天使と悪魔と つまんだらいいじゃん
♩あなたなーらどうする あなたなーらどうする♩
「亜希さんご飯粒一つ残さず食べてくれた、すげー嬉しいけど俺はどうしたらいいんだろう。
この洗わず返却された曲げわっぱと箸をどうしたらいいんだろう!
俺が洗えばいいとか、女の子が借りた弁当箱と箸を洗わず返すなんて何事?とかそんな話じゃないんだ!
俺の心は踊った!洗わず返された箸を見て心が踊ったんだ!
これは亜希さんの口の中に入った物だと!
そんな俺の心の中の天使と悪魔が俺にささやく!
天使は箸をしゃぶりつくせと言う!
悪魔はチン○コをはさめと言う!
ああああああああああああああ!
どっち道ド変態じゃねえか!
ああそうさ、◯にはいるのはポの一文字さ!
音大に通ってるお嬢様なんて 俺なんかには高嶺の花だけど、諦めてる訳じゃねえんだ!
でも不釣り合いだよなぁ、仲良くしてくれてるけど恋愛対象じゃないだろうなぁ。
それなら やっぱり舐めちゃおうかなぁ。
いやいやいやいやいや!万が一付き合えた場合、箸を舐めた変態という十字架が俺にのしかかり 心から亜希さんを愛する事など出来はしない!
そう、出来はしないのだ!
なんかおかしな事になって来たよ、このままやったら保険が適用される状態になるな。
そうだ!保険で思い出した!保留だ!そうそう保留 保留、明日のお弁当は箸を使わない献立にすればいいんだ。
そうと決まったら明日の弁当 下ごしらえして寝ようっと。
今日も常連さん達 楽しかったし、亜希さんはハードコアで可愛かったなぁ、明日も会えるなんて幸せだなぁ。
あ!ああ!ライン来た!亜希さんからだ!
「もう寝た?起こしちゃったらゴメンね。
今日はお弁当とっても美味しかった、ホントにありがとう。
つーか 出会えてから ずっとありがとうなんだけどね。
私 今夜は もう少し曲作り頑張る、なんだか後から後からメロディが浮かぶんだ。
出来上がったら一番最初にミッキーに聞いて欲しいんだ。
そんな訳で明日もお弁当期待しているんでよろしく!
近い内に 美味しいお弁当に見合う お礼するんで期待してて、おやすみミッキー❤︎」
来た来た来た来た来たぁぁぁあ!!
これって脈あるんじゃね?もしかして亜希さん俺に気があるんじゃね?
弁当のお礼ってなんだろ?!ああああああああああああ!セクシャルな事しか考えられない!
ダメだぁ!楽天の2番打者テゲーロがネゲーロ、寝ゲーロ!
ああ 超面白いダジャレで正気に戻れた、返事しなくちゃ、亜希さん頑張ってるんだから応援しなくちゃ!
「起きてましたよ、どういたしましてです。
亜希さんが作る曲 凄く楽しみにしてます。
僕なんかに最初に聞かせてくれていいのかな?でもホントに嬉しい。
亜希さんも明日のお弁当楽しみにしてて僕も頑張って作るから。
くれぐれも睡眠時間に気を付けて頑張って下さい、長文で送ってくれて嬉しかった、おやすみなさい。」
どうだ!セクシャルな文面を我慢したぞ!それ送信!
返事 来るのかな?いやいや期待しちゃダメだ、亜希さん忙しいんだから。
うーん返事が来ない場合どうだろう?他の男とラインのやりとりが忙しいとか?
ああああああああ!他の男ぉぉぉぉぉ!
ダメだぁ!考えちゃダメだぁ!
超面白いダジャレ!超面白いダジャレ何か無い?早くしないとノイローゼになる!
ああああああああ!返事来たぁ!即座に来たぁ!
「長文キモかった?いつもは一言二言なんだけど、なんか言いたい事が後から後からね。
あ ごめんね、ミッキーこそ早く寝てね、私のせいで寝坊しちゃったら申し訳ないもの、改めて おやすみなさい❤︎」
ああああ幸せだぁ!も、漏れそう!アテント!アテントを下さい!
でも どうしよう、返事どうしよう、送ったら亜希さん気を使って また返事くれるよ、曲作りのじゃましちゃ悪いよ。
ああああああああ どうしよう!
そうだ!窓開けて亜希さんの家に向かって、おやすみなさいと叫ぶんだ!聞こえるかも知れないぞ!
ああああ!どうかしてる!治療が必要だ!」
♩トゥルル テコンテンテン♩
「ああああ!鳴ってる!着信来た!どうしよう!このテンションで出たら変態丸出しだ!
御依頼者はゴリラ医者、良し!落ち着いた。
はい 実樹貴です。」
「あ、ミッキー?いつもミッキーって呼んでるから ちょっと キョドッちゃった、ごめんね。」
「いえいえ、そんなこと。それよりどうしたんですか?」
「うん…その…ええと…声が聞き…そ!そうよ!
まだ途中なんだけどね、出来たワンフレーズだけでも聞いて欲しくなっちゃってさ。
感想とかね、誰かのリアクションって凄く励みになるのよ。
ほんのちょっとだけでいいんだ、聞いてもらえるかな?」
「はい!もちろんですよ!」
「ありがとう!そんじゃあまえちゃうね。
ん!んん!それじゃ行くよ。
♩アーァラララーララ ンンンンアーァ♩」
「(ぬおおおおお!フルートで演奏してくれるのかと思ったら ハミング!肉声!ハ、ハ、ハ、ハミ肉!!
バカ!落ち着け実樹貴!亜希さんの歌声に集中しろ!
あ…ああああ…なんて綺麗な声なんだ。透き通っていて甘くて切なくて…
ヤバイよ涙出て来たよ。」
「♩ンーンァァーァ……
え、ええと、ど、どうだった?」
「ふぇぉえんほぅ…(ダメだぁ声が出ないわぁ)」
「あれ?ミ、ミッキーどうしたの?何かあった?」
「ぬぁんでもぉうありません。(よかった、喋れるようになって来た)
あの僕 音楽を評価できる程 知識も感性も無いんで、心に浮かんだ記憶と気持ちを言います。」
「え?!そんなふうに感想 聞かせてくれるなんて凄い!
感性が無いなんて嘘よ!感性バリバリじゃない!普通は きれいなメロディだねとかそんなだもの。
で、どんな事 思い出したの?どんな気持ちになったの?」
「思い出したのは サッカーを始めたばかりの小学生の頃です。
僕 超人見知りで、中々チームと溶け込めなくて いつも一人でいたんですけど、一人だけ話し掛けてくれる先輩がいて。
その人は物怖じしない人で、凛としてて、ふわーっとほのかに光って見えて、気が付くと いつもその人を見てました。
それが思い出した記憶で、その人を見てる時 いつも感じてた、
高い空に飛ぶ鳥に手を伸ばすみたいな、苦しくて甘い気持ちです。
これが僕の感想です。」
「そ、そ、そ、そ、そ、そ、それは、は、は、は、は、は、初恋?」
「うーん、そうなんでしょうけど、僕はもっと崇高なものだと思いたいんです。」
「崇高な…ああ、なんか分かる気がする。
あとね、そ、そ、そ、そ、そ、その人はだ、だ、だ、だ、男性なの?」
「あははは!まさか!僕のサッカークラブは男女 両方のチームがあって、それぞれの大会に出てる 結構大きなクラブだったんです。」
「そ、そうよね、そうよ そうなのよ。
そう言えば私のクラブもそうだった、男女両方のチームがあった。
でも女の子で凄い上手なコがいて、男の子のチームに出てたな。
すっごいカワイイ顔して凄い上手なんだよね…
そう!そうそうそう!そんなことはどうでもいいんだ!
感想 凄い嬉しかった!私の曲がそんなふうにミッキーの心を動かしたなんて凄く嬉しい。
ありがとう、がぜんやる気出ちゃったよ!」
「どういたしまして…」
「うん…それじゃあ…やだな…切りたくない…」
「え?」
「ううん なんでもないの、それじゃあまた明日ね、おやすみミッキー。」
「はい、おやすみなさい、睡眠時間はきちんと確保して下さいね。」
「うん、ありがとう…」
「はい…」
「うん…」
「………」
「…ねえ、ミッキーが切ってよ。」
「あっ!はい、それじゃあ切りますよ。」
「うん…」
通話時間32分26秒
「ああ、こんな時間経ってたんだ…曲作りの邪魔ちゃったな。
でも全然 話し足りないな、亜希さん…
なんて素敵な人なんだろ、あんなメロディが作れて、あんな綺麗な声で、あんな綺麗な顔して、あんな可愛い顔で笑って。
亜希さん 明日まで待てないよ、今すぐ会いたい。」
「ミッキー 今すぐ会いたい。
声が聞けたら曲作りに集中できると思ったけど、逆だよ…
あんなふうに感想 言ってくれるなんてさ…
曲を作った私と、聞いてくれたミッキーの心にある気持ちが同じなんだもの。
この曲は あなたを見てる時の私の気持ち、苦しくて甘い、二十歳になるまで こんな気持ち知らなかった。
ちょっと遅過ぎるのかな?
崇高な気持ちか…私のこの気持ちも同じだと思いたいな。
ミッキーもこんな気持ちだったのかな?ミッキーの初恋の人ってどんな人なんだろ?
ああああああああ!急にムカついてきた!
ちくしょう!なんで私じゃないのよ!私はキミが初恋だっていうのにさ!
ああああああああ!降りて来た!メロディ降りて来た!サビはおもいっきし激しくなるわよ!
私の曲を聞いて同じ気持ちになってくれるなら、理不尽なジェラシーに身悶えるといいわ!おほほほほほほ!」




