7:それならどうしろと
学校からの帰り道、いつもよりちょっとだけ界人の近くを歩く。この前みたいな事があった時に、今度こそ界人の手を掴むため。
「あ、そういえば結局話せてなかった界人が勇者に選ばれた理由とか発生条件とか今後の対策の話しよ!」
「あー俺が寝てて話せんかったやつか」
じゃあ衣織の部屋行こかと一緒に私の家に帰る
「界人はなんで自分が選ばれたんか聞かんかってんやんな?」いきなり旅に出たし…
「うん、でも俺を召喚したおっさんが俺のこと、特別な血とかなんとかごちゃごちゃと言ってたわ」
「ごちゃごちゃでまとめたらあかんやん、絶対重要なこと言われてるやん」
「でも考えたところでもう関係ないやん。もう一回同じ世界に召喚されたりしたら何とか対策せなあかんけど」
もう魔王は倒したしなぁと考え込む
「その特別な血とかがさ、界人が行った世界にとってだけならいいけど、他の異世界にとっても特別な血とかならまた召喚される可能性あるんちゃう?」
「え?俺、何回も魔王倒しに行かなあかんの?」
「絶対ないとは言い切れんし、今度は数時間で帰れんかもしれんしちゃんと準備しとこ!」
全然乗り気じゃない界人を説得して、居なくなった時に両親に渡す手紙を書いてもらう。
「えーっと、ちょっと家あけるけど、心配はいらんから……と、こんなんでいい?」
「うん。これ預かっとく!あ、一応名前書いて」
伊勢谷 界人…と名前を書いて、はい。と渡された手紙を読んでいると、ある事に気付く
「ちょ、ちょっと待って界人…私、界人が勇者に選ばれた理由わかったかもしれん」
「はぁ?なんやねん」
絶対信じてない顔をしてる界人に、手紙を見せる
「見て。名前」
伊勢谷 界人と書かれた部分をトントンと指で叩く
「だから何?名前がどうしたん?」
「いせや かいとってさ、いせ界人。ほら!異世界人になるねん!」
絶対これやん!と騒ぐ私に界人は呆れた声を出す
「無理矢理すぎるやろ、名前が理由て。そんなんどうしろって言うねん」
「だってさぁ!異世界召喚された人の名前が異世界人になるなんて出来すぎてるもん!」
もしかしたら界人、これから何回も異世界行ってそのうちこっちに帰るのやめて異世界人になるんちゃうん…と、ちょっと涙目になる私に界人は困ったように笑う
「俺がこの世界に帰るのを諦めることは絶対にないから大丈夫や。…まぁ衣織は帰って来なさそうやけどな」
「いや!!私今回のことで考えを改めてん!!」
今回の出来事でよーく分かった
異世界召喚はこの世界ではただの行方不明!
この世界にいる自分を大切に思ってくれてる人達を悲しませる事になる、と強く実感したのだ。
なんや言うてみいってちょっとムカつく顔をしてる界人に向かって堂々と宣言する
「私が目指すのは異世界転生や!!!」




