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吉買通り商店街  作者: フミ
25/32

命を燃やす時が来た

おばさん「その子怪我してるのね、おばさんに見せてごらんなさい。

おばさん こう見えて医者なのよ、一見 女子高生だけどね。

手術が必要かも知れないわねぇ、どうしましょうか?

亜希ちゃん手伝ってくれるかしら?緊急オペよ。

そんな身構えてどうしたの?心配いらないわ。

よくブラックジャックの話したわよね、私がブラックジャックで亜希ちゃんがピノコちゃんよ。」


亜希「(何?!何?!何?!何言ってるのこの人!

狂ってる!ミッキーが危ない!助けなきゃ!私を助けてくれたミッキーを助けなきゃ!

怖い!体 動かない!えええい!だから何!ミッキーを助けられるのは私だけなんだ!怖いが何だって言うの!!)

うわああああああああああ!!その人に触るなぁああああああ!!」


挿絵(By みてみん)


おばさん「痛たた、亜希ちゃん いきなり何するの?」


亜希「はぁ!はぁ!はぁ!ババア ミッキーに触るな!あっち行け!」


挿絵(By みてみん)


おばさん「ババアなんて酷い言われようね、私にだって れっきとした名前があるのよ。

名前って言えば 佐々木 未有(みゆう)って名前に聞き覚えはあるかしら?

松ヤニ学園の2年C組だったかしら?

大人しいくせに 何かと目を付けられてはDQNグループに呼び出されてたかしら?

でも助けてくれた子がいたのよね、クラスメイトの永島 亜希ちゃんだったかしら?

呼び出されたからって行く事なんかない、困った事があったら私に言って。

そう言ってくれたかしらねぇ?

でも 2年の2学期、突然 亜希ちゃんは忙しいって相手にしてくれなくなった。

なぜかしらねぇ?

なぜなの?何で私を見捨てたの!!」


亜希「え?!まさか!そんな!未有ちゃん?!!」


挿絵(By みてみん)


佐々木 未有「亜希ちゃんがかばってくれなくなってからというもの、DQNグループは調子に乗ってきたわ!

お金持って来いだとか、制服をカッターでズタズタにされた事もあった!

先生にも親にも誰にも相談できず、亜希ちゃんにも見放された私は、安心して痛め付けられる格好の標的だってのでしょうね!

際限なくエスカレートした! 終いには私 バリカンで丸刈りにされたのよ!!」

挿絵(By みてみん)

亜希「そんな!知らなかった、何で?何で言ってくれなかったの?!」


佐々木 未有「私を見捨てたクセに よくそんな事 言えるわね!!

それでも私 信じてたんだ!亜希ちゃん学校に行けなくなった私を心配して家に迎えに来てくれてた。

嬉しかった、嬉しかったんだ!!

髪が伸びたら亜希ちゃんと一緒に学校に行こうと思ってたんだ!

でもまた裏切られた!髪が伸びる前に亜希ちゃん来てくれなくなった!!」


亜希「そ、それは…」

挿絵(By みてみん)


佐々木 未有「言い訳なんか聞きたくない!!

私は亜希ちゃんにとって過去の人になったんでしょ!

来る日も来る日も部屋に閉じこもって、親に あなたがコンクールで優勝したとか聞かされたわ!

髪も伸びたんだし 永島さんみたいに積極的になって学校に行きなさいだってさ!!

ふざけんじゃないわよ!

誰のせいでこんな目に遭ってると思ってんのよ!

行きたかった!あなたと学校に行きたかった!

でも学校から一通の封書が届いた!除籍処分だって!!

私が学校に行けなくなった理由もろくに調べないで!ちくしょう、ちくしょう!!

部屋の窓から毎日あなたが学校に行くのを見てた!それしか出来なかった!

どんどん自信に満ち溢れてくのが分かった!

卒業して大学に入ってどんどんどんどん綺麗になっていった!!

それに引き替え私はどんどん醜くなって行った!

でも そんな時 見つけたんだ、凄い速さで走って行く男の子を。

冬なんて日が昇る前から白い息を弾ませ走って行った。

松ヤニ学園の制服だった、部活の朝練かな何年生かなって思う内に、もっと近くで見たくなって 部屋から出るきっかけになったらって、私 朝早く家の前を掃き掃除するようになった。」


亜希「そ、それって…」


佐々木 未有「そうよ!その人よ!話し掛けたりなんか出来なかった!

名前も知らなかった!

でも毎日 姿が見えるだけで幸せだった!

もしかしたら このまま人前に出られるようになるんじゃないかと思った!

そんな時よ!覚えてる?!あなたとばったり顔を合わせてしまった!」


亜希「あ、ああああああ!私なんてことを!!未有ちゃんごめん!ごめんなさい!!」


佐々木 未有「軽々しく謝るなぁ!!

あなたの顔を間近で見て凍り付いて動けなくなった私に あなたなんて言ったっけ?!

お掃除 お疲れ様です おばさん!お掃除お疲れ様です おばさん!お掃除 お疲れ様です おばさん!!

うわああああああああ!ああああ!!

しかも!しかもしかもしかも!その人と そんなに仲良くなって!

笑いながら楽しそうに歩いて!昨日は夜遅くに おんぶしてもらって帰って来た!!

何が違うっていうの!!同じ年に生まれた同じ女の子だっていうのに、私とあなたで何が違うっていうのよ!!

私から何もかも奪った あなたの何もかもを奪ってやる!

その綺麗な顔をズタズタに切り裂いてやる!!」


亜希「なんて事…私どうすれば…」


実樹貴「あ、亜希さん…逃げて…俺は大丈夫だから…」


亜希「ミッキー!ああ…ああ…」


佐々木 未有「逃げたら その人 殺すわよ。

それとも さっきみたいに私を突き飛ばす?

本気で争ったら あなたには敵わないわ。

その人 守りたいんでしょう?私カッター持ってるし正当防衛よ。

やるならやりなさいよ、こんなクソみたいな人生、あなたが終わらせてくれるんなら清々するわ!!」


亜希「未有ちゃん…」


佐々木 未有「何よ!!」

挿絵(By みてみん)


亜希「私 顔なんか切り刻まれたって屁とも思わないわ。

私 自分がつくづく嫌になっちゃった。

無神経に人を傷付け続けて、それが原因で大切な人を巻き込んで、怪我させて傷付けて。

私 命懸けで守ってくれた この人以外の男には触れられるのも嫌。

でも 聞かれちゃったみたい、私のどうしようもないバカさ加減を。

どのツラ下げて この人の女になれるって言うの?

この人とは もう結ばれない、かといって他の男なんて絶対イヤ。

だったら顔なんて付いてればいいってくらいのものよ。

私に残されたのは この両手、フルートを演奏する この両手が無くなったら 私はもうお終い。

未有ちゃんの気が済むなら、未有ちゃんへの償いになるなら、未有ちゃんが失ったものと見合うなら。

ミッキーを無事に帰してくれるなら。

好きにしてくれて 構わないわ。」


佐々木 未有「はあっ!はあっ!はあっ!いいいいいい!!ああああああああああ!!

復讐してやるって決めたんだ!決めたんだ!!

私だって輝きたかったんだ!亜希ちゃんと一緒に卒業したかったんだ!!

うあああああああああああああああ!!」


挿絵(By みてみん)


亜希「終わったの?不思議と全然 痛くない…

だんだん痛くなるのかな?

お母さん ごめんなさい、一生懸命 教えてくれて 沢山沢山 褒めてくれて。

お母さんがくれたフルート 私台無しにしちゃった。

でもミッキーを守れたって思えるなら よかったのかな?」


挿絵(By みてみん)


亜希「あれ?私の手、なんともなってない?!

何で?何で?何で?!!」


挿絵(By みてみん)


亜希「ああ!ああああああああああミッキー!!」


実樹貴「命を燃やす時が来たぁああああああああああ!!」


挿絵(By みてみん)


実樹貴「寝くたばってる場合じゃねえぞ!!

うおりゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

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