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最強VR-fpsゲーマーがメイドカフェから発見されたようですが今のところ無害です!  作者: くるま


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設定解説会    -日常 そのよん-

「紋多那ベルテって参加してたんだ…マルチタレントのあの人だよね…わりと、そんな嫌いじゃないんだけど…」

「あいつも問題ですけど、件の店舗が上増名木系の完全出資なのに遊びの世界に乗り込んでいるのがふざけているんですっ…財団でしょ、あれ!」

「…ようわからないけど、反りが合わないのね…」


 怒りどころがわからないが、ゲームに入れ込んでる証なのかと受け取る。


「しこたま金を抱えてるところが、都市開発の一部門落札しただけのうちの遊びを、かすみ取りに来てほしくないだけです!」

「割と本気なのだけは、伝わったわよ…わーかった、わーかったよ」


 わりとあきれ顔の羽輝だが。


「羽輝さま!」


 そりゃもう、相手だって目を輝かせる。


「そこに協力するんであって、おめーの立ち入りを許可したわけじゃないんだぞ已御ちゃん」

「そうはなりませんわ」


 対する已御が、少し胸を張る。


「投票後に、オフィシャルズの参加条件にないものが当選してしまうと失格して次点繰り上がりですので、明日の時点で参加者を増やした状態で出るのは優勝を目指すなら確定でないと…いけません」

「今は足りないわね」


 想が已御のフォローに入っているのがちょっと怖い。


「つまり、バイトでも正社員でも、今すぐ採用して登録しないと、無理ということで…」

「今面接にきている子を無下にはできないと…そういうことか」

「……想さんはどっちの味方かなぁ…」

「現実の味方です」


 お金のため、とは言わない大人。

 経理をしているからには、経営の行き詰まりは誰よりもわかっている以上、そっちにつくしかないのである。



 羽輝も、しばらく唸って、悩む。

 反対意見がなく、自分の目的のためにも人員はすぐ必要となると、已御の今いる立場を追い返す理由もまた、ないのである。


「……んー……それで、ゲームもウェイトレスもどっちもプロ級だったりするの?」


 非常に不本意ながら、肯定を加味した面接に出るしかない。

 が。


「いえ、全く」

「話にならねえよなそれ!?」


 帰ってきたのは根本的なところでダメな情報。

 どうしたものか。


「ウェヘヘヘ……ですが、採用しなくてはいけない理由はもう一つありまして……」

「常に悪い笑いをするなお前は」


 そこへ。


「アネー! 迷子が落ちていたぞ!」

「えっ誰」

「あっ、レンち……ではなく夢ちゃん」


 想が、急なタイミングで開いた入り口からの来客に素直に応対する。

 羽輝は休みの看板に気付かないで入ってきた客かどうか迷っていたので即応できるのは…関係者なのか。

 だが、迷子?


「已御さまぁ! たどり着きました!」

「今どきのナビ付でなんで迷うのかしら、この子」

「すみませぇん!!!」


 そのすぐあとから、その子に縋りつくようにしてなだれ込んでくる女性も一人いる。


「ちなみにこいつスマホ落としたので拾ったのもオレだぞアネ」

「夢ちゃんはなんでもできるよねえ」

「…誰…」

「あぁ、あーちゃんは見たことないのか…妹です!」

「いたんだ」


 そういえば面接で家族構成を聞いた覚えないな…。


 と、羽輝は割と致命的なことを思い出していた。

 いや、自分から親がいないと語ってたから突っ込まなかっただけだったような…記憶が薄い。


「ここ、怖いところですけど…ま…いいです!」


 そして、もう一方で同時に展開する、迷子とやらの自己紹介。


「詳細は聞いております、わたし、已御さまのお店の従業員でありまして、しくると申します!」

「何から何まで不安じゃないところ挙げられるか試すような情報だけ出してきやがって…」

「これでも仕事に関しては案外優秀でして」


 已御は軽く微笑んでいるが、何についてなのかさっぱりだ。

 そもそも、こいつは何の理由でここにいるのか説明はされていない。


「この、しくるが私に変わって試合を行いますのと、店内作業も行いますわ」

「じゃあこいつ雇えばそれでよくない!?」


 ごもっとも。


「いえいえ、彼女は今現在、千歳烏山店の従業員でして、わたくしはそこのオーナーとして届け出済みなんですわよ」

「……言われてることの流れがわかんにゃい」

「つまり、わたくしは先日対戦いただいた吉祥寺店への臨時出向として出場経験もありオーナーですので、系列店でもなく別のお店に分別なく渡り歩くのは、形式としても体裁としても避けなくては悪い前例になります」

「ふむ」


 理解していない顔の羽輝。


「この、しくるは、一応ゲーム上の登録は終えていますが、隠し玉のつもりで出場経験はないので、中身をさらさなければこのお店に移行して店員登録で問題はありません」

「ゲーム上は、わかるよ」

「…そして人事的には、うちの店から指導目的で店外に赴任という形で給与を出しておりますので、彼女が居るかどうかはわたくしの気分次第、ということでウェヘヘ」

「…悪い考えだよ…それでバイト代ってどっちに払うのさ」

「もちろんわたくしに、できれば手渡して!」


 最初からこいつを雇わせて裏で糸を引くように出てくる、で、構わなかったのではないかと羽輝はやっぱり思う。

 意味はわからないが、先に出てきたのは自分の存在を見せたかったのが優先だったのかなぁと、うっすら理解もしかけていた。


「あっちにも手間賃くらいは出さないといけない気がしてくるんだけど…どうしたらいいんだろうこの気持ち」

「ない袖は振れませんよ、羽輝ちゃん」

「…言われると思った…」


 あくまで出せるのは一人分。

 思惑はそれぞれだが、方針は決定したようだ。

 已御、みなと喫茶採用である。

 

「…なわけで、最後にチームメンバーのポジションですわね」

「オフィシャルズの既定人数は出場メンバー5名、サポート及び予備メンバー1名づつ、予備をおくことについてだけは絶対ではないです」






 ここで、彼女たちが参加しているゲームのルールと設定を挟みたい。

 

 このゲームの話の発端は、アキバ老朽化からの再整備計画という事業から始まる。

 高架、および駅の老朽化から始まる鉄道施設の大規模拡張が国主導で決定し、かなり大きく駅内商業施設として区画整理、そして整備されることが決定。

 それに付随して、落札した建設会社グループが全体のうち2か所の新しい駅改札口横に、改札の内外どちらからでもアクセスできる立地の出店権利もいただいたらしい。



 具体的には地下4階の都営地下鉄接続連絡路と、高架から直接伸びる大型家電店の直接接続口である。

 この建設会社は、それを宣伝に全振りで飲食店に無償提供すると宣言。

 さらに1年かけたゲームを開催して、その参加者から決定すると大々的に広告をうった。


 参加はアキバの特徴的名所として顔とするため、メイド衣装のコンセプトカフェのみに限定。

 3Dモデルの測定、提供と人数が足りているなら全国どこからでも参加登録の制限はなし。

 ただし今現在でそのスタイルでの営業を行っている店舗でなければ参加登録はできない。

 そこから人数分のヘッドセット、コンソールは貸与可能で、ネット環境だけ万全なら全参加者クラウドゲーミング環境で格差は極力最小限に留める。

 そして、試合に臨む操作の場所は各店舗で行ってよい。

 罰則や禁止事項などの規定を示した参加同意書にサインしたうえで、これ自体もかなり分厚いが、ひとまずこんなものだろうか。

 

 登録店舗は、そこから人数が最大6人以外はフリーの2~6チーム参加の集団戦への参加が決定。

 プール帯と呼ばれるこれは必須であり、一定期間は調整を含めてここを避けることはできない。

 視聴者の心無い愛称「公営プール」で順当に戦える存在になると、上位への昇格が申請で可能になる。

 10勝、100戦での勝率、投票が主要な昇格方法。

 そのうち投票というのは、定期的な視聴者による全参加者対象の人気投票である。

 最初期は10勝の勝ち抜け昇格があったが、勝利者の多さ、昇格チームの多さなどから日程調整に問題が出てきており、今は人気投票からの昇格のみ、10勝は投票で完全な不公平の声が上がらないように参加店舗アピールタイムの条件と化している。

 降格の条件が緩いせいらしいが。




 なお投票は、ゲーム内でアイテム、メインの銃器を入手する購入ポイントに直結しており、人気の重要性は恐ろしく高い。

 勝利時入手のポイントだけでやりくりすると、みなと喫茶のように初期ピストルと弾薬補充、なけなしの初心者救済レーダーだけで戦うことにもなる。

 

 こうして、プールを卒業した皆さんの優勝商品狙いサバイバルレースが、ちらちら名前が登場していた「オフィシャルズ」。

 ここからは完全な点数制で登録店舗1対1対戦方式となり、事前に運営が月ごとに作成する対戦プログラムと日程にしたがってと戦うことになる。


 まれにFPS以外の項目がまぎれるが、これらすべては完全決着式で必ず勝ち負け決めるまで終わらない。

 登録人数もプールより厳格であり、5人が試合参加1人がサポート連絡役、そして予備人員最大3人と最低でも6~9名の所属、および登録が必須条件に変更となり、きっちり登録を行う。

 補欠はいなくてもいいが、その場合試合参加5人から不測の事態で欠けた場合即時不戦敗となる。

 こうして、最終的に期間内で獲得点上位8チームが最終選考として特別対戦を行い、2チームに商品の店舗が無償貸し出しされる予定。



 貸料や光熱費もすべて負担なしで数年保証の見込みで、内装もデザインを指定可能。

 登録料なども必要ない中で、この優勝商品は本当に破格と言っていいだろう。

 こうして注目を集め、費用に足りる何かを得ているのかについては…実際誰も確かなことを言えない謎はある。

 ネットの噂では、そのうちこれを雛型にしたゲームを売るのだろうと囁かれてはいるが…。






 

「………あれ、これでも1人、足りなくないですか已御さま」

「え、このお店全員かき集めて4人で回してますの…?」

「悪かったな」


 1人で回してる時期も半年近くありました。

 見落としがあったと、少し悩む已御。

 そのまま少し周囲を見渡すようなそぶりを見せ。


「妹様、いま、おいくつですの」

「ええと、じゅっさ……ひっ……14です…かしら」

「中学生だぞ、アネ」


 想の態度が羽輝の知るような姿じゃない。

 そして、空気も何か、姉妹というには距離が。

 さらに、妹を説明しようとするたび何かと言い間違うのか、言いまどうのは何なのか。


「それくらいであるなら、アルバイト経験はしてみたいお年ですわよね?」

「……ちょっと待て、何を思いついた」

「妹様を形式上、ここの店員にしまして、ゲーム用アバター作成は一応後回しにしてナビ役として登録、そして実際にサポートを連絡するのはわたくし…という手で」

「多いよ! 急にうち実態と違う虚飾まみれになったじゃん!」

「とにかく次は元プロを引っ張り出してまで勝とうとするうえで有名店ですから、ここに正面から勝てば投票で上位をとれる知名度は間違いないのです、四の五のいってられません」

「やりたい放題だなお前!」

「もちろん羽輝さまのためです」

「…とってつけたようなセリフを…」


 そんなこんなで、たったの数時間で大幅にいろいろ入れ替えられたみなと喫茶は、何か大きなものと戦う使命を背負わされていくのであった。

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