13
私は佐藤に電話をかけた。長く鳴り続け、もう彼は出ないのではないかと思われるほどだった。
「小林様」彼の声が受話器から聞こえてきた。驚きもなく、緊張もなく、まるでこの電話を待っていたかのようだった。
「暇か? 一度会いたい」
「今ですか?」
「今だ」
彼は二秒沈黙した。「家にいます」
「二十分後に着く」
私は電話を切り、車の鍵を手に取った。家を出る時、廊下で執事とすれ違った。彼が言うには、佐々木のおじい様が伝言を預かっているとのこと——明日の碁の対局に、賭けを設けられたそうだ。
「どんな賭けだ?」
「おじい様はおっしゃいませんでした。ただ、覚悟しておいてください、と」
私はうなずき、何も答えなかった。
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佐藤の住まいは旧市街の端にあった。九十年代の住民楼で、外壁は新しく塗り直されていたが、その下のひび割れは隠しきれていなかった。廊下の灯りは半分が切れ、壁には張り紙を剥がした後の糊の跡が残っていた。三階。扉には鍵がかかっておらず、半分開いていた。
私は扉を押し開けて入った。
部屋は広くはなかったが、とてもよく整頓されていた。一人用の寝台、折りたたみの机、一脚の椅子。机の上には古い携帯計算機が置かれ、その横に数冊の警備管理の専門書が積まれていた。窓台には緑の蔓が一鉢あり、水の瓶を切って作った鉢に植えられていた。葉は生き生きと輝いていた。
佐藤は窓辺に立っていた。あの洗いざらしの白い上衣を着ていたが、丹念に皺が伸ばされていた。彼は振り返り、私を一目見て、座るように促した。
私は座らなかった。扉の枠に寄りかかった。
「お前の祖父と佐々木のおじい様との間のこと、お前はどこまで知っている?」
彼の表情は変わらなかったが、目の色が動いた。
「あなたは何を調べたのですか?」
「私が尋ねている。お前はどこまで知っているのか」
彼はしばらく沈黙し、机の上の水の杯を手に取り、一口含んだ。
「私の祖父が佐々木の家の弱みを握っていたことは知っています」彼の声は穏やかだった。「具体的に何かは知りません。ただ、とても重要だということだけは分かっています——佐々木の家が江城で立ち直れなくなるほどに」
「本当に知らないのか?」
「私の祖父は古い考えの人でした」佐藤は杯を置いた。「何かは知らぬ方が良いと考えるタイプでね。ただ、もしいつか行き詰まったら、佐々木の家を訪ねろとだけ言われました。佐々木の家が生きる道を開けてくれるだろうと」
彼は私を見た。
「でも私はその生きる道を使いたくない」
「だからお前は結衣を訪ねてきた」
「結衣さんを訪ねたのは」彼は言った。「彼女に会いたかったからだ。人情のためでも、弱みのためでもない。彼女に必ず戻ると約束したからだ」
「戻った。それで?」
「それで彼女は別の者を選んだ」彼はこの言葉を口にする時、声に一切の揺れがなかった。「私はそれを認めた」
私は彼を見つめた。彼はその緑の蔓の鉢の脇に立ち、指で無意識に葉を触れていた。
「お前の母が結衣に電話をかけた」
彼の指が一瞬止まった。
「知っています」彼は言った。「彼女にはもうかけるなと伝えました。私のことは、自分で処理しますから」
「お前の処理の仕方は、記念日に三百米離れた腰掛けに座っていることか?」
彼はようやく顔を上げて私を見た。その目には挑発も、負い目もなく、ただ非常に静かな告白があった。
「ただ彼女がちゃんとやっているか確かめたかっただけです」彼は言った。「確かめ終わったら、去ります」
「確かめ終わったのか?」
「はい」彼はうなずいた。「彼女はちゃんとやっています」
この言葉が彼の口から語られた時、どんな挑発よりも重かった。
なぜなら私には聞き取れたからだ——彼は本心からそう思っているのだ。強がりでも、自己満足でもない。ただ彼女が幸せならそれで十分だと思っている。
この種の人間は最も手ごわい。何も争わないから、何も負けない。
「佐藤」私は彼を呼び、声を低くした。「お前の祖父が握っている人情、お前はどう使うつもりだ?」
彼はしばらく考えた。
「使いません」彼は言った。「それは祖父が残したものであって、私のものではありません。私が江城に残るのは、ここで自分の力で生きていくためです。誰かの人情によるのではなく、自分の力で」
彼は一呼吸置いた。
「小林様、あなたが私に会いに来たのは、これらを尋ねるためではないでしょう?」
私は彼を見た。
「あなたが尋ねたいのは」彼は言った。「私がその人情を使って、あなたを佐々木の家から押し出そうとするかどうかでしょう」
彼は問いの形を使わなかった。宣言文だった。
「そうするのか?」
彼は笑った。その笑顔はごく短く、ごく淡い。窓台の緑の蔓の葉の上の水の玉のように、瞬きと共に消えた。
「しません」彼は言った。「結衣さんはあなたを選んだ。私はそれを認めました。祖父の遺したものを、彼女が望まない結果と引き換えに使ったりはしません」
彼は立ち上がり、窓辺へ歩いて行き、窓を押し開けた。外の風が吹き込む。旧市街特有の生活の匂いを運んで。
「ですが」彼は振り返った。「もしあなたがいつか、彼女に酷い扱いをすれば——」
彼はこの言葉を言い終えなかった。言い終える必要はなかった。
私は振り返って入口へ向かった。
「明日、おじい様に会いに行く」私は言った。振り返らずに。「お前のことは、話さない」
「小林様」彼が背後で私を呼んだ。
私は立ち止まった。
「あの方が握っているものは、あなたが思っているよりも多いです」佐藤の声はかすかだった。「私の祖父はかつて言っていました。佐々木の家という木は、根は深いが、腐っているところも多いと。あなたが掘る時は、気をつけて」
私は振り返って彼を見た。
彼は窓辺に立ち、逆光で表情ははっきりと見て取れなかった。しかしその言葉の重みは、私にも理解できた。
「ありがとう」私は言った。
彼はうなずき、それ以上は何も言わなかった。
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階下に降りる時、私は鈴木に一通の報せを送った。
「先ほど調べていたものは、止めろ。もう調べなくていい」
鈴木は瞬時に返した。「確かですか?」
「確かだ。十分だ」
私は車に乗り込み、すぐには発進させなかった。三階のあの窓を見上げた。佐藤の影が窓の覆いに映り、微動だにしなかった。
彼は全てを知っていた。だが何もしなかった。
彼は私の敵ではない。彼はただ佐々木結衣の過去だ。そして過去というものは、私には殺せず、追い払えず、ただ自ら老い朽ちるのを待つしかない。
私の携帯が震えた。佐々木のおじい様から報せが届いた——この老いぼれがまさか手軽な連絡の書き込みを使いこなすとは。
「明日、結衣を連れて来なさい。新茶を淹れた」
私は「分かった」と返した。
そして車を発進させ、旧屋敷の方角へ向かった。川の向こう、佐々木の家の建物が夕日に金色に染まり、まるで金で固めたように見える。
だが私には分かっている。根が深いところほど、腐っている場所も多いのだ。




