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吉田が指定した場所は旧市街の一角にある茶店だった。見せかけだけの新式の茶楼ではなく、路地の奥深くに隠れ、看板すら無い古い店だった。私が着いた時、彼は既に奥まった席に座っていた。手前に紫砂の茶瓶が一つ、杯が二つ。茶の香りはごく淡く、長年茶を嗜む者でなければ慣れない生の普洱茶だった。
彼は顔を上げて私を一目見たが、立ち上がらなかった。「座れ。この店の茶は良い。二十年飲んでいる」
私は腰を下ろしたが、茶には手を付けなかった。
「吉田副社長、私をお呼び立てて、どのようなお話で?」
彼は私に茶を注ぎ、差し出した。「小林様、あなたは昨日私のところに来て、佐藤のことを尋ねた。私が今日あなたをお呼びしたのは、一つお尋ねしたいことがあるからだ」
「何でしょう?」
「あなたは何を望んでいるのか?」
この問いは率直だった。私は避けなかった。
「佐々木の会社の中で、私に相応しい立場を望んでいます」
吉田の茶碗を手にした手が一瞬止まった。それから彼は笑った。その笑みはごく淡いが、目は笑っていなかった。
「ずいぶん率直だな」
「時間の無駄は意味がない」
彼は茶碗を置き、背もたれに寄りかかった。「立場を望むなら、私にも与えられる。だが、お前は私に何を与えられる?」
「あなたは何を望まれます?」
彼はしばらく沈黙した。指で机の上を軽く叩き、何かを計算しているようだった。
「お前は私の息子が米国にいることを知っているな」これは問いではなかった。
「いくらかは」
「彼は商売で損をした。私には金が必要だ」彼は私を見た。「少ない額ではない」
「いくらです?」
「二千万」
私は茶碗を手に取り、一口含んだ。茶は確かに良かった。苦みの後に甘みが戻り、舌の根に厚みのある味わいが残る。
「二千万、お渡しできます」私は茶碗を置いた。「ただし、ただでとはいきません」
「分かっている」彼はうなずいた。「何を望む?」
「吉田副社長、あなたは来年退職されます。あなたの席は、誰が座るのでしょう?」
彼の目の色が変わった。「私の席に座りたいのか?」
「私は知りたいのです。あなたは誰に座らせたいとお考えなのか」
吉田は長いこと私を見つめた。茶が冷めるほどに、彼は動かなかった。
「小林様」ようやく彼が口を開いた。「お前は私が思っていたよりも賢い。だが、お前は私が思っていたよりも欲深い」
「欲がなければ、あなたのような席には座れません」私は言った。「吉田副社長、あなたはこの席に十年座ってこられた。私よりもよくご存じのはずです」
彼は否定しなかった。茶瓶を手に取り、私に注ぎ足した。
「私の席を、おじい様は佐藤に与えようとしている」
この言葉が彼の口から出た時、私が葵から聞いた時よりも重かった。
「佐藤ですか?」私の表情はうまく抑えられていた。「警備部門の新人が、住宅地産を管理するのですか?」
「だから彼は動けないのだ」吉田の声が低くなった。「佐藤には経験もなく、人脈もなく、資源もない。彼をそこに置けば、ただの飾りだ。本当に実権を握るのは、おじい様の者たちだ」
「では、あなたの者たちはどうなるのですか?」
「私の者たちは、一掃される」彼がこの言葉を口にする時、声は穏やかだった。まるで他人のことを話しているかのようだった。「加藤は十五年私に付き従ってきた。おじい様は彼の推薦を認めなかった。それは私の者たちを根こそぎ引き抜くということだ」
私はしばらく沈黙した。そして彼を見た。
「吉田副社長、もしあなたの席が佐藤ではなく、別の者に与えられたとしたら?」
彼の目が輝いた。「誰だ?」
「私です」
この三文字が口を出た時、茶店の中は隣の席の牌を打つ音まで聞こえるほど静まり返った。
吉田は長いこと私を見つめた。そして彼は笑った。今度は本当に笑った。目に光があった。
「お前?」彼は首を振った。「お前に地産の経験はない。事業を手がけたこともない。おじい様は認めない」
「だからこそ、あなたの推薦が必要なのです」私は言った。「あなたが私を推薦すれば、経験があるからではなく、あなたが私を信頼しているからです」
「私がなぜお前を信じられる?」
「私があなたに二千万をお渡しできるからです」私は彼を見た。「私があなたの息子の米国での会社を存続させられるからです。私があなたが退職した後も、佐々木の会社でのあなたのものを清算させないからです」
吉田の指が机の上で止まった。
「どうやって守る?」
「結衣は18%の株を持っています。葵は7%を持っています。合わせて25%です。おじい様は一票拒否権を持っていますが、支配権はありません。もし私と結衣が同じ側に立ち、あなたの者たちも加われば——」
「夢を見ている」吉田が私の言葉を遮った。「おじい様はこの会社に四十年だ。25%の株で揺るがせる相手ではない」
「揺るがせようとは思っていません」私は言った。「私に手を出せば代償があると、彼に知らせたいだけです」
吉田は長く沈黙した。彼は茶碗を手に取り、冷めた茶を一口含み、眉をひそめた。
「小林様」彼は茶碗を置いた。「自分が何を言っているか分かっているのか? お前は私と手を組み、おじい様に立ち向かおうと言っているのだ」
「私はあなたと手を組み、私に相応しいものを手に入れたいと言っているのです」私は彼を見た。「私にあなたの席を取らせてください。私があなたに二千万をお渡しし、退職後も清算されないことをお約束します。この取引、あなたは損をしません」
「もし私が断れば?」
「それならあなたは待ち続けるのです。おじい様が佐藤を押し上げるのを、あなたの者たちが一掃されるのを、あなたの米国にいる息子が——」私はこの言葉を言い終えなかった。
吉田の顔色が変わった。怒りではない。手の内を見透かされた後の青ざめだった。
「私を脅しているのか?」
「私はあなたと取引をしているのです」私は言った。「吉田副社長、あなたは佐々木の会社に三十年いる。数多く敗れる者を見てきた。いつ手を引き、いつ賭けるべきかを、あなたはご存じのはずです」
彼は長いこと私を見つめた。茶店の給仕が給水に来たが、彼の一瞥で追い返されるほどに。
「二千万」彼は言った。「まず金を見せてもらう」
「一千万を手付金として。事が成った後、残りを」私は立ち上がった。「吉田副社長、この金はあなたの席を買うものではありません。あなたの信頼を買うものです。あなたが私を信じれば、私はその価値があります」
彼も立ち上がり、衣襟を整えた。「お前が約束を反故にしないと、どうやって分かる?」
「約束を反故にしても、私に利はありませんから」私は彼を見た。「吉田副社長、私にはあなたの席が必要です。あなたの者たちも必要です。あなたが退いた後、あなたの古参たちには新しい主が必要です。私はその主になれます」
彼は長く沈黙した。そして手を差し出した。
「取引成立」
私は彼の手を握った。掌はあのまま乾燥し、力強かった。しかし今回は、彼は三秒握ってから離した。
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茶店を出る時、空はもう暗くなっていた。路地の街灯は古く、光は黄昏色で、青石の道に古い油を塗ったように照らしていた。私は路地の入り口に立ち、煙草に火をつけた。
携帯が震えた。鈴木からの報せだった。
「吉田息子の会社の詳細な帳簿、調べがつきました。損失だけではありません。三百万米ドルの貨物代金があり、相手先は空の会社です。この金の行き先は、調べられません」
私は煙草を吸い終え、返した。「続けて調べろ。ただし吉田本人には手を出すな。今は時期ではない」
「承知しました」
私は車に乗り込み、すぐには発進させなかった。運転席に座り、今日のこの交渉を頭の中で反芻した。吉田は金を欲しがり、私は権力を欲しがる。彼が私に席を与え、私が彼に出口を与える。この取引、互いの欲するものを得るものだ。しかし私には分かっている。吉田は全ての卵を一つの籠に入れるような男ではない。彼が私との協力に応じたからといって、他の出口を諦めたわけではない。彼が佐藤を調べ、松本美月を調べているのは、全て逃げ道を探すためだ。私は彼の一つの逃げ道に過ぎない。唯一のものではない。
携帯がまた震えた。結衣からの報せだった。
「今日はどこに行ってたの? 午後、会社にいなかったね」
私は返した。「知り合いに会っていた。ちょっとした用事で」
「どんな知り合い?」
「仕事の話だ。戻ったら話す」
彼女は「うん」と返し、月の印を添えてきた。
私はその印をしばらく見つめ、画面を閉じ、車を発進させた。
車が路地を出る時、後ろ写し鏡で見た。吉田が茶店の入り口に立ち、手に冷めた茶碗を持ち、私の車が去るのを見ていた。街灯が彼の顔を照らし、半ば明るく半ば暗く、表情は見て取れなかった。




