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吉買通り商店街  作者: フミ
15/32

世界 三大欲求

♩いえーい君に会えてよかった♩

挿絵(By みてみん)

「ミッキー見て見て!ほっかむりよ、ほっかむり!

…あれ?誰もいない、ミッキーもマスターも どこに行ったのかしら?

ホント不用心よね 鍵も掛けないで、まあ いつもの事だけどね。」

挿絵(By みてみん)

「アァウウウウオオオオーン!」


「い、いらっしゃいミッキー君。」


「今日は!魚蔵の旦那にショコラ!」


「き、今日はいいアジが入ってるよ。」


「あ、ホントだ イキが良さそうですね!

アジか、なめろうって手もあるな。

そしたら旦那、この6匹入りの1ケース下さい。

あ、このホッケも美味そうだな、これもやっぱり6つ!」


「ま、毎度ぅー、今日は沢山 仕入れるね。」


「アァウウウウオオオオーン!」


「今夜は7時から代表の試合があるんで、イベントやるんですよ、よかったら旦那も来て下さい。


(しかし ショコラってミニチュアダックスに見えないよな…二足歩行だし。

まあ なついてくれて凄く可愛いんだけど。


ミニチュアダックスが迷い子に なったって、ベンドニーの貼り紙 見て探してた時に会ってるんだよね、ショコラと。


でも まさか この子がミニチュアダックスとは思えなくて、一緒に探そう なんつって一緒に商店街 走り回ったんだよね。

これって 誰にも言っちゃダメだよね。


ショコラかぁ、旦那のお孫さん奈美ちゃんが付けたのかな?もう犬が家に来る前から決めてたのかな?

だけどショコラじゃないんだよなぁ、どっちかって言ったらアレなんだよなぁ、チューバッカなんだよなぁ、これも言っちゃダメだよなぁ。」

挿絵(By みてみん)

「ベンドニーのステージ…

このステージは私をフルートを習っている子、から演奏家の端くれにしてくれた。

たまには変わった音楽を聴いてみろって、お父さんに連れられて初めてジャズの生演奏を聴いたんだ。

それだけじゃない、半ば無理矢理 飛び入りさせられて必死になってフルート吹いたな。

迷惑だったかな、お客さんヤな顔しないかなって思ったけど、凄い凄い拍手くれて、私 初めて あの感覚を教えて貰ったんだ。

コンクールだって拍手は貰えるけど、このステージで貰える拍手は違うんだ。

ステージと客席の境界線が無いんだ!

演奏してる私とお客さんで 一つの何かを創り出してるって言ったらいいのかな?

もう私 ずっとこの空間に居たくなってバイト始めたんだよね。


それだけじゃない、この店はもう一つ凄いプレゼントをくれた。

ミッキー…あなたに巡り会わせてくれた。

こんなに胸がドキドキするなんて、

明日が来るのが楽しみになるなんて、

一緒にいる時だってもっともっと会いたくなるなんて、

あなたがいるはず無い所で あなたの姿を探してるなんて。

今まで一度も無かったんだよ。


今日は出来たばっかの私の曲を聴いてもらうね。

あああああああああ!また緊張してきた!

そうそうそう!誰もいない今の内にリハーサルしとこ!」

挿絵(By みてみん)

「あれ?あの車 懐かしいなぁ、パパが仕事で使ってた、いすゞファーゴだ。

もうそう相当古いよなあれ、あんなの まだ走ってるんだな。

お客さんの車かな?駐車場は店の裏にあるのに、路駐で捕まっちゃうよ。

ちょっと様子を見てみようか…あれ?行っちゃった。

ずっと こっちを見てたのかな?…考え過ぎか。


あれ?どこの店から流れて来るのかな?

フルートのソロ曲なんて そうそう無いよな。

趣味いいな、誰の何て曲だろう? どこかで聞いた気がするんだよな、ずっと前に聞いた気もするし、昨日聞いた気もする。

ああああああ!気になる!どこから聞こえてんだ? ん?んんんんん?これってベンドニーからじゃね?

なんで?誰も居ない筈だぞ!ああああああ!何で気付かなかった!

昨日聞いた気もするなんて言っておいて何で気付かなかった!」

挿絵(By みてみん)

「よし!Bメロの難しいところも完璧だわ。

もう一回 通しで やってみて、上手く演れたらカウンターに隠れよう。

うふふふふふふ!ミッキーの白目をむいた顔が目に浮かぶわ!

ああ、自分が作って演奏してる曲なのに、このメロディ聴くとミッキーの顔が目に浮かぶ。

ミッキーどこにいるの?早く来て、私の曲を聴いて…」

挿絵(By みてみん)

「(ってオイ!いた!目の前にいた!

あ!ああああああ…ミッキーどうしたの?どうしてそんな…)」

挿絵(By みてみん)

「(そう、そうなのね、ミッキーも私と同じ気持ちなんだ!

昨日は初恋を思い出したって言ってたけど、今は私を見てくれてるのよね。

カン違いかどうかなんて、もうどうでもいいわ!

最後まで聴いて、ここからが とびっきり激しくなるのよ!

ああ、私 演奏が終わって目を開けたら、もう自分を抑えつけられる自信がない!

ここのメロディは 昨日の電話のヤキモチよ。

ここは テンパった私の手を握ってくれた時の気持ち。

最後のこれは あなたの髪に頬に唇に…肌に…触れたいって…

ミッキー!!聴いてくれたのよね!そこにいるのよね!!

ああああああああああああ!!」

挿絵(By みてみん)

「なんじゃこりゃあああああああ!!」

挿絵(By みてみん)

「亜希さん 最高!凄く激しくって体が勝手に動いた!!」


「亜希さん マジ ノれたっす!相変わらず ハンパないフルートっすね!」


「ああ、ええと、何から言ったらいいのかな?

(なんだか激し過ぎてノリノリの曲になっちゃったみたいね。

ちくしょう 当てが外れたわ、曲が終わった後は、熱い抱擁しか考えてなかったし…それよりアレよアレ!)

とりあえず 銀ちゃん いつの間に来たの?。

それで なんで二人はそんなに仲がいいの?」


「え?ああ そうか、亜希さんも銀三郎も自分の知ってる人だから、当然 僕達が知り合いだと知ってると思っちゃいましたよ。

あれ?亜希さんと銀三郎も知り合い?」


「ああ?僕?実樹貴 お前 亜希さんの前で猫かぶってやがんのか?」

「かぶってないよ、年上の人にタメ口きく訳にはいかないだろ。」

「はっはーん、さてはおめえ…ああ、ああ、なるほどな。」

「なんだよ!俺がどうしたってんだよ!」


「ちょっと待て!私を置いて行くな!

二人の関係はなんなの?!答えて!早く早く!」


「え?関係ですか?」

「早ぁぁやくぅ!!」


「は、はい!俺達、いや僕達は 物心ついた頃からの幼馴染で、そこからは 小中高と同じ学校の同じクラスの腐れ縁でして。」


「そうっすよ、睦美ちゃんと俺が同じクラスだって知ってるなら、落ち着いて考えたら、今の繋がりだけは分かると思うんすけど。」


「ああ、そうね、そうよね。

でも銀ちゃん あんた今じゃろくすっぽ学校 行ってないじゃん。

お兄さん助ける為だって、会社の仕事 手伝ってるのは立派だと思うけど、睦美 心配してたよ。」


「え?!睦美ちゃんが!俺を心配してくれてるんすか?!」


「はっはーん、さてはお前。」

「なんだよ!俺がどうかしたかよ!」


「ちょっと待て!また私を置いて行くな!

ちょっと頭を整理するから ちょっと待って!

(さてはおめえと、さてはお前ね、そうそう。

銀ちゃんが睦美のこと好きなのはしってるわよ、あからさまだもの この子は。

それが、さてはお前って訳ね。

それを さてはおめえに当てはめると、ミッキーは亜希ちゃんが好きって事になるわね、うんうん、当然そうなるわね…)

ああああああああああああああああ!!」


「どうしたんすか亜希さん!」


「あああああああああああああああ!!」


「なんだ!実樹貴まで!」


「分かった!何で銀三郎と亜希さんが知り合いだって。

お前の お兄さんのセメント会社、藤郷さんの建設会社が、お得意さんの取り引き先だったな。

それで藤郷さんと この店に良く来てたんだな。

それなら亜希さんとも知り合いになるよ、うんうん。

(焦ったぁ!顔に出てなかったかな?

亜希さん 銀三郎のこと 銀ちゃんなんて呼ぶから色々考えちゃったよ。

ジェラシー!ジェラシー!ジェラシー!

俺もちゃん付けで呼ばれてぇ!

ミッキーちゃん❤︎いやいや違うな、

実樹貴ちゃん❤︎いいねえ!いいねえ!

ミキちゃん❤︎これもいいねえ!でも女の子みたいだな…

あれ?こんなふうに呼んでくれた人がいた気がするな…

まあいいや、他にもあるか?いっそのこと呼び捨てってのはどうだ?ねぇミキタカぁん❤︎)

うえへへへへへへへへへへへへへ!!」


「ど!どうしたの?ミッキー!」


「な、何でもない!何でもないんです!」

「お前も俺に劣らずあからさまだな。」

「何がだよ!お前に言われたくないよ!」


「もう!ちょっと待ちなさい!

銀ちゃん今日も藤郷さんと打ち合わせ?」

挿絵(By みてみん)

「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「そうっすよ、今日は代表の試合もあるから、打ち合わせ終わったら、それも見ようって言われて。

俺は恵さんの店の方がいいんすけどね。

だけど藤郷さん、恵さん勧め上手だから いつもベロベロになっちゃって、仕事の話なんて出来やしねえって。

あははは!あははは!」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「笑い事じゃないわよ、もう 高校生の弟に仕事の打ち合わせさせるなんて。

仕事は忙しいの?時間作って学校には行けないの?」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「心配してくれるのは有り難いんすけど、兄貴の事は悪く言われたくないっす。

親父が借金 作って逃げちまってから、兄貴は必死こいて会社 立て直して、俺を育ててくれたんすから。

ああああああ!歌いたくなって来た!

♩兄貴は消えちまった親父の代わりにぃぃ油に塗れて俺を育てたぁぁ♩」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「もう!歌ってる場合じゃないわよ!

卒業 出来なくなっちゃうよ、出席日数 足りなくなるよ。」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「それなら心配ないっす。藤郷さんが学校に口利いてくれてるんで。

学校で習う事より社会で習う事の方が大事だって 言ってくれてますし。」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「もう!藤郷さんも!学校でしか出来ない事だってあるのよ。」


「(亜希さん 可愛いなぁ。)」


「まあ、俺も実樹貴も学校じゃ はぐれもんっすからね。

行った ところで何する訳でも ねえんすよ、なあ 実樹貴。」


「あ?ああ、そうだね。」


「え?!はぐれ者?それじゃあ…

(やばい、言っちゃうところだった。

それじゃあミッキーがひとりぼっちになっちゃうじゃんて。

みんな銀ちゃんの事情が分かってて協力してるんだよね。

ミッキーも銀ちゃんに学校に来てって言わないんだよね。

でも それなら尚更ミッキーが心配だよ。

私も友達 多い方じゃないけど、ミッキーって学校じゃどんな子なんだろ?

…想像に難くないわ、何も分かってない普通の人から見たら ただの変わり者だもの…

ミッキー、私のミッキーが ひとりぼっちで…

なんか泣けてきた!なんか泣けてきた!

そうだ睦美がいるじゃない!同じクラスなら睦美と…

ああああああ!なんか睦美とは関わらせたくない!

どう考えたって睦美の方がミッキーにお似合いだもんな。

私 以外には優しくて、おしとやかで、可愛くて。

それに 引き換え私は キツイ顔でハードコアで…

でも睦美とミッキーがそうなったら 銀ちゃんはどうなるの?

ああああああ!訳 分かんなくなって来た!)」


「亜希さん、ねえ 亜希さん。」


「ん?え?なあにミッキー。」


「今日のイベントのハーフタイムショーと試合の解説、僕がやるんですよ。

今日は曲作り休んで、見て行ってくれませんか?

無理ならいいんですよ、良かったらですから…ダメですか?」


「え!ハーフタイムショー?!それってなにするの?!」


「それは ナイショです、見てのお楽しみって事で。」


「お楽しみ?!もしかしてセクシーな衣装で 躍り狂うとか?!」


「あははは!僕のセクシーな衣装なんて誰も見たくないでしょうけと、まあ そんな感じですかね。」


「見る!見る!見る!見る!奇遇ね、ホント奇遇、今日はちょっと息抜きしようと思ってたのよ!」


「良かった、出来たての曲 聴かせてくれた お礼に頑張りますから。」


「(曲のお礼?!ああああああセクシャルな事しか思い浮かばない!)」


「どうしました?今日の まかないはアジのなめろうですよ。はい、召し上がれ。

漁師メシってやつです、銀三郎も食うだろ?」


「おう、悪いなゴチんなるぜ。」


「あああああああ!美味しそう!

(訳わかんなくなって来た!睡眠欲を除く三大欲求で訳わかんなくなって来た!)」



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