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第三章:八つ当たり

私たちは手当たり次第にデパートを当たるが、見当たらない。


「効率が悪い方法は嫌いだわ」


もっと仕事はスマートにしなくちゃいけないのに。


それなのにこの二人と来たら、自分達で仕事をすると言ったくせにまるでやらない。


あくまで4人組の坊やを始末するのが前提で、他は私に押し付けるんだから性質が悪い。


で、今居るデパートで5件目。


好い加減、出てくれないと私の方から出す勢いだ。


でも、その願いは叶ったわ。


一発の銃声がした。


「ビンゴっ」


私は急いで、銃声のした方へと走る。


だけど、その横を二人の背中が追い抜いた。


「何で、あんた達が走るのよ」


思わず口に出してしまった。


「私の仕事です」


「私の使命よ」


別々の言葉を言いながら急ぐ二人。


で、銃声のした方向へと急ぐと4人組が銃を乱射していた。


一人はS&W M76。


一人はイサカM37。


一人はM16A1。


一人はベレッタM92FS。


よくもまぁ・・・・映画の見すぎね。


まぁ、自分の死に様を飾る武器としては寂しくないわね。


私はパイソンを抜いて、S&W M76を乱射する男に狙いを定めて引き金を引いた。


女の写真を集めていたストーカーみたいなリーダー格の男よ。


パイソンから撃たれた38スペシャル弾は男の眼を貫いて、壁にめり込んだ。


男は目から血飛沫を上げて仰向けに倒れながら銃を乱射していた。


だけど、フルオートだと30秒もあれば直ぐに空になるのにならかった。


良く見れば、50連発に改造されたマガジンだった。


「貴方達、おいたが過ぎるわ」


私はパイソンを弄びながら残りの3人に言った。


「貴様は・・・・殺し屋だな!!」


男の一人が私を見て、コルトM16A1を向けて来た。


スポーター・モデルで、セミオート限定の奴だったわ。


私は彼が引き金を引く前にパイソンの引き金を引こうとしていた。


だけど、私より先に荒鷲とウリエルが同時に彼の頭を撃ち、残りの奴等も同じく撃って殺した。


私の仕事は最初の男で終わり。


後は二人が始末してしまったわ。


あーあー、何だか凄く不愉快な気持ちだわ。


散々、私を扱き使った上げくに獲物を横取りするんだから。


それにしても荒鷲の腕前は大した物だ、と思った。


2発ずつ相手の額と心臓に必ず命中させた。


そして近付いて更に2発ずつお見舞をした。


一見、残酷に見えるけど完全に殺す事を確認していると私には見えたし、分かった。


流石は一流の殺し屋として名を馳せただけはある、と感心する。


その横でウリエルは、葉巻を吸い余韻に浸っていた。


彼女の身体から湯気みたいなのが見えた。


何だか、今日も飛天を相手にウリエルがロデオをしそうな気になった。


勘弁してよ。


この女がロデオをやると家が地震に遭ったみたいに揺れるから嫌なのに。


そんな事を思いながら私も煙草を吸い、一仕事終えたという余韻を噛み締めた。


その後、私たちは警察に呼ばれたけど名前だけの事情聴取を受けて直ぐに解放されたわ。


まぁ、警察としても身内の不祥事をどう世間に説明するかで手一杯だし飛天の事も考えての行動だろうけど。


で、私は飛天が待つ家へと帰った。


家へと戻ると飛天は煙草を吸っていた。


飛天は椅子から立ち上がると私に質問をして来た。


「終わったのか?」


飛天の問いに私が答える前に荒鷲が答えた。


「はい。全て滞りなく終わりました。我が主よ」


「そうか。御苦労だったな」


飛天は荒鷲に煙草を勧めた。


「頂戴します」


荒鷲は断ってから煙草を取った。


「で、警察は何か言っていたか?」


「貴方様には大変な思いをさせて申し訳ありません、という事です。後日に謝罪とお詫びの品を持って来るとの事です」


答えてから荒鷲は煙草を銜えて自分で火を点けた。


「そうか。あいつも大変だな。表ではマスコミや上司に叩かれ、裏では俺らに叩かれるんだ」


「中間管理職の業よね」


私は煙草を吸い、署長の泣く姿が目に浮かんだ。


先ほどの事も考えるとノイローゼになるかもしれないわね。


でも、私には関係ない話だわ。


飛天以外の男がどうなろうと知った事じゃないからね。


その後、飛天は荒鷲を誘って二人だけで何処かに出かけた。


もちろんウリエルも付いて行こうとしたわ。


『私も行きます』


と言ったんだけど目が嫉妬一色に染められていて荒鷲は明らかに迷惑そうな顔をしたわね。


だけど、飛天が駄目、と言ったので私とお留守番なの。


そのせいでウリエルは無性に機嫌が悪いわ。


その横で私はバーボンをストレートで飲んでいるから、八つ当たりとも言える風が直接くるわ。


「そんなに怒らないでよ。こっちまで被害が来るわ」


しかも、バーボンが不味くなる。


「・・・どうして、あの女だけが、飛天様と一緒に出かけたのよ・・・・・・・」


ウリエルは私の言葉などお構いなしに不機嫌な顔と声で私を見て言い続けた。


地を這いり回る蛇みたいに陰湿な声で、声だけなら犯罪者と思われても可笑しくないわ。


「知らないわよ」


それに対して私はぶっきら棒に答え、バーボンを飲んだ。


だけど、味が不味い。


ウリエルのせいだと思うが、今のウリエルに下手な事を言えばどうなるか分からないから言わないでおいたわ。


「・・・・無性に何かを燃やしたい気分だわ」


ウリエルは前と同じ言葉を言った。


「物に当たったりしないでよ?」


前にも言ったけど、飛天に追い出されるわ。


「じゃあ、貴方になら当たっても良いの?」


「何でそうなるのよ」


物に当たらない代わりに私に八つ当たりする気のウリエル。


「貴方なら、別に簡単には死なないし頑丈だもの。それに飛天様も貴方に八つ当たりするなら文句は無い筈よ」


また痛い所を言って来るわね。


「生憎だけど、私は八つ当たりされたくないわ」


「私はしたいの」


「知らないわよ。それに時期に帰って来るわ。それまでに風呂の準備でもしてなさい」


ウリエルは私の言葉に何処か頷ける面があるのか、無言で厨房へと向かった。


私は一安心して煙草を銜えた。


そこへ携帯が鳴る。


「もしもし?」


『俺だ。悪いが、今日の夕飯は要らない』


外で食べてくる、と飛天は携帯越しに言った。


冗談止めてよ。


もしも、ウリエルにそんな事を言えば、私がどうなるか分かった物じゃない。


だけど、無情にも飛天は最後通告とも言える言葉を言ってきた。


『じゃあ頼む』


そう言って携帯は切れた。


私は携帯を懐に仕舞い、どうやってウリエルを宥めるか考えた。


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