200.両親のいない部屋と、ルカ君の優しい嘘です。
太陽の様な笑顔で駆け寄ってきてくれたルカ君。可愛すぎる!!かがんで視線を合わせると、上から刺すような視線を感じた。穴が開きそうなんですけど……と思いながらも笑顔は崩さなかった。
「世界樹様には会えた?」
「うん、会えたよ。 ルカ君、さっきは庇ってくれてありがとう」
「全然いいんだ! お姉ちゃんに怪我がなくて良かった」
ここにも男前が一人。兄よ、弟を見習え……心の中でつぶやいた。
「暫くお家でお世話になることになりました。 よろしくね」
「本当!? 嬉しい!!」
歓迎ムードじゃない中、この言葉と眩いほどの笑顔は嬉しすぎる。なんだか救われた気分。
「ルカ、部屋に戻っていろ」
「父さんと母さんの部屋だよね? 僕が案内する!」
ルカ君と私を接触させたくないけど、ルカ君にはあまり強く言えないのか、青筋たてた顔で私が睨まれた。やられてばっかりではいられないと思い、「ありがとう」と言って立ち上がりルカ君の手を握った。ちらっとヴィステリアさんの顔を盗み見すると、更に青筋が酷くなっていた……様な気がする。が、ニコニコ顔のルカ君に手を引かれるまま、お家にお邪魔した。
大きな窓からは自然の光が零れ、木でできているお家により温かさを感じさせる。自然の温もりを感じる。森で野営する時も日本で暮らしていた家を使っていたせいか、自然の中にいる感覚は全くなかったけど、ここは違う。自然に包まれているような感覚になる。
案内された部屋にはベッドとサイドテーブル、クローゼット、ランプという不要なものは一切置いていない部屋だった。ベッドそばの窓から見える裏庭にも花が植えられていて、見ていると心穏やかになるようだった。
「ご両親の部屋なんでしょう? 使っていいの? 今は旅行中?」
エルフは基本的には村から出ないって言ってたけど、外の世界に興味を持つ人がいてもおかしくはない。
「父さんと母さんはもういないんだ」
「ごめん」
悲しそうに笑うルカ君の手を両手で包み込むように握った。
「僕が3歳の時に村を出てそれから帰ってきてなくて……だから僕は父さんと母さんの顔を覚えてないんだ。 だから大丈夫」
出会ったばかりの時にルカ君が浮かない顔をしていた時のことを思い出した。たしか“子守唄”の話をしていた時だ。そうか……お母さんの記憶がないからあんな顔を……。
「お部屋に案内してくれてありがとう。 ご両親のお部屋、大事に使わせてもらうね」
そう言うとルカ君は無邪気な笑顔で返してくれた。




