスターが、イグナシルでは術師が作っていた魔法を組み込まれた道具。
イグナシルの、専用の施設と技術、鉱物を用いて作る製法とは、全く異なる原理でこの世界の魔法道具は作られているようだった。それを、『魔具師の工房』で製作工程を短縮、簡略化することで問題を無視できるようにした。
かなり無理のあるやり方なので、まだまだ試行錯誤している段階だが、一工程で完結する程度の単純な術式なら組み込むことに成功した。
「これは量産できるのですか?」
「効率化がうまくできていないので、魔力の消耗が激しいです。まだまだ量産と言える程の数は用意できませんね」
「いや、十分だろう、これは……」
集まった主要メンバーは、全員が驚きの表情。目の前に置かれた道具を食い入るように見つめている。
「これは、戦闘用なのか?」
「全てというわけではありませんが、大半はそうです。
例えば、これ。これは、帝国にもあった『雷撃鞭』の簡易版です」
見た目には、ただの木の棒でしかない。人を叩けばすぐに壊れそうだ。だが、見た目についてはこの方が都合がいい。
『簡易雷撃鞭』以外の道具も、見た目は武器とはわかりづらいものをあえて選んでいる。
「この木の棒を打ち付ければ、一瞬だけですが雷撃が発生します。耐久性が低いので連続使用はできませんが、相手を昏倒させるくらいの威力はあります」
「見た目が木の棒なのは何故なんだ?」
「木の棒をそのまま材料として利用したからですが、それにも意味があります」
当然だが、単純な戦闘用の武器としてならば、金属でできたもの、それこそ剣などの武器そのものに術式を組み込んで魔法道具とする方がいい。
今回あえて木の棒やランタンなど、身の回りにあるようなものに術式を組み込んだ理由。それは――。
「これが武器であると、気付かれないためです」
ここにある魔法道具は、見た目では魔法道具とはとうてい見えない上、堂々と晒しながら歩いていても問題の無いものがほとんどだ。
持っていて違和感の無いもの、通常武器として運用されないようなものならば、武器を持ち込めないような場所でも持って行ける。その意味を、この場にいるほとんどの人間はわからないという顔だ。
ただ二人、将軍とバーツさんは僕の意図に気付いているようだ。ただ、その反応は違っているが。
「遊撃戦を仕掛けるつもりですね?」
「はい」
味方のいない現状で最も懸念すべきなのが、戦力差だ。
たった二百名しかいない流浪軍が国軍に狙われればひとたまりもない。帝国にいた頃と違い、技術や増援による支援も無く、兵士の練度で圧倒的に勝っているわけでもない。
覆しようの無い戦力差。ならばいっそ、少数であることを活かそうと考えた。遊撃戦という結論に至ったのは、至極当然だ。
「前回の会議で、帝国国内への潜入を行うことが決まりましたが、そのための誘導を真正面からの戦闘という形でしてしまうと、いくら将軍でも戦力を徒に消耗する結果になってしまいます」
「確かにな。私は元々、指揮官としてよりも兵士として前線で戦う方が得意だ。ただ蹴散らすのではなく、相手の意識を引いたまま本格的な衝突を避け、自軍の被害を最小限に抑える……どうやって実現しようかと思案していたところだ」
誘導をかけるためには、どうしても敵軍との接触が必要になる。正面からの戦闘を避けながら時間を稼ぐための遊撃戦法と、僕が居ない時のための魔法道具だ。
「魔法道具に付与した魔法は、どれも簡単な使い方で魔法が発動するような仕組みになっています。短時間の訓練で誰でも利用できるようになるでしょう」
「それは助かります。以前のように、誰も扱えないようなものでは困りますから」
独立魔戦小隊の時に貸し出された魔法道具。その扱い方がわからずに持て余していた経験を活かし、イグナシルでの記憶を頼りに今回制作を行った。術師ではない、魔法がそれほど使えない人のために作られたイグナシルの考えを元にすれば、この世界の人達にも使えると考えたからだ。
簡単な説明を行い、魔法道具の使い方に慣れてくれれば、僕達は偵察に行けばいい。
「食糧の関係もあります。いくら魔法道具の力に頼ろうと、長くは保てないぞ」
「はい、わかっています」
偵察に関しても、迅速に行わなければいけない。何を、どうやって、どこまで調べるのか考えてから赴く必要があるだろう。――とはいえ、そんなことを深く考えている時間が無い事も事実だが。
「偵察は少人数で行う方がいいでしょう。私とレイネート様、あと二名ほどが適当かと」
「わかった、人選は任せるぞバーツ」
「あの、よろしいでしょうか」
おずおずと手を挙げたのはそれまで黙っていた隊長格の一人。
「どうした?」
「恐れながら……帝国は多くの魔法道具を有していたと聞きました。ならば、参謀長が作ってくださった魔法道具も、通用しないのではないでしょうか?」
なるほど。
確かに、帝国は多くの魔法道具を秘かに用意していた。どこまで扱えているかはわからないが、脅威として考えておいた方がいい。
この人が懸念しているのは、魔法道具を用いたとしても、同様の戦いを敵が熟知していた場合、あるいは高い練度で魔法道具を使いこなしていた場合のことだろう。
前者に関しては、何とも言えない。軍の上層部ならば、道具の存在を知らされて訓練している可能性もある。兵の一人一人に配備されるほどの数が無くとも、指揮官が魔法道具の知識を持っていれば対処されることも考えられる上、元々ある兵力差を覆すほどの効果を得られない可能性もある。
だが、後者に関しては問題ないだろう。帝国から貸し出された魔法道具は一通り『解析』で確認したが、どれもすぐに扱えるようなものではなかった。この短期間に使いこなすことはできないはずだ。それに――敵が魔法道具を使ってきた時のことは考えてある。
「危惧していることはわかります。僕も、絶対の安心は保証できません。
しかし、僕が作った魔法道具はこの世界の魔法体系とは違います。利用方法も使い手を選ばないものにしてあるのでい、一介の兵士までが道具を利用してくれば驚くでしょう。発動する魔法に対する敵の対応は遅れるはずです」
「では、敵が魔法道具を利用してきた場合はどうでしょう? 簡略化されているということは、威力そのものは敵の方が上なのでは……?」
よく考えている。こんな優秀な人材も帝国を見限ってまで味方についてくれているとは、かなり心強い。
「そちらについても、ご心配なく。対処法はすでに考えてあります」
「それは、どのような?」
「敵の道具による魔法の利用を、無力化します」
にわかにざわめく。魔法という存在自体、すでに無くなりかけているのだから、脅威に思うのは当然。それを無力化するなどという言葉に不安や疑問が湧き上がるのも仕方が無い。
ここにいる人達は僕が魔法を使えることを知っているはずだが、ルーンキラーとの直接対決は意外と知られていない。僕の魔法が無力化されたことも、それに僕が対抗していたことも知らないはず。
「魔法の無力化など、可能なのですか?」
こんな疑問が出るのも、当然のことだ。
「できます。事実、僕はルーンキラーのリーダーに何度も魔法を無力化され、苦戦しました」
「そんなことが……」
「ですが、そのおかげで敵の魔法道具に対する方法を思いついています。まだ形には出来ていませんが、帝国軍との戦いまでには必ず間に合わせます」
「……どうして、そんなことが言い切れるんですか?」
呟くような反論は、初めに手を挙げた隊長格とは別の隊長だ。
僕に向けられる視線は、敵意とまではいかないものの、疑惑に染まっている。
「いくら貴方でも、敵の技術をそうも簡単に使えるようになりますか?」
「できます」
「根拠を……根拠を示してください!」
疑問を呈した隊長が、拳を机に打ち付ける。
「私達は、戦わなければならないんです! 貴方と将軍を信じて帝国を裏切りました。ですが、それは連合との戦いを筆頭に、確かな実績を貴方方が示したからだ。何も無条件で信用しているわけではない。
そんな私達に、根拠のない言葉を信じろと言うんですか? それは無茶だ!」
苦しそうな表情で訴える隊長格の言葉は、程度の差はあれ、他の兵士達も同様であるようだ。その証拠に、バツが悪そうに僕から視線を外し、隣の仲間と目配せする者も多い。
軽く息を吸う。
覚悟を決めて戦うために、この人達に信じてもらうために、言わなくてもいけないことがある。
「根拠は――僕自身です」
僕が唯一誇れるもの。この世界で、僕を生かし続けた唯一の力。
たった一つだけ、僕が自信を持っているもの。
「この世界で、僕以上に魔法を知っている人間はいません」
「確かに、ルーンマスターは貴方くらいしかいないかもしれませんが……」
「それだけじゃありません。僕は――」
「レイネート!」
言葉を遮った将軍が、僕を見つめる。
「いいのか……?」
「はい。もう、隠すのはやめます」
「……そうか。ならいい」
驚いていた将軍の表情が、たまに出る優しげなものに変わった。
本当のことを言ってしまえば、余計な疑念を生んでしまうかもしれない。そのことで、また僕が立場を追われることを心配してくれたのだろう。
でも、もうその心配は必要ない。たった二度、助けただけの僕を信じて助けに来てくれた人達を信じられないなら、信じてもらうこともできない。
「僕は、異世界から来た人間です」
「――――は?」
「参謀長、何を……?」
突然こんなことを言われれば、すぐに受け入れることは出来ないだろう。それでも、話す。
「嘘や冗談ではありません。僕は本当に異世界から来ました。
この世界とは違い、魔法という技術が世界で当たり前のものとして確立され、一般の市民でも魔法を使うことが出来る。そんな世界から、僕は来ました」
「そんな……いや、しかし……」
「すぐに信じることは難しいかもしれません。しかし、聞いてください。
僕は、イグナシルという名前のその世界で、術師――こちらで言うルーンマスターとして知識を学び、技術を磨いていました。しかし、ある日身に覚えのない未来の罪で、この世界へ流刑とされました」
突拍子の無い話だ。僕が逆の立場なら信じることなど到底できない。
だが、信じてくれた人もいた。この人達にも、いずれは……。
「もう一度言います。この世界で、僕以上に魔法という力に精通した人間はいません。魔法は、魔法があって当たり前の世界で生まれ、魔法を技術として身に着けてきた僕に任せてください」
場が静まり返る。
驚く人、頭を抱えている人、何かを言おうとして声を出せない人、それぞれ様々な反応を示している。何故かバーツさんまで驚いた顔をしている。
「……僕は、元の世界に帰ろうと思っています。この世界に投げ出され、不安に押しつぶされて迷ってばかりいましたが。ですが、今は『元の世界に帰る』……その決心は揺らぎません。
皆さんのおかげで、僕はこの世界でも生きて来れました。ご迷惑をおかけしたことも多いです。だからこそ、僕は恩返しがしたいんです。僕を信じてくれた皆さんのために、元の世界へ帰る前に、僕の全身全霊をもって」
僕の覚悟。それを全て吐き出した。
未だ帰るための方法は見当もつかない。それを知るのは、まだ先かもしれない。それまでに、せめて僕を助けてくれる人達の助けくらいにはなっていたい。
「……私は、信じます」
隊長の一人が呟いた。
「私もだ。そのために来たのだから」
「そうだな、信じよう」
「元より貴方のことを疑ってはいません。信じましょう」
「当然、私もだレイネート。信じよう」
次々と声が上がる。
いつしか、その場にいる人間全員の同意の声でテントは一杯になった。
僕は、涙が流れそうになるのを必死に堪えなければならなかった。
「一人か?」
「将軍……」
会議が終わり、魔法道具の使用説明を一通り終えた頃には陽が落ちていた。
星が見え始めた空を眺め、野営地近くの川縁で座り込んでいたところ、声をかけられた。
「星が綺麗だな。空気が澄んでいるのだろう」
「そうですね」
僕の隣に座り、飲み物を差し出してくる将軍に礼を言って受け取る。
「……決意を聞けて良かった」
「すいません、あんな突然に話をしてしまって……」
「いいさ」
飲み物を一口含む。酒では無いようだが、清涼感のある不思議な喉越しの飲み物だ。
「実は、兵士の間にも不安があった」
「不安、ですか?」
「そう。帝国を裏切り、お前を助けに来た。そのことが、正しかったのかという不安だ」
この軍にいる人達は、比較的若く、独り身の人が多い。だが、それでも家族がいた人は多いはずだ。
帝国を裏切り、家族と離れ離れになっても将軍について来てくれた。ありがたいと同時に、申し訳なくも思う。
「今日の話で、その不安は払しょくされただろう」
「そうでしょうか……。僕は、自分勝手に自分の話をしただけです。異世界の人間に振り回されているのかと、憤りを感じた人もいるのではないでしょうか?」
「はははは。絶対に居ないとは言い切れないが……心配するな、彼等は強い。その程度のことを気にしてはいないさ。はっきりと自分のことを話してくれた相手に、全幅の信頼を置くだけの心の強さを持っている」
力強い信頼。将軍は、まさに人の上に立つ人間だと思う。
下の人間に信頼され、またその相手を信頼する。難しいことのはずだ。歴史上の人間が、それを出来ずにどれだけの失敗をして来たか。
「しかし、お前があそこまではっきりと意思を示すとはな。自信の程を語るところなど、意表をつかれてつい驚いてしまった」
「……将軍達を、見てきましたから」
「私達を?」
「はい」
この世界の人達は、強い意志を持った人が多かった。
助けの手を差し伸べながら、こんな殺伐とした世界で必死に生きている人達の姿が、どれだけ励みになり、眩しく映ったか。
その筆頭が、将軍だ。
立場も、武力も、美貌すら持ち合わせている。それでもなお、周囲の人間を助けるために全力を注ぎ、多くを勝ち取っていく姿。まさに、物語の英雄、主人公そのものだ。
僕が為る事の出来ない、存在感と強い意志を備えた人物。そこに憧れて、ようやく決意を持てた。
この人には到底叶わないと思いつつも、少しでも近づきたい気持ちは常にあった。今、ようやくその一歩を踏み出せたような気がしている。
「僕は、貫き通したいんです。強い意志もって、不確かなことを実現したい」
「……難しいぞ?」
「はい。でも、決めましたから」
向けられる笑顔に気恥ずかしさを感じて、残った飲み物を一気に飲み干した。
「……未来は変えられるさ」
「え?」
「今のお前なら、宣告されたという罪など犯さずに、元の世界に戻って活躍できる。私は、そう確信している」
「……ありがとう、ございます」
「礼などいらない。私の正直な気持ちだ」
そう言って立ち上がり、差し伸べられる手。
「もう暫く、よろしく頼むぞレイネート」
「はい……アーシェ、将軍」
掴んだ手は暖かく、簡単に立ち上がらされる程に力強かった。
「今日はもう寝ろ。少し早いが、敵に見つからないためには長々と火を焚いているわけにもいかん。明日からはもっと働いてもらうことになるしな」
「はい」
おやすみと言って去っていく背中を見ながら、そういえばまともに名前を呼んだのは初めてなのではないかと、意味の無いことを考えた。
次の日から二日間、魔法道具を利用した戦法について隊長格の人達を相談し、それを兵士に伝えて訓練することに集中した。その間、ガルドの使っていた魔法無力化についても、僕なりの術式を考えてはいたが、うまく形にはならなかった。
その代わりに、『魔具師の工房』の精度と作成速度は向上し、材料の関係もあって全兵士にとはいかないものの、各部隊の半数は魔法道具を携行できる程度の数は揃えられた。
「これだけあれば十分だな」
「そうですね。後は、実践でどこまで使えるか、ですね」
どれだけ訓練しても、実際に使ってみるまで効果の程はわからない。ここから先は、実際に指揮をとる将軍達と、各使用者に委ねられている。
「無力化の方ですが、まだ完全な汎用性をもたせるところまでいけてはいません。ですので、いくつか『覆い包む城壁』簡易版に近い、防御用の大きな魔法道具を用意しておきました」
「助かる。無力化の方は、まだ急がなくとも良い。帝国も、まだまだ魔法道具を実戦投入はできんだろうからな」
後は、帝国内部の潜入偵察任務をうまくすることか。
敵の内情を知ることが出来れば、今後のこの軍がどのような身の振り方をするかを考えられるし、対し方もわかる。
「将軍」
「ん?」
「一つ、お願いしたいことがあります」
「いいぞ、言ってみろ」
「魔法道具の使用は、最小限に抑えてほしいんです」
魔法道具を作り出したことで、この軍の戦力は相当に底上げされたはずだ。多少の戦力差なら、勝てないまでも逃げることは出来る。
だが、元より魔法が一般的でないこの世界において、急激な魔法技術の普及は危険にも思える。
「必要に迫られたので作りましたが、大きな技術革新には弊害も生まれます。すぐに何かが起こるということはありませんが、今後のことを考えると……」
実は、イグナシルでは魔法道具の普及こそが、魔法をうまく扱えない人が現れ出した原因だという見方み一部で言われている。
どちらが先に起こったことかは、まだ調査段階だったはずだが、道具による技術の代替行為が悪影響を及ぼすということは十分に考えられる。
魔法が失われかけているこの世界では、魔法を使えなくなるという心配は無いが、代わりに依存してしまう危険性がある。
「魔法道具や僕は、本来この世界にとっては不適切な存在です。あまり、魔法の存在に慣れない方がいいと思うんです」
「なるほどな。確かに、その危惧は一理ある。気に留めておく」
「ありがとうございます」
礼を言ってふと将軍を見ると、妙な笑みを浮かべていた。
「あの、何か?」
「いや何、随分とこの世界のことも考えてくれるようになったものだと思ってね」
含み笑いに、顔が熱くなるのを感じる。
「いけませんか?」
「いや、ありがたい」
いつまでたっても叶わない。この人は、彼方の先にいる。
「……では、そろそろ行ってきます」
「ああ。気をつけてな」
敬礼をして、準備をしてくれているバーツさん達のところへ向かう。
「レイネート!」
「はい」
呼びかけられて振り返る。
いつもの優しい笑顔が視界に入ってくる。
「自信を持ったお前は格好良かったぞ。その調子で、自分を信じろ。そうすれば、未来を変えることもできるだろう」
馬にまたがり、愛用の白い槍を肩に担いだ英雄。あるいは戦女神。
その言葉は、まるで――そう、まるで……予言の、ようで。
「あぁ、そうか……」
わかった。これが、そうなんだ。
僕がこの人に憧れる理由の一つが、少しだけわかった。
そして、僕の心の底にある『予言罪』という棘が、無くなっていくのを感じる。
「これが、本当の――」
確信を得て、軍の指揮へと戻った将軍の背中に頭を下げた。
大丈夫。もう迷う必要は無い。僕が僕を信じるままに行こう。
僕自身の未来を、作るために。




