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浮気調査から始まる商業帝国築き上げた件について  作者: 白鼠


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7/27

私は到着した時、結衣は既にそこにいた。


彼女は高い窓の前に立ち、背を扉に向けていた。朝の光が全面の硝子壁から注ぎ込み、彼女の全身に冷たい白の輪郭を描き出している。薄鼠色の襟元の高い手編みの上衣を着て、髪は後ろで低く一つにまとめていた——この装いは彼女を社長らしく見せず、むしろ講義に向かう教授のように見せていた。


扉の音を聞いて、彼女は振り返った。


「座って」彼女は長椅子を指さし、自分から先に腰を下ろした。


私は座らなかった。扉の側の書棚に寄りかかり、両手を袂に入れて、彼女が口を開くのを待った。


彼女は私をひと目見て、無理に勧めはしなかった。


「この三日間」彼女が口を開いた。声はいつもよりゆっくりとしていた。「いろいろ考えた」


私は待った。


「佐藤が来たあの日、私が秘書に彼を通したの。彼は下で二時間待っていた。私も二時間、見ていた」彼女はうつむいて自分の手を見つめた。「あなたがこのことを知るだろうというのは、分かっていた」


「ああ」


「隠そうとは思わなかった」彼女は顔を上げた。その目は私が思っていたよりもずっと落ち着いていた。「ただ……どう対処すればいいか、分からなかっただけ」


「今は分かったのか?」


彼女は数秒、沈黙した。


「小林」彼女が言った。「あなたはあの時、私に尋ねた。どのような立場で彼に会えばいいのか、と。私はあなたは私の婚約者だと言った。その言葉は真実よ」


「だが?」


彼女の指が組み合わされる。あの仕草がまた現れた。


「でも、あなたが私に『信じている』と言った時、あなたが何をしているのか、私には分かっていた」彼女の声はかすかだった。「あなたは私が選ぶのを待っていた。全ての重荷を私に背負わせておいて、あなたは一歩下がって、私が一人で苦しむのを見ていた」


この言葉は、私が予想していたよりもずっと的確だった。


「不当だと?」


「いいえ」彼女は首を振った。「ただ……あなたは賢すぎると思う。負けることのないほどに」


彼女は立ち上がり、私の前に歩み寄った。彼女の纏うほのかな香りが届く距離まで——あの夜のものではなく、いつもの冷たい木の香りだった。


「私、佐藤に答えを出したの」彼女は私の鎖骨あたりを見つめ、目は合わせなかった。「でも彼が聞きたかった答えではなかった」


「どんな答えだ?」


「婚約は二つの家の約束だから、私情でそれを壊すわけにはいかない、と」


私情。


この二文字が彼女の口から紡がれた時、まるで刃のように、全ての体裁の仮面を正確に切り裂いた。


「では」私は彼女を見下ろした。声は穏やかだった。「彼に情があると、認めるのだな」


彼女はようやく顔を上げた。目の縁は赤かったが、泣いてはいなかった。


「あなたを騙すわけにはいかない」彼女は言った。「佐藤は、私の幼い頃の最も大切な人だった。あの記憶は私にとって……真実だった」


彼女は深く息を吸った。


「でもあなたは私の婚約者よ。この選択は、もう私がしたこと」


「したのか?」私はその言葉を繰り返した。「それとも、せざるを得なかったのか?」


彼女の唇が微かに震えた。


「違いがあるの?」


「ある」私は言った。「前者はお前の選択だ。後者は私の切り札だ」


執務室の中は長く静まり返った。窓の外から車の走る音が聞こえる。低く、水の向こう側にいるかのようだった。


彼女は振り返り、窓辺へ歩いていき、再び背を向けた。


「この三日間、私は彼の住処へ行った。二度見に行ったけれど、中には入らなかった。川辺に座って、私たちのことを考えていた——あなたと私の、初めて会った場所もあそこにある」彼女の声は少しかすれていた。「二人を比べていたわけじゃない。私が欲しいのは一体何なのか、それを考えていたの」


「はっきりしたのか?」


「はっきりしたわ」彼女は振り返った。その顔の表情が変わっていた——弱々しさではなく、何か硬い、焼き入れを経たようなものがあった。「私が欲しいのはこの婚約よ。家のためでも、利益のためでもない。あなたのためだ」


この言葉の重みは、私が思っていたよりもずっと深かった。


彼女は続ける。「あなたが私と向き合うやり方は、佐藤とは違う。彼は私を心地よくさせることを知っている。でもあなたは私を……よりよく変えることを知っている。私はあなたが必要だ」彼女は一呼吸置き、言葉を選んでいるようだった。「佐藤が来た時、私は自分が彼を懐かしんでいるのだと思っていた。でもこの三日間で分かった。私が懐かしんでいたのは、選択をしなくてもよかったあの頃の自分だった」


「今は?」


「今は」彼女が私を見た。「もう選んだ」


沈黙が二人の間に広がった。


携帯電話が震えた。誰からかは見なくても分かった——佐藤の入社の確認報せだ。今日の午前十時までに届くはずだった。


私は携帯を取り出し、一瞥した。


案の定だった。


「佐藤の入社手続き完了。月曜日、出社」


私は画面を彼女に向けた。


彼女の表情が変わった——驚きでも、慌てでもない。非常に複雑な、まるですべてを見透かされたような、みっともなさを帯びたものだった。


「あなた……」


「警備責任者。年収三十万」私は携帯を仕舞った。「彼は面接に通った。自分の力でだ。私の手配ではない」


彼女は口を開きかけて、言葉が出なかった。


「結衣」私は彼女を呼んだ。声は穏やかだった。「お前が今言った言葉、私が覚えておく。だが、もう一つ、お前に覚えておいてほしいことがある」


彼女は私を見た。


「選んだなら、やり通せ」私の声は大きくなかったが、一言一言が釘を板に打ち込むようだった。「佐藤がここで働き続けること。それはお前の選択がもたらした結果だ。お前は彼と向き合わねばならない。毎日ではないかもしれないが、毎週、顔を合わせることになるだろう。もしお前がいつかそれを覆そうものなら——」


私は一呼吸置いた。


「二度目の機会は与えない」


彼女の身体が微かに揺れた。風に吹かれた木のように。


「覆したりしない」彼女は言った。声はかすかだが、確かな響きがあった。


私は彼女を見つめた。彼女の目に、そらすことも、迷いもなかった。ただ、手術を終えた直後のような、虚脱と清醒が混じったものがあった。


「よし」私は言った。


---


昼過ぎ、私は佐々木会社の建物を出ようとして、入り口で佐藤に会った。


彼はあの洗いざらしの白い上衣を着て、手に茶封筒を持っていた。


「小林様」彼が私を呼んだ。


私は立ち止まった。


「入社手続きに来ました」彼は言い、封筒を私に差し出した。「これ、お渡し願えますか」


私は封筒を開けた。中には一通の手紙が入っていた。佐々木結衣の宛名が書かれている。封はされていなかった。


「お読みになりますか?」彼が尋ねた。


「いや」


「お読みになっても構いませんよ」彼は言った。「別れの手紙ですから」


私の指が封筒の縁で止まった。


「彼女は選んだと言っていました」佐藤の声は穏やかだった。まるで他人のことを話しているかのようだった。「彼女が誰を選んだのか、私には分かっています」


彼は背を向けて歩き出した。その背筋はまっすぐで、移植に失敗した木のようだった。引き抜かれ、どこに植えればいいのかも分からないままで。


私は手の中の封筒を見下ろした。


開けるか。開けないか。

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