201.無限(∞)のポーションと、無視された質問です。
そういえば!
「ルカ君、体の怪我誰かに診てもらった?」
「もうだいぶ良くなったし平気だよ」
「駄目だよ。 ちゃんと診てもらわないと! そういえばお兄さん薬作れるんだよね? 体の状態診てもらおう」
凪を部屋に残してリビングに行くとヴィステリアさんがお茶を飲んでいた。遠慮なく私がルカ君の隣にいることがやっぱり許せないんだろう。表情が険しい。
「兄ちゃん……怪我を治す薬ってまだある?」
「怪我してるのか!?」
ヴィステリアさんは俊敏な動きでルカ君のそばへ来ると、身体中を見回した。服をまくり上げ、お腹の痣を診て眉間に皺が寄り、こめかみに青筋が浮き出る。その形相で睨みつけられ、体が強張る。
「違う! お姉ちゃんのせいじゃない!! 盗賊たちにやられたんだ!!」
「私の持ってるポーションでも治せたんだけど、副作用で痛みが酷くて……使えなかったの」
「チッ! これだから人間の作るものは……とんだ粗悪品だな」
そう言われて言い返せなかった。私はこの世界の事をまだよく知らないし、怪我に効くポーションは使うと痛みを伴うことが当たり前だと思ってた。痛みのないポーションがあるなんて考えもしなかった。
ヴィステリアさんはルカ君を椅子に座らせると「少し待っていろ」と言って部屋を出て行った。
「兄ちゃんがごめんね」
「なんでルカ君が謝るの? それに私は何とも思ってないよ。 ヴィステリアさんはルカ君の事が本当に大切なんだね」
「兄ちゃんは兄ちゃんだけど、僕にとっては兄ちゃんは父さんで母さんなんだ。 大好きな兄ちゃんとお姉ちゃんが仲良くなってくれたら嬉しい」
「仲良くなれるように頑張るよ」
第一印象最悪どころか、ヴィステリアさんに限ってはそもそも人間嫌いというハードルの高さ。私に対する態度は最悪だけど、暫くお世話になるんだから歩み寄る努力はしてみようと思う。それでも無理そうだったら無理に近づくのはやめよう。私の気持ちの押しつけは良くないと思うから。
戻ってきたヴィステリアさんはトレーを持っていて、その上には小さな_お猪口くらいのサイズの木のコップとミディアムサイズくらいの木のコップが乗っていた。鑑定を使うと小さな木のコップは【回復ポーション(∞)】、ミディアムサイズの方は【水】と表記されていた。
(∞)って……無限ってこと?飲んでも飲んでも減らないとかそういう事?どういう意味!?
「ほら水を飲め」
ポーションを飲んだ直後、苦虫を嚙み潰したような顔をしたルカ君は水を勢いよく飲みほした。その間にヴィステリアさんが体の痣を確認すると綺麗さっぱりなくなっていた。エルフが作るポーションは苦みはあるけど痛みはないみたいだ。
「このポーションはエルフの村でしか作れないものなの?」
ヴィステリアさんは一瞥して返事をすることなく、食器を片付けに行ってしまった。
うわー……ガン無視されたー……。
少し気まずそうな顔をしたルカ君に「ちょっと待ってて」と言われて待っていると、短剣を持ったルカ君が戻ってきた。それを受け取り、私も少し部屋で休むことにした。




