5:思ったんとちゃう
「いやおかしい!受け入れんの早すぎ!何でそんないきなり出発したん!?何で1人で行ったん!?」
「俺が勇者!?とか言ってる時間がもったいないし、仲間なんて引き連れて行ったらメシとか睡眠に時間取られるやん」
ちなみに異世界にもテントはあったで、と言う界人の胸をポカポカと叩く
「なんでそんな危ない事したん!?もし、もし死んでたらどうすんの!?早く帰ってくるより命の方が大事やろ!」ムカつきすぎて涙が出てくる
界人はきっと私がこんなに泣いて怒るなんて想像もしなかったんだろう、驚いた顔をして黙って私のへなちょこパンチを受け止めている
「…ごめん衣織、確かに危なかった。とにかく早よ帰らなってそれしか考えてなかった」
「なんで、そんなに急いだんよ…」
「こっちとどんだけ時間がズレるか分からんかったから…お前だけ大人になって、俺の知らん奴と結婚とかしてたらどうしようかと思って…」
と、バツが悪そうに答える
「あ……あほー!!そんな事で命を危険にさらすような事するなーー!!!」
「……おかしいな、何かもっとワクワクした感じで異世界の事根掘り葉掘り聞いてくると思ってんけど」
意外と俺の事心配してくれるんやな、とちょっと嬉しそうな界人に余計ムカついてくる
そりゃあ聞きたいことはいっぱいある!
異世界の言語も、食べ物も、魔物や魔王の容姿も気になる事はいっっぱいある!!
だけどあまりにも幼馴染が危なっかしい!
界人は同い年の割に落ち着いていて冷静で、危ない事をして怒られるのはいつも私の方だった。
なのに、なのに!
界人がこんなに向こう見ずな奴だったなんて!!
怒ってそっぽを向く私に、界人は優しく話しかける
「ごめんて衣織、もう危ない事しやんから」
子供をあやすみたいに優しく言う界人に、だんだんと気持ちは落ち着いてくる
「はぁ…もうわかった。まぁこんな事は二度と起こらんやろうし、私も界人の立場になったら早く帰りたいって思うやろうし」
ごめんごめんと頭をぽんぽん撫でる界人をもう1回だけ睨みつけたら、気持ちを切り替えて本当は聞きたくて堪らなかった異世界の事を聞く
「どんな言葉話してたん?」
「あー、忘れた。頭では知らん言語やって分かるねんけど、日本語みたいに普通に聞き取れたから」
「じゃあ見た目は?」
「顔濃い人も薄い人も居たし肌の色もバラバラやったけど、髪の色とか目の色はアニメみたいやったわ」
「すごぉーい!やっぱりみんな美形やった?」
「いや、それはそうでもなかったな、綺麗な人も居たんやろうけど別にそれはこの世界でも同じやし」
「えぇーそれはガッカリ。あ、でも界人がちゃんと旅の仲間に会ってたらその人達はビックリするぐらい美形やったかもしれんで」
「どうやろな。見た目の事で1つだけ良かったのは、魔王とか魔族が人型じゃなかったことやな」
「え!?どういうこと?」
「なんか黒いモヤモヤのかたまりみたいなやつとかドロドロのやつやったから躊躇なく斬れたわ。魔王もちょっとデカめの黒いモヤモヤやったしな」
魔王って、ツノの生えた黒髪イケメンちゃうんや…残念すぎる。まぁ一応メモしとこ
「界人は?この世界と同じ基準でイケメン扱いされてたん?」
「え?あー…いや別に」
あ、目線逸らして右耳触ってる。
界人本人は気付いていない嘘ついた時の癖
「ふふ、まぁ界人が無事に帰ってきてよかった。1週間以上かかってたら行方不明扱いやったやろうな」
「そうやな、もう二度とごめんやわ」
「疲れてるやろ?今日はもう帰って休んだら?」
そんで明日は界人が選ばれた理由とか発生条件とか今後の対策を考えよ!と言うと、やっぱり疲れていたみたいで「明日学校休むわー」と言って界人は自分の家へ帰って行った。




