16.それぞれの思惑⑤
阿部邦夫、年齢は二十九歳。武器はつるはし。邦夫は現役の警察官だ。歌舞伎町交番勤務の彼は夜の繁華街を守っている。柔道二段。警察主催の全国柔道コンテストでは準優勝をした。だが、邦夫は警察を辞めたかった。海外で悠々自適に暮らしたかった。しかし、安月給の邦夫には無理な話だった。先輩からドゥームズデイの話を聞いた彼は喜んで飛びついた。
高杉真作、年齢は三十一歳。武器は特殊警棒。彼もまた警察官だった。邦夫と同じ歌舞伎町交番勤務。柔道三段。警察主催の全国柔道コンテストでは優勝をした。彼には欠点がある。ギャンブル依存症だ。パチンコ、競馬、競輪、競艇。安月給の彼は借金をした。総額三千万円。もう真作の給料では借金を返せなかった。邦夫と共に参加する事を決意した。
「何か考えがあるんすか?」邦夫が尋ねた。
「地図の北に森林地帯ってのがある」「そこを目指すぞ」
「先輩、何で森林地帯なんすか?」
「女だよ。連中、飛び道具を持っていやがる」真作は苦い顔をした。
「森なら有利に戦えますね」
「だろう?、でもよ。同じ事を考える奴も居るだろう?」
「そいつらをぶっ殺すんだよ」真作は笑った。
「警察官とは思えない発言っすね」邦夫も笑った。
「良いんだよ。ここじゃ殺しは罪にならねぇ」
「良心とか無いっすね」
「うるせぇな、俺は借金があるんだよ。良心なんて糞食らえだ」
「俺は海外に行きますけどね」
「お前、英語。話せるのかよ?」
二人は北にある森林地帯を目指した。
宮内祥子、年齢は十七歳。武器はハンターボウガン。祥子は都内の高校に通う女子高生だ。祥子は死に場所を探している。彼女は老いる事に激しい恐怖感を持っていた。母親の手を、足を、目を、顔を。見るたびに恐怖は大きくなった。(私は綺麗なまま死にたい)そんな祥子を母親は病気だと言う。(病気なのはお母さんだよ)祥子は思う。そんな折、ドゥームズデイの事を知った。彼女は死に場所を探しに成田空港へ向かった。
武田愛、年齢は十七歳。武器は【コルトSMG】サブマシンガン。装弾数三十二発。愛も都内の学校に通う女子高生だ。愛もまた死に場所を探していた。小さい頃に両親を亡くしてからは天国に行きたいと思った。天国にはどうやって辿り着けるの?、良い子でいれば良いの?、彼女は考えた。友達からドゥームズデイの話を聞いた彼女は天国の扉を想像した。
二人はラウンジで偶然に出会った。言葉を交わすことなくお互いの事が分かった。
「貴方も死に場所を探しに来たの?」
「どうして分かったの?」
「そういう瞳をしているもの」
「私は愛、貴方の名前は?」
「私は祥子。宜しくね」
二人は共にラウンジで食事を取った。入口に制服を着た女子高生が立って居る。
「あの子はどうかしら?」愛が尋ねた。
「あの子は違うわ、瞳が澄んでいるもの」祥子が答えた。
「一緒に死ねないかしら?」
「どうして?」
「あの子、綺麗だから」
二人は死にたいと思う反面、人を殺したい衝動もあった。
「あの子も殺そう」祥子が話した。
「そうだね。殺してあげよう」
二人は冷たい氷の様に微笑した。
>>登場人物
阿部邦夫29歳
高杉真作31歳
宮内祥子17歳
武田愛17歳
>>設定資料
コルトSMG。サブマシンガン。装弾数32発。




