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私は鈴木に一通の報せを送った。
「明日の午後、連絡の途絶えないようにしておけ。網の上で待機していてほしい。何もしなくていい。ただ待っていればいい」
鈴木の返事は早かった。「承知しました。資料は全てまとめてあります。いつでも取り出せます」
私は画面を閉じた。
自室に戻る道すがら、私は佐藤のあの言葉を考えていた——「あの方が握っているものは、あなたが思っているよりも多い」。
おじい様はこの街で四十年をかけて築いてきた。土地商いから始め、資本の運用へ、そしてこの街の隅々まで浸透していった。彼の切り札は、確かに私には底が見えない。しかし底を見る必要もない。私に必要なのは、彼に知らせることだけだ——私の手にも札があると。それを切るためではなく、彼に見せるために。
それで十分だ。
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翌日の午後、私は濃い灰色の背広に着替えた。首飾りは締めなかった。結衣は入り口で私を待っていた。薄い水色の連衣裙を着て、髪を結い上げ、耳には一対の真珠の耳飾りをつけていた——それは私が彼女の誕生日に贈ったものだった。
「今日はとても改まった格好ね」彼女は私を一瞥し、口元に少し笑みを浮かべた。
「おじい様が賭けを設けられたからな。真剣にならねば」
彼女の笑みが少し消えた。「おじい様、あなたに話したの?」
「いや。ただ、覚悟しておけとだけ」
彼女はうつむき、指で無意識に耳飾りを触れた。「おじい様最近……何かとあなたのことを言うの。何か気づいているのかもしれない」
「何に気づくというのだ?」
「分からない」彼女は顔を上げて私を見た。その目にはかすかな不安があった。「でも、あの方は理由もなく賭けを設けるような方ではない」
私は手を伸ばし、彼女の耳飾りの位置を直してやった。指先が彼女の耳たぶに触れた時、彼女の呼吸が一瞬止まった。
「行こう」私は言った。「どんな賭けを設けられようと、私が受ける」
彼女は私を見つめ、唇が微かに動いたが、結局何も言わず、私の腕を取った。
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旧屋敷の奥の庭。おじい様は石の机の前に座り、その前には碁盤が置かれていた。碁石は玉石でできていた。白はしっとりと温かく、黒は沈み込んだ趣があり、一つ一つに手触りの光沢があった。
「来たか」彼は顔も上げず、指で碁盤の上を弄っていた。「座れ」
私と結衣は向かいに座った。彼女は私の隣に座り、姿は端然としていたが、机の下で私の衣の裾をそっと握っていた。
おじい様は最後の石を置き終え、顔を上げた。その視線が私の顔を滑り、結衣に落ち、再び戻ってきた。
「結衣、まず茶を淹れてきなさい」彼は言った。「今年の新茶だ。書斎の二番目の引き出しにある」
結衣は私を一目見て、立ち上がって去っていった。石の机の脇には二人だけが残された。
おじい様は白い石を一つ手に取り、碁盤の中央に置いた。
「小林」彼は言った。「私がなぜこの賭けを設けたか、分かるか?」
「分かりません」
「この年だからだ」彼は石を置き、背もたれに寄りかかった。「お前が一体どういう人間なのか、見てみたくなった」
彼は碁盤を指さした。
「打つ。お前が勝てば、一つのことを教え、一つ約束をしよう。お前が負ければ、一つ質問に答えてもらう」
「どんな約束でも?」
「どんな約束でも」彼は笑った。その笑いはごく淡いが、目は鋭かった。
私は黒い石を一つ取り、碁盤に置いた。
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対局が始まった。
おじい様の打ち筋は、その人柄と同じだった——老練で、隙がなく、一歩一歩布石を打つ。初手から激しく攻めるような方ではなく、盤上のあらゆる隅に石を配置し、私が自ら罠に踏み込むのを待つのだ。
十五手まで、私は彼と互角だった。彼の布石は七、八割方読めたが、常に二、三割は水面下の岩のように見えなかった。
「最近、何を忙しくしているのか?」彼が一石を置きながら、何気なく尋ねた。
「会社のことで」私は応じた。「結衣が休んだ数日分の書類が少し溜まっていました」
「うむ」彼はうなずいた。「佐々木資本のものを調べていると聞いたが?」
私の手が一瞬止まった。ごくわずかに。しかし彼は見逃さなかった。
「執事からですか?」私は否定もせず、認めもせず。
「執事など何も知らんよ」彼は笑った。「ただ思っただけだ。お前は聡明な男だ。聡明な者は物事を為すに際して、まず盤面をはっきりと見たがるものだと」
彼が一石を置き、私の大石の呼吸点を塞いだ。
「はっきり見えたか?」
私は碁盤を見つめ、答えなかった。
彼のこの一手は、碁の手ではない。話術だった。私の手札の量と、私の度胸を探っているのだ。
「見えました」私は言い、石を置いてその大石を救い出したが、二目を損じた。「はっきり見えるところもあれば、はっきり見えないところもある」
「どこがはっきり見えない?」
「はっきり見えないところは」私は顔を上げて彼を見た。「あなたは私にはっきり見せたいとお思いですか?」
彼の目の色が変わった。怒りでも、警戒でもなく、一種の……賞賛だった。
「お前は私が思っていたよりも度胸がある」彼は石を置いた。盤上の形勢が複雑になり始めた。「結衣のあの子、お前を選んで間違いではなかった」
私は受け答えしなかった。盤上の形勢が変わりつつあった。彼の碁が網を畳み始めている。猛攻ではなく、蛙をぬるま湯で煮るように——一手一手は穏やかだが、一手ごとに私の空間を狭めていく。
「佐藤のあの小僧」彼が突然この名前を口にした。その口調はまるで天気の話をするかのように何気なかった。「お前、彼に会ったか?」
「会いました」
「彼は何と言った?」
「彼は言いました。あなたが彼の祖父に負っている借りは使いません、と」
おじい様の石を置く手が一瞬止まった。たった一秒だが、私には見えた。
「彼はお前に借りのことを話したのか?」
「彼は中身は知らないと。ただ、そういうものがあるということだけを知っていると」
おじい様は長く沈黙した。彼は茶碗を手に取り、一口含んだ。茶は既に冷めていた。
「彼の祖父は」ようやく彼が口を開いた。「私に大きな貸しをくれた。金のことではない。命のことだ」
彼はそれ以上語らなかった。しかし私には彼が何を言っているのか分かっていた。
「あの借りは」彼は茶碗を置いた。「私が三十年間、負い続けてきた。蕭の家の小僧がもしそれを取りに来れば、私は何でも与えねばならない。だが彼は来なかった」
彼は碁盤を見つめ、指で膝を軽く叩いている。
「彼がなぜ来なかったと思う?」
「彼は祖父の遺したものを、自分が欲しいものと引き換えに使いたくなかったからです」
おじい様は私を見た。その目には驚きと、観察と、そしてとても深い疲れがあった。
「お前は彼より賢い」彼は言った。「だが、お前は彼より冷たい」
この言葉は、盤上のどの一手よりも重かった。
私は一石を置き、受け答えしなかった。
対局は中盤に入った。私の形勢は決して良いとは言えなかったが、崩れてもいなかった。おじい様の碁は大きな網のように、どんどん締まっていく。しかし網の縁には常に隙間がある——その隙間は大きくはないが、私が息継ぎをするには十分だった。
「小林」彼が突然言った。「お前は、もしある日結衣の心が変わったら、どうするかと考えたことはあるか?」
この問いはあまりに率直だった。まるで碁を打っているのではなく、尋問を受けているかのようだった。
「考えたことはある」私は言った。避けはしなかった。
「それで?」
「それで」私は一石を置き、彼の一角の呼吸点を塞いだ。「自分が掃き出されないようにする」
彼は笑った。その笑いは大きく、私が意外に思うほどだった。
「良い」彼は言った。「良い」
彼は一石を置いた。盤上の形勢が完全に変わった。彼は一角を放棄し、その代わりに盤の中央全体の支配権を手に入れた。この交換で、彼は得をした。
「お前が碁に勝てば、一つのことを教える」彼は言った。「だが今、半分だけ先に教えよう」
私は彼を見た。
「結衣の心は変わらない」彼は言った。「あの子は私に似ている。一度決めたことは、一生変えない。彼女がお前に佐藤への情があると言ったのは本当だ。だが彼女がお前を選んだというあの言葉も本当だ」
彼は一呼吸置いた。
「この二つのことは、彼女の心の中では矛盾しない。お前の心の中では矛盾する。だからお前が為すべきことは、彼女の心変わりを防ぐことではない。考えろ——彼女の心の中に永遠に佐藤の場所があることを、お前に受け入れられるかどうかを」
この言葉は刃のように、私が入念に築き上げてきた全ての防衛線を切り裂いた。
私は碁盤を見つめ、何も言わなかった。
「賭けの件だが」おじい様が言った。「お前の負けだ。一つ質問に答えてもらう」
「どうぞ」
彼は私の目を見つめ、一語一語を確かめるように言った。
「お前の手にある札は、お前自身を安全だと感じさせるのに十分か?」
私は長く沈黙した。
「十分ではない」私は言った。
彼はうなずいた。
「ならば、続けて積め」彼は立ち上がり、私の肩を軽く叩いた。「自分で十分だと思えるまで積んだら、また来て私と一局打て」
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結衣が茶を運んで出てきた時、おじい様は既に去っていた。碁盤にはまだ終局の姿が残されていた。白石と黒石が絡み合い、見た目には勝負はついていないように見えた。だが私は分かっていた——まだ若すぎた。この一局は私の負けだった。
「どうしたの?」彼女は私の表情を見て、少し心配そうに言った。「おじい様、何か言った?」
「何でもない」私は立ち上がり、彼女の手から茶瓶を受け取った。「彼は言っていた。お前は私を選んだ。それは変わらないと」
彼女は一瞬呆け、それからうつむき、耳の根元が赤くなった。
「あの人はね、何でも見透かしてしまうの」彼女は小声で言い、手を伸ばして私の手を握った。「行こう。茶はもういいわ。お腹が空いた」
私は彼女の手を引いて外へ歩き出した。廊下を通りかかった時、携帯が震えた。
鈴木からの報せだった。
「網の上で待機中です。全て異常なし」
私は「撤収しろ」と返した。松本の件は切り札になり得なかった。私の社長補佐という立場では、何ら核心の秘密に触れることなどできはしない。私がしてきた全てのことは、佐々木のおじい様の目には、跳梁する小さな者の芝居に過ぎなかったのだろう。
旧屋敷を出る時、空はもう暗くなっていた。川の向こうの建物には灯りがともり、佐々木の家の楼は夜景の中にそびえ立つ。あのまま高く。
私の心の中では分かっていた。おじい様は今日、碁を打っていたのではない。彼は私に二つのことを伝えていたのだ。
一つ。彼は私が彼を調べていることを知っている。
二つ。彼は私に調べられることを恐れていない。
なぜなら彼の手にある札は、私がまだ見ていないからだ。




