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私は到着した時、結衣は既にそこにいた。
彼女は高い窓の前に立ち、背を扉に向けていた。朝の光が全面の硝子壁から注ぎ込み、彼女の全身に冷たい白の輪郭を描き出している。薄鼠色の襟元の高い手編みの上衣を着て、髪は後ろで低く一つにまとめていた——この装いは彼女を社長らしく見せず、むしろ講義に向かう教授のように見せていた。
扉の音を聞いて、彼女は振り返った。
「座って」彼女は長椅子を指さし、自分から先に腰を下ろした。
私は座らなかった。扉の側の書棚に寄りかかり、両手を袂に入れて、彼女が口を開くのを待った。
彼女は私をひと目見て、無理に勧めはしなかった。
「この三日間」彼女が口を開いた。声はいつもよりゆっくりとしていた。「いろいろ考えた」
私は待った。
「佐藤が来たあの日、私が秘書に彼を通したの。彼は下で二時間待っていた。私も二時間、見ていた」彼女はうつむいて自分の手を見つめた。「あなたがこのことを知るだろうというのは、分かっていた」
「ああ」
「隠そうとは思わなかった」彼女は顔を上げた。その目は私が思っていたよりもずっと落ち着いていた。「ただ……どう対処すればいいか、分からなかっただけ」
「今は分かったのか?」
彼女は数秒、沈黙した。
「小林」彼女が言った。「あなたはあの時、私に尋ねた。どのような立場で彼に会えばいいのか、と。私はあなたは私の婚約者だと言った。その言葉は真実よ」
「だが?」
彼女の指が組み合わされる。あの仕草がまた現れた。
「でも、あなたが私に『信じている』と言った時、あなたが何をしているのか、私には分かっていた」彼女の声はかすかだった。「あなたは私が選ぶのを待っていた。全ての重荷を私に背負わせておいて、あなたは一歩下がって、私が一人で苦しむのを見ていた」
この言葉は、私が予想していたよりもずっと的確だった。
「不当だと?」
「いいえ」彼女は首を振った。「ただ……あなたは賢すぎると思う。負けることのないほどに」
彼女は立ち上がり、私の前に歩み寄った。彼女の纏うほのかな香りが届く距離まで——あの夜のものではなく、いつもの冷たい木の香りだった。
「私、佐藤に答えを出したの」彼女は私の鎖骨あたりを見つめ、目は合わせなかった。「でも彼が聞きたかった答えではなかった」
「どんな答えだ?」
「婚約は二つの家の約束だから、私情でそれを壊すわけにはいかない、と」
私情。
この二文字が彼女の口から紡がれた時、まるで刃のように、全ての体裁の仮面を正確に切り裂いた。
「では」私は彼女を見下ろした。声は穏やかだった。「彼に情があると、認めるのだな」
彼女はようやく顔を上げた。目の縁は赤かったが、泣いてはいなかった。
「あなたを騙すわけにはいかない」彼女は言った。「佐藤は、私の幼い頃の最も大切な人だった。あの記憶は私にとって……真実だった」
彼女は深く息を吸った。
「でもあなたは私の婚約者よ。この選択は、もう私がしたこと」
「したのか?」私はその言葉を繰り返した。「それとも、せざるを得なかったのか?」
彼女の唇が微かに震えた。
「違いがあるの?」
「ある」私は言った。「前者はお前の選択だ。後者は私の切り札だ」
執務室の中は長く静まり返った。窓の外から車の走る音が聞こえる。低く、水の向こう側にいるかのようだった。
彼女は振り返り、窓辺へ歩いていき、再び背を向けた。
「この三日間、私は彼の住処へ行った。二度見に行ったけれど、中には入らなかった。川辺に座って、私たちのことを考えていた——あなたと私の、初めて会った場所もあそこにある」彼女の声は少しかすれていた。「二人を比べていたわけじゃない。私が欲しいのは一体何なのか、それを考えていたの」
「はっきりしたのか?」
「はっきりしたわ」彼女は振り返った。その顔の表情が変わっていた——弱々しさではなく、何か硬い、焼き入れを経たようなものがあった。「私が欲しいのはこの婚約よ。家のためでも、利益のためでもない。あなたのためだ」
この言葉の重みは、私が思っていたよりもずっと深かった。
彼女は続ける。「あなたが私と向き合うやり方は、佐藤とは違う。彼は私を心地よくさせることを知っている。でもあなたは私を……よりよく変えることを知っている。私はあなたが必要だ」彼女は一呼吸置き、言葉を選んでいるようだった。「佐藤が来た時、私は自分が彼を懐かしんでいるのだと思っていた。でもこの三日間で分かった。私が懐かしんでいたのは、選択をしなくてもよかったあの頃の自分だった」
「今は?」
「今は」彼女が私を見た。「もう選んだ」
沈黙が二人の間に広がった。
携帯電話が震えた。誰からかは見なくても分かった——佐藤の入社の確認報せだ。今日の午前十時までに届くはずだった。
私は携帯を取り出し、一瞥した。
案の定だった。
「佐藤の入社手続き完了。月曜日、出社」
私は画面を彼女に向けた。
彼女の表情が変わった——驚きでも、慌てでもない。非常に複雑な、まるですべてを見透かされたような、みっともなさを帯びたものだった。
「あなた……」
「警備責任者。年収三十万」私は携帯を仕舞った。「彼は面接に通った。自分の力でだ。私の手配ではない」
彼女は口を開きかけて、言葉が出なかった。
「結衣」私は彼女を呼んだ。声は穏やかだった。「お前が今言った言葉、私が覚えておく。だが、もう一つ、お前に覚えておいてほしいことがある」
彼女は私を見た。
「選んだなら、やり通せ」私の声は大きくなかったが、一言一言が釘を板に打ち込むようだった。「佐藤がここで働き続けること。それはお前の選択がもたらした結果だ。お前は彼と向き合わねばならない。毎日ではないかもしれないが、毎週、顔を合わせることになるだろう。もしお前がいつかそれを覆そうものなら——」
私は一呼吸置いた。
「二度目の機会は与えない」
彼女の身体が微かに揺れた。風に吹かれた木のように。
「覆したりしない」彼女は言った。声はかすかだが、確かな響きがあった。
私は彼女を見つめた。彼女の目に、そらすことも、迷いもなかった。ただ、手術を終えた直後のような、虚脱と清醒が混じったものがあった。
「よし」私は言った。
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昼過ぎ、私は佐々木会社の建物を出ようとして、入り口で佐藤に会った。
彼はあの洗いざらしの白い上衣を着て、手に茶封筒を持っていた。
「小林様」彼が私を呼んだ。
私は立ち止まった。
「入社手続きに来ました」彼は言い、封筒を私に差し出した。「これ、お渡し願えますか」
私は封筒を開けた。中には一通の手紙が入っていた。佐々木結衣の宛名が書かれている。封はされていなかった。
「お読みになりますか?」彼が尋ねた。
「いや」
「お読みになっても構いませんよ」彼は言った。「別れの手紙ですから」
私の指が封筒の縁で止まった。
「彼女は選んだと言っていました」佐藤の声は穏やかだった。まるで他人のことを話しているかのようだった。「彼女が誰を選んだのか、私には分かっています」
彼は背を向けて歩き出した。その背筋はまっすぐで、移植に失敗した木のようだった。引き抜かれ、どこに植えればいいのかも分からないままで。
私は手の中の封筒を見下ろした。
開けるか。開けないか。




