情報収集
港町は雑多な物や人でごった返していた。
朝日が昇って直ぐなのに結構な人が荷の上げ下ろしや、船の入港や出港に忙しそうに動いていた。
「お陰で今回の船旅は楽だったよ」と井ノ川の肩をポンと叩いて先に船を降りていった商人などを見送りながら、俺たちも下船した。
別にパスポートが必要なわけではないが、港のゲートを出る時は入国税を支払わされる。
「スザーナ大陸へようこそ。1人金貨1枚だよ。こっちの大陸のお金を持っていなければ、あそこに木造の小屋が見えるだろう?あそこで換金してもらえるから、それからまたここへ来な」
無精ひげを生やしたモサイ入国審査官に小屋を指さされ、俺たちは小屋へ急いだ。
「換金をお願いします」
高橋が一部を残して持ち金を換金した。
「旅をする為に来たんだが、住みやすい街とか面白い街とかあったら教えてくれないか」と、換金作業をしているオヤジに声を掛けるあたり、やっぱりこいつの臨機応変さは役に立つな。
オヤジに聞くと俺たちが目指している黒髪の国、ガルゾ国ともっと南に位置するパールダ国が住みやすく、面白いのは各国の首都が面白いらしい。
大きな街はそれだけで色んな物が揃うし、その国にしかない物も手に入る。
自然景観に関しては観光という習慣のないこの世界で大して意識されていないので、こんな回答になった様だ。
換金が終り、情報収集も終わると、俺たちはもう一度入国審査の列に並んだ。
「お!今度はちゃんと金貨を換金できたんだな。それじゃあ、気を付けてな」とニカっと笑った無精ひげの役人の歯は何年磨いていないのかっていうくらい汚かった。
入国審査官にガルゾ国への行き方を聞きたかったが、列に並び直した俺たちを覚えていた様だったので、俺たちと行先が繋がる様な情報を与えたくなかった。
港に続く町へ入り、それぞれ別の店で朝食を食べつつ、近隣の町や住みやすい国についての情報を店の人たちから引き出す事にした。
4人一緒に一つの店に入ると山口が俺たちを追っている場合、すぐに俺たちに繋がる情報となる可能性があるので、店の人の印象に残らない様に一人で入店し、4箇所で情報を得られれば、情報の数も増えるし、それが俺たちだと認識されずらいだろうし、万が一俺たちだと分かったとしてもどの情報に重きを置いたのかは推測しずらくなるという利点がある。
4人が入手した情報を照らし合わせると、換金所のオヤジと同じ様な内容であり、結局はガルゾ国へ向かう事が決定した。
折角4箇所に分かれて情報収集したのに、結果がほぼ同じというのはガルゾ国が住みやすさで飛び抜けているのだろう。
大体の方向も聞いていたので、新たに食材等を購入した後、俺たちはガルゾ国の方向へ走りに走った。
いつも拙作をお読み頂き、ありがとうございます。
本話で書き溜めていたモノが終り、以降は気ままにアップとなります。
定期的な掲載ではなくなりご迷惑をお掛け致しますが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。




