甲板の上
船が港を離れてしばらくすると陸が見えなくなった。
暖かい日差しが甲板に降り注ぐ。
最初は日向ぼっこを楽しんでいた俺たちだが、段々と暑くなって来た。
ターフがある場所には既に商人らしい男たちが場所取りをしており、俺たちは船内に入らない限りは日光に晒される状態だ。
「おい、山田。廂を作ってくれよ」
直射日光に辟易していた井ノ川に頼まれ、土魔法で簡単な柱と屋根を作った。
あまり重たい物を甲板に作ると、船の均衡を崩してしまうかもしれないと思ったので、吹けば飛ぶような弱弱しい物になったが、まぁ、陽ざしは避けられるので良いだろう。
しかも周りに壁が無いから、商人たちの様に陽ざしだけを避けるのではなく、俺たちの所は風が吹き抜けて行き、結構良い塩梅だ。
「なぁ、あれさぁ。マンサ港でちらっと見えたの山口だったんじゃないか?」
「遠目だったからはっきりしなかったけど、俺も山口に見えたよ」
「まぁ、どっちにしても大陸を渡るには奴も船に乗らざるを得ないだろう?だとするとどんだけ早くても次の便でしか移動できないから、新大陸に到着したら一も二もなく移動を開始しよう。船員にこまめに何時頃着くかを聞き取りして、船ではぐっすり眠る様にしようぜ」
「荷物とか取られる可能性もあるから、一応順番に見張りをしないと危ないかもな」
結局、船旅は1週間かかるけれど、到着するのが朝なかのか、午後なのか、夜なのかは船が近くに行くまでは分からないとのこと。
結局オレらは1人は必ず起きて見張りをする様にしながら、今までの疲れを取る様に行動した。
食事は甲板の上で俺が作り出した土魔法の竈に、マンサ港で購入した鍋、そしてマジックバックに保管している食材、高橋の魔法で水を呼び出してもらって毎食温かい食事を食べる事が出来た。
甲板が高橋が呼び出した火に直接触れる事が無い様、竈の底は俺の土魔法で分厚い緩衝材を呼び出して対応した。
ターフの下に寝転がっている商人たちは、少量の水と干し肉と固いパンの食事が続いていて、俺たちのスープにいつも目が釘付けだけど、わざと毎回、俺たち4人分の量しか作らなかったので、分けてくれと言われても対応せずに済んでいる。
だが、高橋の水魔法を見ている彼らは「金は払うから飲み水をくれ」と高い金額で高橋から水を買っていた。
最後の方では船員まで高橋に声を掛けて来て、2樽分の飲み水を買って行った。
「おい、お小遣いがしっかり貯まった様だな。うらやましいよ」と高橋を揶揄う様に声を掛けたら、親指を立ててニッコリ笑われた。




