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最強VR-fpsゲーマーがメイドカフェから発見されたようですが今のところ無害です!  作者: くるま


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お酒の匂いがするメイド

「姉様、今日はアタクシが前で」

「華輝、ずいぶんと機嫌がよろしいのね」

「当然ですわ姉様、急に出てきたお上りさんの泣き顔を見るの、これを始めてからの一番の楽しみですもの」


 ビーズ・アンシャンテ。


 少々大人的なところからの特殊な変遷でコンカフェになっている、そんなお店。

 本拠、溝の口には合うような、特殊な特異点のような、不思議な魅力のあるお店。


 店内は飲食店で軽く軽食という形態だがどう見てもキャバ……。

 いや、内装は購入した建物にあった前の業種のものを使いまわしているだけの時もあるのだと、信じよう。

 個室がずいぶん多い間取りっぽいのも、ついでに忘れよう。


 どんな異質なものがあっても、自前の料理がほぼなく休憩所扱いのようになっていたみなと喫茶よりはカフェらしい、これが事実なのだ。


「それでは、諸氏、今日も頼みましたわよ」

「はい」

「もちろんです華輝さん」


 机に向かってゴーグルをつけたまま答える男性たち。

 情報分析担当たちだろうか。


 いや、違う。


 出場する人間が集まっている。

 しかし、出場する人間を見てみると。


『今日は! 連勝街道に乗って6連勝のビーズ・アンシャンテの登場だ! リーダー真(まだ)姉妹と薙出3姉妹という異色の、そして極めて息の合った姉妹ならではのコミュニ! ケーーション!』


 出場は全員女性。

 そういうことになっている。


『口数少なくとも素晴らしい展開を見せる薙出姉妹と堂々の制圧で威圧を見せる真姉妹、この魅力にやられない男はいないかもしれない!』


 指示が通信オフのままリアルでやっているので、そりゃあ口数は少なくなる。

 そもそも、声を出したらバレる。

 そのために、ちょっとした一言は放送に乗せるように録音しておいて、3姉妹担当がたまにそれを流す。

 インタビュー用に、一人は奥の部屋で待機もしている。

 指示役担当として、まぎれていることもある。

 生存人数の報告しかできない程度の役目であるが。

 


 と、これがアンシャンテの基本戦術であった。

 常連からのネットワークでゲームに強いだれかを集めて参加させ、口止めと報酬はしっかりと出す。

 もっと言うなら店員の3姉妹というのも、宣伝だけで実際は戸籍からして、かかわりがない人たち。


 勝てばいいのである。


『参加店の中でもなかなか珍しい、お酒のメニューが多く参加紹介でも年齢の制限があるメニューについての注意があるなど、アンシャンテは自慢の店内コスも含めて大人な雰囲気を持ったお店!』


 裏表がしっかりしているところも。


『そーしてこちらも快進撃! 先日はみんなの度肝を抜いたスナイプ精度で圧勝した、今回のオフィシャルズ新参加組、みなと倉庫喫茶! どちらがその加速度をさらに増していくのかぁ!?』


 みなと喫茶も、人気はもちろんある。

 急増中と言ってもいいが、やはり店内用メイド服の特徴のなさの問題など華やかさに差は出る。

 そして、当然言われるだろうこと。



 ワンマンチームである、と。



 試合の特徴を見れば、誰でも言うことである。

 たまに姫乃、そして新参加でゲームに詳しい、しくるが活躍する場所も出たりはしたが。

 今までの試合の履歴を見て、数値化すると羽輝全キルの割合だけでも多すぎる。

 そう見られて、研究もオフィシャルズではされていくのだ。


 つまり…。


「あなたたちは、あの店長をしっかり追い立てて隠れられないようにおびき出すのよ?」

「大丈夫ですよ、大半のチームメンツがザコなぶん楽な部類の相手です」

「油断してヘマは、しないでくださいませね…ここで完全勝利して相手の顔を見ることが楽しみなのですから」

「相変わらずでございます」


 笑っている男たちと、早くもかなり上機嫌の華輝。

 横で眺める姉妹の照光(てるみ)も、口には出さないが同じようなもの。

 ある意味、雰囲気はいい。


『それではバトル!開っ!始!!です!!!』


 そのまま開始される試合。

 そうそう試合に大写しになるのは、アンシャンテ。

 見ざるを得ない、大手デザイナー作という半透明を多く使った何とも言えないメイド服。

 半透明部分をある程度の露出と考えてみてしまうと、メイドの名前をした夜の世界の制服としか思えない。

 ぶっちゃけてしまえば。


 真姉妹がそれで、他の店員はまた違ったデザインだが、スカートのかなりが半透明なのは変わらない。

 観戦者大興奮である。

 中身を見てしまうと男性だが、VRといえ声が伴わないうえに歩き方はキー操作であり操作者の特徴などは出ない。


 実に楽しそう。


 みなと喫茶側は、序盤見せるような見せ場がないのはいつものこと。

 ワイプと全体マップでも移動コマ表示で軽く扱われている。


 そして。


 真姉妹は武装がまた特殊。

 見せ場優先というわけではないはずだが、華輝は設置しないと射撃ができない大型ガトリングガン。

 照光は機動隊かという大型の透明シールドからの連続手りゅう弾、スタングレネードなどの投擲メイン。

 どのみちこの姉妹、癖が強い。


 そして、今回の戦場マップとして選ばれたのは上田城。

 長野県の観光地で過去に大部分焼けてしまった…言うならば城跡である。

 現在は公園となっている場所。


 起伏と門など一部の建物が多めなだけの野外サバイバルゲームといった状況だろう。

 ゲームとしては、これに過剰なまでの桜を咲かせて視界と遠距離狙撃の邪魔になるような変更などを行っている。


「範囲…この櫓というものを中心に公園を広く戦場にさせるマップでよろしいかしら、小」

「この建物は中に入れないですね、障害物としてしか使えないとみてよろしいと思います華輝さん」


 華輝はおもに、対戦中に子飼いの男たちを「大中小」で分ける。

 名前で呼ぶのはさすがにあり得ないので、三姉妹の設定のガワを指して姉から順に大中小である。

 男たちはマイクに声が乗らないようにオフのまま、リアルに声が届く範囲から喋るだけだ。


「相手、スナイプが一番怖いでしょうから見通しのいい通路に出るときはワタクシが先に出てもよろしくてよ?」

「照光さんはどうぞ、華輝さんのガードに徹していてください、すぐ終わります」


 男たちもFPSうまいとあちこちの伝手で呼ばれた強者。

 おびき出した後に防御と火力に極振りの姉妹が整えた状態で待ち構えていれば、相手がだれであれ分が悪いということは起きない。

 理論はかなり完ぺきだった。


 …とはいえ。


「閃光弾です!」

「では引き込みよろしく」

「…すみません、撃たれ…ました」

「中、あなた…まったく!」


 早すぎる。

 計画がうまくいかないことに、華輝は露骨に顔に出るほど不快感を出していた。


「…え」

「照光、どうしたんです」

「いえ…」

「は…いえ、なんで…?」


 真姉妹の照光、そっと、そのままコントローラーを置く。

 それを華輝が見たのか。


 いや違う。


 ゲーム内の照光が急に倒れたからだ。

 何かわからない間に、華輝の画面もカメラの位置が変わり地面が映る。

 倒れた…いや。

 仕留められた。


「な、な、なんですのお!?」


 映像ゴーグルを外して、意味が分からないまま放送をスマホで探し出す。

 見つけた時には…もう…。


『決着! 決着だ!!! 今度は変則編成で度肝を抜く勢いで、みなと倉庫喫茶、オフィシャルズ無敗の快進撃が続いているぞー!!』

「…は? 何が起きましたの?」


 とりあえず敗因の一つは、まだいいだろうと男たちの声をしっかり聴くため、ゲーム音声を聞いていなかったこと。

 それだけではないが、いろいろと…積み重なったものであった。

 




「いやぁ、実際何だったんだろう、これ」

「ゲーム内マネーが急に増えて好きなことができるようになったと思ったら、銃いらねえよって何言ってんだと思ったけど…」


 想と玲が、絶妙に腑に落ちない顔をする。

 この二人、もはや狙うのをメインにせず、指示役からのマップ指示を受けて定点に閃光弾、煙幕弾を投げるという、カバンいっぱいの爆弾魔と化した。

 何かを探すような行動を見せる敵の散り方を見て、ひたすらフラッシュグレネード投げて引っかかるの待ちというひどい戦法が当たってしまったのだ。

 なお、その警戒していた精度の高いスナイパーであるが…。


「それとですね、なんで店長はその使い古したピストルなんですか」

「いやだって…」


 羽輝、そもそもスナイパーをやめていた。


「心の奥でなんか聞こえる気すらするんだよ、そんなことして面白いのか、やっちゃダメなことをしているぞてめーって…さ…」

「言ってるの誰なんだよその口が悪い具合…」


 玲からすれば、誰かに言われた言葉が残っていて夢に出てきたとしか思えない。


「羽輝ちゃんの別人格が口が悪い人間だったりしたらどうしようねえ」

「姫乃さんがすごいテキパキしゃべる人になったら驚くのと同じくらいのリアクションはできると思うよ…」


 食い気とふわふわの印象が強い姫乃。

 夢の影響か、しっかり強そうな感じがするひめと呼ばれていた姫乃の顔がたまにちらちらする羽輝。

 これでいてなぜか足は速く、今回も一番先行して一人仕留めたりもした。


「今日は相手がよかっただけと思って、すごいですけど気を引き締めてくださいね!」


 戦術役、そしてゲームのクセや特徴などを利用できるくらい詳しい人、しくる。

 今回も、役割分担の案を出したのは、しくる。

 事前打ち合わせと買い物のあとから羽輝が使わないと言い出したので威力のある銃は用意できなかったが、むしろ功を奏したのかもしれない。


「もしかしたら、本当に、長所を出し切ったらこのチーム強いんじゃありませんかしら?」


 最後に、しくると同じ東京組にしてトラブル担当、已御。

 お嬢様タイプと見えて、料理と見極めにわりと多芸。

 しくるによると、人を見る目は絶対間違いないと興奮して言われた。


「けっこういいとこいけるかもねえ」

「…いえ、優勝間違いなしでないと困りますが」

「まぁまぁ、ゆるく勝てれば勝つでいこうよ」

「もうちょっと覚悟というものを!」


 なんだかんだ、こっちも雰囲気はよくなった。

 ちなみにこれも、すべてゲーム内通信で各々は別のところから参加している。

 羽輝は自室、しくると姫乃はお店の机を片付けて店内にスペースを作って。

 已御はホテルの部屋、玲と想は自宅の居間あたりから。


 それなりに、それなりに。

 場所が違えど、気持ちがだんだん目標に向かって強くつながってきている雰囲気に、みんな笑顔で感じていた日だった。

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