6:いつもの日常
あれから自分の家へ帰った界人は、自分が思っていたよりも疲れていたらしく次の日は丸一日寝ていたらしい。学校は休むと聞いていたので、界人の担任には私から休みだと伝えておいた。
そして次の日、つまり今日の朝
いつもの時間にアラームを止めて、部屋で制服に着替え1階に降り、顔を洗いリビングのドアを開ける
そこには我が家で朝ごはんを食べる界人がいた。
「おはよぉ、界人」
「おはよ。衣織のおばちゃんもう仕事行ったで」
ママ、今日はパート早番なんやな。
界人のママとパパが出張で居ない時は界人は我が家で朝ごはんと夜ごはんを食べる。パパだけが居る時は朝も夜もパパの作るガッツリ男飯らしく、よく胃もたれして気持ち悪そうにしているけど、きっと何も言わず全部食べているのだろう。
「界人、今日お昼どうすんの?」
「コンビニで買おうと思ってたけど、おばちゃんが早番なら衣織も今日弁当なしやろ?学食行く?」
「うん!行く!廊下で待ち合わせな!」
勢いよく答えた私に少し笑いながら
早よ食わな化粧やらアイロンやらする時間なくなんで
と言い、自分が使った食器を洗う界人を見て慌てて朝ごはんを食べる
———キーンコーンカーンコーン
「いおー、今日お弁当?」
「ううん、今日は界人と学食!一緒に行く?」
あ、そうなん?それなら私も彼氏と食べるわーとお弁当を持って教室を出る友達の背中を見送る
「衣織、早よ行こ」
廊下から私を呼ぶ界人の声に、慌てて財布を持ってかけ寄る「ごめん、お待た「いおりちゃーん!!」
「うわぁ!ビックリしたぁ、河村くんかぁ」
「界人がチャイム鳴ってすぐ教室出たから、衣織ちゃんと学食行くんかなと思ってこっそりついてきた!」
界人の後ろから飛び出してきた河村くんに驚いたのは私だけじゃなかったみたいで、界人が河村くんの首根っこを掴んでいた。
「ぐぇっ!ごめんて界人!俺も衣織ちゃんと仲良くなりたかってんもん!」
「ちょっと界人、離してあげてー!河村くんも一緒でいいやん!」
界人の手が離れて、ゲホゲホと咳をする河村くんの顔を覗き込み、大丈夫?と声をかける
「おい衣織、そいつの演技に騙されんな」
行くぞ。と私の手を掴み歩き出す界人に慌ててついて行くと、その後ろを「界人!衣織ちゃん待ってー!」と河村くんが元気そうに追いかけてくる。
……ほんとに演技だったのか。
「君ら二人がそうやって並んでごはん食べてると、ドラマのワンシーンみたいやなぁ」
学食名物スタミナ丼を早々に食べ終わった河村くんが
向かいに座る私と界人を見てしみじみと言う
「えーそんなん初めて言われた!界人だけじゃなくて私も?」うれしーありがとーと言うと
河村くんは気の毒そうな顔で私を見る
「可哀想な衣織ちゃん…番犬が後ろで目ぇ光らせてるせいで、自分が高嶺の花になってる事も知らんと…って、痛ぁ!おい、界人!足蹴んな!」
「うるさいねん!余計なこと言うなや!」
テーブルがガタガタと揺れている
…なんか喧嘩してるけど、界人の日常が無事に戻ってほんまによかったな、うんうん
さ、うるさい二人は放っといて教室かーえろっ




