熱い胸にあまえて
亜希「あはははは!あはははは!あーはっはっはっは!
剛二郎さん最高!ホント しっちゃかめっちゃか!
ミッキーが望んでたって、福田さんが愛情でしてた事だって、警察から見たら誘拐だもん。
誰かが責任て言うか、しわ寄せって言ったらおかしいかな?
とにかく辛い目に合わないと解決しなかったのよね。
それを全部しっちゃかめっちゃかにしちゃって!
私分かる、ただ踊ってたんじゃない、剛二郎さん誰にも辛い思いさせたくなかったんだ!
たくさんたくさん色んな事考えて、これしかないって事をやったんだ。
それにしても凄い破壊力!ミッキー受け継いじゃってるよ!
佐藤家の人はみんなそうなの?
あはははは!あはははは!あは…うええええええぇぇ…
良かったぁホントに良かったよぅ…」
ミッキー「うう、受け継いじゃってるって亜希さんから見た俺って どうなの?
それからさ剛二郎あんちゃんは「これからは俺が父ちゃんだ。」って言ってくれてさ、毎日 公園に連れて行ってくれたよ。
それで、毎日毎日 お祭り騒ぎだよ。
それから しばらく経って、俺が中学生になった頃だったな。
オリビア母さんがチリから 押しかけて来て、剛二郎 父さんが押し切られた感じで、年貢の納め時って訳さ。
剛二郎 父さんがチリでホームステイしてた先のお嬢さんだったんだけど。
当時まだ12歳だったオリビア母さんが、結婚してってずっと言ってたらしくてさ。
剛二郎父さんオッケーオッケー軽い感じで返事したのが運の尽きってやつさ。
剛二郎父さん色んな意味で自由な人だからね。」
亜希「あはは!あはは!犯罪!剛二郎さん犯罪よそれって!
そうするとオリビアさんって私とそんな歳変わらないの?
(大人っぽいよねオリビアさん、やっぱり子供 生んだのと あのおっぱいがそうさせてるのかな?
羨ましい!おっぱい!私にもおっぱい!
でもなんか忘れてる気が…)
あっ!もしかしてミッキーが一人暮らししてるのって剛二郎さんとオリビアさんの結婚が原因?
そう言えば雅虎君も生まれて家に居づらくなったって言ってたよね。」
ミッキー「うん、居心地は良かったんだけどね。
オリビア母さんスキンシップが濃厚でさ…」
亜希「ああああああ!おっぱい!ダメダメダメダメダメ!
ミッキー正解!一人暮らし大正解!」
ミッキー「もしかして亜希さんもあれを喰らったの?!
お、俺には そういうの無いから!いくらなんでもね、俺は男だしさ。
そんな訳で今があるって感じなんだ。」
亜希「ちくしょう喰らったのね。
チョーさんの本名が関根 尚夫さんだったり、ツッコミ所 満載だったけどミッキーの事 凄く良く分かった。
(あっ、そう言えば ツッコミ所って言ったら何だけど、まだ分からない事がある…
ミッキーのお母さんって、ミッキーが福田さんと一緒に居た間 何をしていたの?
まさか本当にミッキーを…す、すて…
嫌だ!嫌だ!嫌だ!考えるのも嫌だ!)」
ミッキー「亜希さん、締めくくった感じだけど、まだ話せて無い事があるんだ。」
亜希「えっ?(もしかしてお母さんの事?!ヤダヤダヤダ!ミッキーいきなり無表情だし聞きたくない!)」
ミッキー「亜希さんを突き飛ばしてしまった事、そんなの俺の本意じゃ絶対 無い事を分かって欲しいんだ。
過去の出来事のせいにするつもりじゃ無いけど、その事を考えると普通じゃいられなくなるんだ。
嫌な話になるかとは思うけど、俺の事 知って欲しいし、そうしないと俺の本心も言えた義理じゃないんだ、お願いだから聞いて欲しい。」
亜希「うん、分かった…ミッキーがそう言うなら聞く。」
ミッキー「卑怯かもしれない、無責任かもしれないけど、
この事を知って亜希さんがどうするかは亜希さんに判断して欲しいから、
俺の主観を挟まないで事実だけを言う。」
亜希「うん。(私の受け取り方を左右したくないって事なんだ、ミッキーの無表情はそういう意味だったんだ…)」
ミッキー「すぅ…はっ、俺の母親がハンバーガー屋に戻れなかった理由。
その時 母親は警察の留置所に居た。
ハンバーガー屋のあるショッピングモールの近くにある 工業団地の倉庫街で、三田村という男といる所を逮捕されたんだ。
罪状は覚せい剤 保持と使用、それと一緒にいた三田村って男への傷害罪。
判決は1年6ヶ月の懲役 執行猶予は3年、傷害罪の方は不起訴になった。」
亜希「あ…あ………」
ミッキー「母親とはそれ以来 会ってない。
覚せい剤更生施設を出たり入ったりを繰り返して、今はおばあちゃんの屋敷の離れに住んでるらしい。
その事をおばあちゃんも剛二郎父さんも俺に隠していた。
中学生の頃インターネットの裏サイトや、図書館で昔の新聞を見て自分で調べたから、どういった経緯でそうなったのかも知らない。
その事を知ってから、母親の事を思い出すと さっきみたいに普通じゃいられなくなるんだ。
年中そんなふうになる訳じゃない、この前は1年位前だったと思う。
その時は一人だった……」
亜希「(ミッキーの言葉が耳に入って来ない…
覚せい剤?傷害罪?私に判断しろだなんて分かんない、分かんないよ!)」
亜希「(足が、足に感覚が無い。
私の家族、私の家、仲がいい お父さんにお母さん、私にだけ優しくないけど可愛い睦美…
私の今までに そんなの無かった…
怖い、嫌だ、受け入れられない!
私を形作るモノたちに そんなの入るの嫌だ!
でも待って!ミッキーはどうなの?ミッキーはそんな事とたった一人で向かい合って、正直に話してくれた!
待って!待って!待って!)」
ミッキー「ふうっ…ごめんね、イヤな話しちゃってさ、やんなっちゃいますよね。
これに懲りずにさ、明日もお弁当 用意させて欲しいです。
ベンドニーにも遊びに来て。
でさ、それでさ、僕…」
亜希「(僕?!何この違和感?!意識して無かったけどミッキーの一人称 いつの間にか僕から俺になってたんだ!
敬語!それだけじゃない敬語!
会ったばかりの頃のミッキーの話し方!
何で!何で!何で!何で笑ってるのよ!イヤだイヤだイヤだイヤだぁ!
何その これでお開きみたいな持って行き方!
何でよぅ……
分かった…見透かされたんだ…震える足と私がミッキーの過去を受け入れたられなかったのを…
ベンドニーのイベントの時と同じだ、だから そうやって笑って笑顔で私を遠ざけてるんだ!
待って!待って!待って!)待ってよぅ!!」
ミッキー「亜希さん?……」
亜希「待ってって言ってるでしょ!
私まだ何も言ってない!!
私ミッキーの事を 足りない頭で必死に分かろうとしてるの!!
何でミッキーは私の事を分かろうとしてくれないの?!」
ミッキー「亜希さん…ごめん…俺 卑怯だった…」
亜希「(俺!俺!言ってくれた俺って!応えなきゃミッキーの気持ちに!
今なら分かるかなミッキーが一人でお母さんの事を調べて…
ああああああああ!!何これ?!プレゼント?!お母さんのクリスマスプレゼント?!ダメよ!ダメダメダメ!
ああああああああ!!何でこんなに分かるの?!
ミッキーがすぐ人を遠ざけるのだって分かる!!
何もかも少し考えれば分かったんだ!自分の都合を取っ払えば分かったんだ!!
何度も何度も何度も何度も!信じて正直に話して!何度も何度も何度も何度も友達だと思ってた相手に裏切られたんだ!
遠ざけられたんだ!遠ざけたのはミッキーの方じゃないんだ!
私 分かる!!)ミッキーの事 分かるのは私だけなんだ!!」
ミッキー「亜希さん…亜希さんありがとう…」
亜希「話はこれからよ!私分かるんだ!
なぜか知らないけれど、あなたが大好きだからって思いたい!!
いいえ!絶対そう!!
あなたがお母さんの事を思い出した時に普通じゃいられなくなるのは!
鳥肌立てるのは!震えるのは!嫌悪感からなんかじゃない!あの時の!クリスマスの!雪の夜の!凍える寒さを思い出してるの!!
死んじゃうかもしれなかった凍える寒さを今も感じてるの!!」
ミッキー「亜希さんの言う通りだ。
克服したと思ってた、ふくちゃんやチョーさんや公園のみんな、
父さんや母さん、銀三郎に囲まれて大切にして貰って、過去の出来事になったと思ってた…
あの雪の夜は俺に こんなに深く食い込んでたんだ…」
ミッキー「ああああああああ!!寒い!寒い!寒い!寒いぃぃぃ!!
気付かなかった!誤魔化してただけだった!俺は強いって!俺は大切にしてくれる人に囲まれて大丈夫だって!
こんな事 引きずってたら、大切にしてくれるみんなに申し訳ないって!
怖い!怖いよぅ!俺、俺こんなんで この先も生きて行けるのかな?!
亜希さん俺 生きて行けるのかな?!」
亜希「大丈夫!!もう無いの!雪も凍える寒さも!一人ぼっちももう無いの!ミッキーは大丈夫だよ!!」
ミッキー「ああああああああああああ!!」
亜希「あったかい?雪の夜の事 聞いた時から私ずっとこうしたかったんだ。」
ミッキー「うん…あったかい…全然 寒く無い…ありがとう…あったかくて嬉しくて死にそう。」
亜希「私もあったかいよ。」
ミッキー「今更かもしれないけど、亜希さん俺まだ聞いて欲しい事があるんだ。」
亜希「うるさい!私の言う事を聞け!」
ミッキー「ううううう…」
亜希「いい?ミッキー今のあなたを見て分かるの。
あなたは真っ直ぐで…ちょっとひねくれてるけど真っ直ぐで、底なしにバカみたいに優しくて、可愛くて素敵な男の子なの。
それが証明してるの、ミッキーは辛い事に曲げられたりはしなかった!
未有ちゃんに言ったように あなたは勝者なの!
パパの事とかミッキーの失ったモノは とっても大きいと思う。
でも 雪の夜の出来事とか 奪われたモノなんかより、福田さんやチョーさんや剛二郎さんやオリビアさん、銀ちゃんやマスター、そして私!!永島 亜希!!
あなたが与えて貰ったモノは何倍も何百倍も何億倍も大きくて、暖かで、優しいじゃない!
だから寒さなんて感じる暇 無かったの!
誤魔化してたとか申し訳ないなんてお門違いよ!
事実なんて関係無いわ!そんなのバカな心理学者にやらせとけばいい!
私が言ってるの!私が言ってるからそれが真実なの!!」
ミッキー「ああああぁ!うっ!うっ!ああああぁっ!
ありがとう亜希さん!俺、俺言わなくちゃいけない!亜希さんの気持ちに応えなくちゃいけない!」
亜希「取り繕った笑顔なんかじゃなく やっと泣いてくれた、キレイな涙見せてくれた。
大好きよミッキー、愛してる!」
ミッキー「今俺が言おうとしてたのに!」
亜希「知ってたわよ、どっちが先かなんてどうでもいいじゃない。
歌ってくれたじゃない、愛するあなたって、嬉しかった 嬉しくて死ぬかと思ったわ。
ミッキーだって知ってたでしょ?初めて会った あの日から私があなたの事 好きだったって。」
ミッキー「初めて会った時はケンカしたじゃないか!」
亜希「そんなの好きかどうかなんて関係無いじゃない。
よろける私を抱きとめてくれたでしょ?
今思えば 私あの時 恋に落ちたの。
いい匂いがした、お料理の匂いとお母さんの匂い、それとミッキーの匂い。
甘くて優しくて、男の子の少しエッチな匂い。」
ミッキー「ええええええ!!それは俺の方!!」
亜希「私の革ジャンも匂ってたかな?
でもね、今はミッキーの事 こんなに深く分かった。
だから今のあなたに向ける気持ちは恋なんかじゃないの。
あなたもそうでしょ?こんなバカを受け入れてくれて、何もかも投げ出して私を守ってくれるって思ってくれてるんでしょ?
私もそう!そこいらの女の好いた惚れたの安っぽい盛った気持ちじゃないわ!あなたを守りたい!愛してる!世界の誰よりも!!」
ミッキー「また言われた!!俺まだ言って無いのに!」
亜希「もう うるさいこの口!」
ミッキー「むううん、うにゅううん…」
亜希&ミッキー「愛してる。」




