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浮気調査から始まる商業帝国築き上げた件について  作者: 白鼠


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吉田はいつもの場所に呼んだ。あの看板のない茶店、奥まった席、生の普洱茶。私が着いた時、彼は既にそこにいた。前に新聞を広げ、老眼鏡を鼻先に掛けている。足音を聞いて、彼は顔を上げ、眼鏡を外し、向かいを指さした。


「座れ。茶は入れたばかりだ」


私は腰を下ろしたが、茶には手を付けなかった。彼が注いで差し出した。「おめでとう。月曜日からの就任だ」


「吉田副社長、本日伺いましたのは、一つお話ししたいことがあるからです」


彼は茶碗を手に取り、一口含んだ。「言え」


「旧市街再開発の案件の帳簿を、私が調べます」


彼の指が杯の縁で一瞬止まった。意外ではない。「やはり来たか」という静けさだった。


「どこまで調べる?」


「三年以内の全ての事業を監査します。第三者の機関に入ってもらい、帳簿をはっきりさせます」


彼は茶碗を置き、背もたれに寄りかかり、私を見た。「あの中に何があるか、お前は知っているな」


「知っています。だから範囲を定めます」


「どんな範囲だ?」


私は彼を見た。「吉田副社長、あなたは佐々木の会社に三十年いらっしゃる。手がけてきた事業は旧市街再開発だけではありません。私が調べるのは、旧市街再開発の事業の中で、説明のつかない帳簿です。補うべきは補い、返すべきは返し、説明すべきは説明する。しかし古い帳簿には触れず、範囲を広げず、他の事業には手を出しません」


「他の事業には手を出さない」——この言葉の意味は、私が吉田に調べさせてほしいと言われたものだけを調べ、彼が触れてほしくないものには触れないということだ。吉田は理解した。彼は長く沈黙した。茶店の中で誰かが牌を打っている。じゃらじゃらという音が衝立越しに聞こえてくる。


「誰が調べる?」


「第三者機関です。私が探します。あなたがご確認ください」


「調べ終わった後は?」


「調べ終わった後、報告書を出します。補うべき差額は事業の利益から差し引きます。説明すべき資金の行き先は明記します。報告書は封じて、集団の仕組みには入れません」


「仕組みに入れない」——この報告書は証拠にはならず、監査署や証券監督管理委員会の手に渡ることもない。ただあなたたち数人の間で回覧されるだけだ。吉田は再び沈黙した。今度はさらに長かった。


「小林様」ようやく彼が口を開いた。「お前は自分が何を言っているか分かっているのか? お前は、私があの穴を補い、何もなかったことにするのを手伝うと言っているのだ」


「私は、旧市街再開発の事業を清らかにすると言っているのです」私は彼を見た。「吉田副社長、あなたは地産をやってこられた。今の監視がどれほど厳しいか、よくご存じでしょう。旧市街再開発の事業の帳簿が曖昧なら、いずれ問題になります。誰かに調べられるのを待つより、自分たちで先に清めるべきです。清めれば、あなたも清らかになり、事業も清らかになり、佐々木の会社も清らかになります」


「おじい様の方はどうする?」


「おじい様の部分には触れません。伊藤が経手したものにも触れません。私が調べるのは、あなたのこの部分だけです」


吉田は茶碗を手に取り、一口含んだ。茶はもう冷めていた。彼は微かに眉をひそめた。


「お前は私に逃げ道を作っている」


「私は皆に逃げ道を作っているのです」私は言った。「吉田副社長、あなたが私をこの席に推したのは、私に能力があるからではありません。あなたは、あなたの後始末をしてくれる者が必要だったからです。私はその者です」


彼は笑った。その笑みはとても苦かった。茶の後味のように、舌の根にいつまでも残る。


「お前は私が思っていたよりも冷酷だ」彼は茶碗を置いた。「そして私が思っていたよりも清らかだ」


「では、お受けいただけるのですか?」


彼は答えなかった。立ち上がり、窓辺へ歩いていき、窓を押し開けた。外は旧市街の路地。布団を干している者、走り回る子供、吠える犬。


「小林様」彼は背を向けたまま言った。「私の息子のあの三百万がどこへ行ったか、お前は知っているか?」


「知っています。おじい様の盤に入りました。伊藤が経手しました」


彼は振り返り、私を見た。その目には驚きと警戒、そしてとても深い疲れがあった。


「お前は何でも知っているな」


「何でも知っているわけではありません。知るべきことを知っているだけです」私は立ち上がった。「吉田副社長、あの三百万のことには触れません。しかし一つ、教えていただきたいことがあります」


「何だ?」


「伊藤は、どちらの側に立っているのですか?」


吉田はしばらく沈黙した。歩み寄り、再び腰を下ろし、私に茶を注いだ。


「伊藤はどちらの側にも立たない」彼は言った。「彼はただ金に立つ。儲けさせてやれば、彼はお前の者だ。彼の金の道を塞げば、彼はお前の敵だ」


「彼は毎年、佐々木の会社からどれだけ得ている?」


「給料は別だ。それ以外のものを含めると」吉田は声を潜めた。「おじい様は毎年彼に二千万の枠を与え、運用させている。彼がどう配分し、誰に与えるかは、おじい様は問わない。彼はただ金を洗い、外に送るだけだ」


「どこへ?」


「香港だ。それからおじい様の私用の口座に入る。一部は私用に、一部は外に残す」


私は頭の中でこの図を描き終えた。伊藤はおじい様の白い手袋だ。毎年二千万の枠。吉田はおじい様の旧市街再開発の操り手。二億の差額。井上はおじい様の業務の担い手。ただ事を成すだけで、立場は取らない。三人、三つの役割。皆おじい様に同じ網に縛り付けられている。


「吉田副社長」私は茶碗を手に取り、一口含んだ。「旧市街再開発の事業の監査、来週の月曜日に入ります。第三者機関は私が探します。報告書は先にあなたにご覧いただきます。どこまで触れてよいか、どこまで触れてはいけないか、あなたが線を引いてください」


彼はうなずいた。


「もう一つ」私は茶碗を置いた。「佐藤です」


吉田の表情が変わった。


「彼は警備部門に置きます。動かしません。彼のことは調べません。彼という人間は、いないものとします」


「もしおじい様が彼を押し上げようとされたら?」


「ならばお任せすればよい」私は言った。「佐藤には経験も人脈も実績もありません。彼を押し上げることは、彼を傷つけることであり、佐々木の会社をも傷つけることです。おじい様はそんなことはなさらない」


吉田は長いこと私を見つめた。そして彼は笑った。今度は本当に笑った。目に光があった。


「お前は私が思っていたよりも賢い」彼は立ち上がり、手を差し出した。「取引成立」


私は彼の手を握った。今回は三秒。前回より一秒長かった。


茶店を出る時、空はもう暗くなっていた。路地の街灯は古く、光は黄昏色で、青石の道に古い油を塗ったように照らしていた。私は路地の入り口に立ち、煙草に火をつけた。携帯が震えた。鈴木からの報せだった。「伊藤のこと、まだ調べますか?」


私は返した。「やめる。十分だ」


本当に十分だった。私は吉田の弱みを知り、伊藤の役割を知り、おじい様の盤を知った。これ以上は必要ない。今私に必要なのは——腰を据えることだ。


携帯がまた震えた。結衣からの報せだった。「吉田さんに会ったの?」


「どうして知っている?」


「推測よ。会ってきたの?」


「会ってきた」


「彼は何て?」


「承諾した。旧市街再開発の事業の帳簿は、私が清める」


彼女は長く返事をしなかった。そして声の記録が届いた。私が開くと、彼女の声はとてもかすかだった。「小林、あなた、変わったわね」


「どこが変わった?」


「初めの頃は、どうやって勝つかを考えていた。今は、どうやって誰も負けないようにするかを考えている」


私は路地に立ち、この声の記録を二度聞いた。そして画面を閉じ、駐車場へ向かって歩き出した。背後の旧市街には無数の灯りがともり、前方の川の向こうには佐々木の建物の冷たい光。私はその中間を歩いていた。一本の糸のように、この二つの端を繋いで。


月曜日。就任。


私は十八階の執務室に立っていた。目の前には一面の壁一面の旧市街再開発の事業の資料。窓の外は川。佐々木の建物の最上階はおじい様の執務室だ。彼はそこにいる。吉田は隣の執務室に、井上は二十三階に、伊藤は二十階に、結衣は十九階に。それぞれが自分の場所に立ち、あなたがどう石を置くのを見ている。


私は一番上の書類を手に取った——旧市街再開発の事業の評価報告書。三年前。二億の差額。私の指が数字の上で一瞬止まった。そして二頁目を開き、読み始めた。

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