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DoomsDay  作者: 文乃絢千
17/18

17.優しさ

 才華は息を切らしながら大田の後ろを走っている。大田は後ろを振り返ると走るのを止めた。腕時計を見ながら才華の元へ歩み寄った。


「歩こうか」


「はい」


「疲れた?」


「はい」


 才華は座りたい気分だった。体中が悲鳴を上げている。しかし、歩みを止める事は無かった。


「人が死ぬところを見たのは初めてか?」


「はい」才華は再びあの時を思い出して気持ちが悪くなった。青白い男の顔が目の裏に焼き付いていた。才華はなるべく考えない様に空を見た。


 空を眺めていると才華は少し気分が良くなった。(みんなは今頃、何をしているかな?)(私は家出少女になっているだろうな)才華は笑った。


「お、笑ったな」


「私、やれるのかな?、迷惑じゃ無いですか?」


 大田は考えた。才華は優しい子だ。だが、問題はそこにある。人を殺せるか?、この子には無理なんじゃ無いのか?、俺は選択を誤ったのか?、考えても答えは出なかった。


 大田は無言だった。


「そうですか」才華は落ち込んだ。私は邪魔なのかも知れないと思った。


「まぁ、まだ序盤だ。考える時間がある」


「はい」才華は上の空だった。


 大田は地図を眺めた。学校までかなりの距離がある。(まだ、十七歳の少女だ。どうすれば良い?)(妹の事が無ければこの子は普通に学校に通っていた筈だ)(俺が十七の時なんか鼻水垂らしてたぜ)


 大田は悩んだ。


「才華ちゃん。スナイパーライフルの欠点が分かるか?」


「そうですね。大きくて扱いづらいとか?」


「そうだな、女性には扱いづらいかも知れないが、先ず一つは連射が効かない」「二つ、近距離戦で戦いづらいってのがある」


「だが、欠点を補えばとても強い武器になる」「三つ練習しよう」「一つ、直ぐに弾を込める」「常に相手と距離を取る」「風を読む」「質問はあるか?」


「私、弓道部なので風読みは得意です」


「弓道部なのか?、それは良い話だ。試しにあの建物の窓を狙ってみろ」


「はい」才華はスナイパーライフルを構えるとスコープ越しに窓を狙った。ゆっくりと引き金を引いた。タンと言う音と共に建物の窓が割れた。才華は急いで次の弾を込めた。


「合格だ。でも、才華ちゃんの一番の問題はメンタルだ」


「十七歳の君に人を殺す事が出来るのか?」


 人の命か。才華は人を殺すのが嫌だった。何を言われようとも殺すのは嫌だった。しかし、考えを改めないと優勝するのは不可能だった。(大田さんは何故、簡単に人を殺すんだろう?、いや、大田さんも簡単では無いのかも。私には大義名分がある。だけど、その為に人を殺しても良いのだろうか?)


「大田さん、私はどうすれば良いのでしょうか?」


「俺には分からないよ。でも、才華ちゃんは優しいんだ。それは本当の事だ」大田は才華から目線を外した。


「ここが分かれ道だ。人を殺せないのなら家に帰るんだ」

>>登場人物

鈴木才華すずきさいか17歳


大田六三郎おおたろくさぶろう49歳


>>設定資料

L115A3。ボルトアクション式の大口径スナイパーライフル。射程距離は1,500m。弾はマグナム弾。

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