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最強VR-fpsゲーマーがメイドカフェから発見されたようですが今のところ無害です!  作者: くるま


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店長! 空から厄介事が!  -日常 そのさん-

「うっさ…」


 好きでやってるとはいえ、世界中にエロ動画ばらまかれてしばらく無言で顔だけ隠して旅行にでも行きたい気分の、羽輝。

 ダメージは一日程度では抜けきらない。


 放送も、たまに実況が現状を伝えるくらいでメインは羽輝と已御のアップとして放送していやがった。

 目を覚ますまでの時間の実に半分以上をそのシーンだけに使った、バーチャルな濃厚プレイがアーカイブで今も見放題である。

 そこに、最近よくある気もするヘリの音が無慈悲にも眠りの邪魔をする。


 たまったものではない。


 最近は、観光用の周遊が、たまにみなと喫茶の上空近くでも通り道であるようで、昼や夕方にその音があるも珍しくはない。


 …が、眠っているような朝早くに、何をしてくれているのだと。


 仕方なく、下から所属会社が見えたら後から苦情でも入れてやるかと窓を開ける羽輝。


「ごぉきげんよぉ~~!!」


 ぴしゃっ。

 

 窓を強く、即閉める。

 真顔で。

 見るべきでない何かが見えたような気がする。

 

 しかし、ずっと締め切るわけにもいくまい。


 がらっ。


「おはようございまぅ♥ わたくし、着陸の指定位置の許可取り忘れてしまいまして、わたくしの降りる場所だけ指定していただきたくて~」

「場所わかってるんならそこでいいだろ!」


 この世界で一番見たくないやつが見えた。

 



 ヤツだ。




 あの辱めを主導し、ひたすら羽輝のエロ動画を演出し続けた、已御と名乗るアイツだ。

 

 ヘリからぶら下がり、メガホンで叫んでくることに殺意すら覚えた。

 一方、周囲のご迷惑を私のせいにされかねないと思うと、怒りとともに一刻も早くこの音を止めなければと理性も頭をのぞかせる羽輝。

 とりあえず降りさせてヘリを何とかしないと、さっき思っていた苦情は最悪、羽輝に来かねない。

 怒りと焦りが広がり、判断に困る羽輝。

 横で、こんな状態でも何事もないよう寝てる姫乃。

 

 当てにならない同居のバイトは意見すら求められず。


 とりあえず店に入れるまでは了承してしまう…。

 引っ越す金もないのに近所を巻き込まれては、羽輝も折れざるを得ないのだ。


「実際お会いすると、さらにさらに可愛い!」

「……満足したらこっちで書面作るから二度とこの街に立ち入らないって誓約書にサインしてくれないかな…」

「いろんな意味でサインしても法的拘束力無いと思いますわよそれ」

「だったらどうすればいいのさ」

「まぁ、それのご指導含めて、いろいろと…ウェヘヘヘ」

「だからその笑い!」

「落ち着いて! ステイ! あーちゃん!」


 儚樹想も、朝からの騒動でしばらくやっている間に来店している。

 昨日の時点で、今日は臨時休業と言っていたはずなのだが、時間通りにやってきている。

 状況や羽輝の心情は、彼女だけは言わずともわかっているようだ。


「…で、一応聞いておこうか、何しに来たんだ已御」

「ま゛!!!?」

「急に叫ぶな!」


 已御の急なテンションに対処もできないが。


「お願いもせずに私の名前…しかも呼び捨て…もしかして…」

「いやリングネームとか試合の登録名とか、そんなだろ」

「本名です」

「…あ、そうか…」


 それを馴れ馴れしく、って感じで気軽に呼んでるのか。

 そりゃだめだな。


「思っているより好感度高かったりしませんか…?」

「んなわけネェだろ」

「残念ですわ」


 顔を赤くするなはっ倒すぞ…と内心思っているが、まぁまぁ耐える羽輝。


「それで、わざわざご来店いただいたご用向きとは?」


(ナイス想さん)


「バイト募集の広告を見ましてぇ~♥」

「不採用だ馬鹿野郎」

「面接くらいは、してくださいなぁ~」

「そもそも、おめぇ吉祥寺のカフェの店員って出場してきたやつじゃん、通えないだろ」

「ここに住みますのでぇ」

「ねーよお前の居場所!」


 とんでもないことを言うものだ。

 そもそも寝泊りできるスペースは、この元倉庫にはない。


 ないのだ。

 ありていに言って元から物置なんだから。


「通っても別に構わないですし、実家から飛行機で」

「そんな金あったら近所の医療従事者に少しでも直接手渡ししてやれバカモン」

「あら、荒れ狂うような姿からは一転して聖人のようなお言葉」

「一般的だろ…意味のない東京からの移動費毎日って金額想像してしまったらさ」

「…そこもまた、惚れてしまいそう…」

「やーめーて!」


 何を言っても無敵なのか、この已御。

 そして、このまま何も進まない空気は問題ありと、想が形だけでも面接をと、履歴書を受け取って一呼吸。


「輪腕…已御さん」

「はぁい」

「…経歴に、何社も現役でCEOってなってるように見えるのは…記入ミスでしょうか…?」

「いえ、その通りですが?」

「……バイトの面接って理解して、ここに今…?」

「形式上、わたくしの名前を使っているだけですのでわたくし自身に制約はありませんので問題はないはずですわ」

「……この世界どうなってんの…」

「父様が関連性で紐づけるために、親族の名前をいくらでも使って会社を立ち上げているだけですから、そのうち、知らないうちに、すぐ増減しますので、そこは気にしないでください」

「すげえのが来たな」


 やっと、迷惑なエロ女から実像が掘り出されてくる。

 道楽で人生やっていける金持ちか、こいつ。

 無意味に羽輝からすると敵対したくなる位置にいる奴だ。


 とはいえ、すべて拒絶していても人生好転しない。

 聞くだけは聞くべきだ。


「…で、志望動機とかは」

「恋人の力になりたくなりまして~」

「不採用で」

「羽輝ちゃん?」

「………ちっ」


 入り込む隙など与えるものかと言いたげな羽輝。

 そうでなくても、店主なのだからどうとでもなると構えていればいいはずだが…。


「それと、それだけではありません」

「おや、なんでしょう」

「例のゲーム…」


 ちょっとトーンが変わった気がして、面接二人とも少し表情が変わる。


「こちらのメンバー登録者を見る限り、今後もオフィシャルズに出られませんわよね、このお店」

「…そりゃまぁ、今現在はね」


 羽輝も言い返せない点をいきなり出されて苦しい。


「投票までに条件が足りてないなら、次までオフィシャルズに参加できないのですから、優勝賞品には多分届きませんわよ?」

「そこ指摘するヤツがついに出てきて本当はちょっとノれるはずなのに、それが已御かぁ」

「羽輝ちゃん、そんなの狙ってたの…」

「何のために参加したと思ってんのさ想さんは!?」

「…出るだけでも宣伝は十分できたじゃない…?」

「「こころざしが低い!」」


 言った瞬間、すごい勢いで表情が曇る羽輝。

 よりによって、最悪の已御とハモった。


「とにかく、出るからには勝ちたいよ!」

「ですわよねえ」

「それに無料で管理料光熱費もろもろ払ってくれる店舗がもらえるチャンスを見ないことにするなんて、私には無理!」

「思ったより景品に対する認識が小さいですわ…」

「それ以上があるってのかよ已御」

「無条件でアキバの一等地と営業許可が出るだけでも、そこが普通は最優先にでてきませんこと…?」

「いったことないもーん」


 ふてくされたように体を揺らす羽輝。


「…でも、確かに、それだけでも商品目当ての人は来るのですから、盛りすぎでしたのかしら」

「別に、豪華なほうが人は集まるんだろうし、やらせとけばいいじゃんさ」

「それも、そうはいかないのです」


 已御が、初めてマイナス方面の表情を見せた。


「大きい優勝賞品が、あまりに目を引きすぎた結果、血眼で手段を選ばない人種も寄ってきていて困ったものなのです」

「…まぁ、いるか、そりゃ」


 羽輝も想も、それは理解できるが、実感などはない。


「それも知名度を得るための代金と思えばいいのですが、今回どうしても、これにだけはあげたくないという手段の参加者が、残念ながら出てしまいまして…」

「えーと、まって、その話、面接に関係ある?」

「次の羽輝様たちの相手、つまりみなと倉庫喫茶の対戦相手がそれなのですわ、遊びを遊びと思わない場違いなやつ!

「……あの、いや…だからね…」

「アキバにもともと店舗があるお店、しかも商品目当てでFPSの元プロを雇い、店舗に出させてもいないうえでアドバイザーではなく直接参加させるのには、ちょっと行き過ぎを感じまして」

「私たち、そんなにそれと関係…ある?」

「……人も資金も出し惜しみません…あれのオフィシャルズへの進出を絶対阻止してもらいたいので、愛する羽輝さまに仕留めてもらいたいのです」

「バイトじゃなくそっち目的なの、あんたは」

「わたくしがココにいれば融通は何でもできますし、人不足も解消できます」

「私たちは仕事できるバイトが欲しいわけでね、已御からもらう報酬に期待してるわけじゃ…」

「いえ、その話詳しく」

「想さんっ!?」


 裏切られた。


「とにかく、スケジュールとしては次の試合の後にすぐ人気投票がありますので、直接負かしてください…わたくしも入りますし情報も出しますので、必ず紋多那ベルテを仕留めていただきたい」


 どうにも、話の流れも風向きも変わってきた。

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