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最強VR-fpsゲーマーがメイドカフェから発見されたようですが今のところ無害です!  作者: くるま


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鳥になりたかったらしい  ─異世界 そのさん─

「村…とまでいかない集落といった感じですが、作られた施設なのか、住む住人なのか、あきらかにそれを狙った痕跡としか言えませんね」

「残り火があるのを見ても、確かに数日は経過していない現場というべき場所かもしれません…」

「生き残りは! 生き残っている方はいないのですか! 調べるより先にまだ助けられる方の確認を!」

「これが言えるの、この世界にヒメくらいなのが悲しいやらやる気が出るやら…」

「我に感謝するほうが先だと思うんだけどなあ」


 全員、見事にマイペース。

 仕事するヤツ、まず命の心配をするヤツ、見てるだけのヤツ、自分しか見えてないヤツ。


 しばらくそれを止める者がいないまま、時間がおのおの過ぎていったころ。

 イシカが、ほかの1人1人に寄っていって、口に指をあてながら方向指示しているのが見えた。


 喋らずついてこい…だとはおもうが。

 見える範囲に全員いるな。

 誰かが危機、または特別な行動してるのを尊重したいわけではないのか。

 敵がいる雰囲気でもない…。


 なんだろうか。

 そろって行ってみる。


 ちょうど、焼け落ちた何らかの建物の向こう側になっている影。

 何かがあるのかとのぞき込む。


「墓……?」


 盛り上がった土と、棒が等間隔で立ててあるのを見て直感したのはそれ。

 少し離れて、枯れ草に包まるように寝ている子供もいた。

 この子たちが弔ったのか。


「生き残りがいたのですね、これで目撃の証言は取れます」

「イシカ…いいの、この子たちはただ保護して学校に行ければいいの」


 姫乃さんの甘さ、というより優しさと表現したいそれは、周囲の意見をことごとく黙らせる効能があるらしい。

 黙ってそれに賛同するよりない力がある。


「この集落の扱いは決まったようですね、ただ…」

「なんだねディータくんのほうは」

「羽音です」


 水を差すのかよと言いたげな私を事も無げに流して、何かを察した模様。

 羽音?


「何をしてるンだぁ、お前ら!」

「リノートの兵隊さん、おはようございます、ヒメです」

「ノマルです」

「その他の無害な観客です」

「…えぇぅぇ!?」


 空から出てきた、羽の生えた人が、言うなりドン引く。

 ファンタジーな世界の典型みたいな夢でいいやね、天使みたいな姿の兵隊。

 おそらく名乗ったノマルに驚いたのだろう、イシカも何かでかいことを言っていたし。

 近くで寝ている子がまだ起きないので、ちょっと誘導して、離れてこっちも事情聴取。

 ヒメの効果かノマルの効果か、ちょっと悪そうな最初の態度もすっかり消えて従っている羽の生えたひと。


「…リノートでも破壊があった?」

「国境警備としては踏んだり蹴ったりですし、あなたたち関係ないンですよねえマッタクモー」

「あたしらに対してよく言えるな」

「イエスミマセン」

「それに、君らが怪しいからこっちにわざわざヒメが来てんだぞ? きみらメタワンの呪霊樹食おうとするだろ」

「…それらしい命令はありますから探してはいましたけどね、マッタクモー」

「やめるように言っといてよ、体に悪いと思うよあれ…まったくもお」


 詰問しているようで、案外打ち解けるの早いな、こいつら。

 どうにも国境近くで、相手の国も関係ないと主張していて、被害は広い…と。

 あとは、たびたび出てくるメタワンってワード…いい加減何なのか、見てみたいなぁ。


「…あんたがいるならむしろ都合いいか、リノートの領地、これから入るからね」

「リトに入国権限などはマッタクモッテ!?」

「完全に無視して入ったわけじゃないってイイワケにあなたを使うわけ、ま、悪いようにはしないわよ」

「ヒキョウデスー」


 鳥の人に言いたい放題言って、挙句に私とノマルが利用すると言い放つ。

 無敵かよこいつら。


 いや私じゃねえか。


 …まぁ、そんな中でも。

 そういう断りを一応入れてから…。

 今度は! などと言われてノマル式の移動と探索能力を、一応信じて任せるわけであるが…。


 埋まる。

 森を切り抜いて木々を伐採した上に出る。

 空中に放り出される。

 湖の中。

 地下水脈の中で死にかける。


 飛んだ場所の8割、いや9割はまともではなかった。


「…何か、言い訳があったら聞こうか」

「いや、出る場所見えないのに高さの調節なんてカンでしか出来ないんだから、こうなるってぇ」


 うーわ。

 開き直った、こいつ。


「それ以上に、なんで歩けてないんだよ、君は」


 ふらふらと、近くの木にぶつかりながら歩いているノマルを見て、私が渋々突っ込む。

 突っ込んだら負けかなと思うくらい、なんかお笑いでよく見るやつに見えたからだ。

 メガネメガネって、あれ。


「ワープの使用から、ずっと視界を古龍のオーラ感知に変えてるんですけど、全然慣れなくって…」

「相変わらず何言ってんのかさっぱりだな」


 ほんとうだよ。


「近くから、結構パワーが出てる反応は見えてるんですよ? ほんとですよ?」

「いや! 目の前にいるわい!」

「危ないですよ!!」


 ふらふらとノマルがしているのに気を取られすぎていたのか、その先に大きな人型のものがいるのを全員が見逃していた。

 そんな、見えないフリできるデカさじゃないが?

 「それ」が、いかにも専用に作られたようなハンマーをノマルに振り下ろそうとしていた。

 話に聞く、鎧を着たオーガ、まさにそれ。

 ノマル直撃の距離だが、イシカがギリギリのところで間に入り、盾で受け止める。


「近接はむりだよぉ、2人とも」

「わかってます」

「おまかせを」


 ディータ、イシカがそのまま、ふたりでノマルを運ぶ。

 それを見るか見ないか、というタイミングで、私が一発、おそらく銃を打ち込んだ。

 いつの間に持ってた。


「ループ型の集中性中性子線弾頭でナマモノが吹き飛ばないわけがないんだから、まぁ初手で羽輝のか…」

「うてる様もはなれて!」


 いや、ピンピンしてるぞ相手。

 何かオーガというのの体で爆発があったように見えたけど、効果が弱めなのかな。


「いきなりで何使ってんだポンコツ!悪魔!羽輝!」

「お前に言われたくない!」


 運ばれて、降ろされたとたんに暴言を吐くノマルと受けて立つ私。

 仲良くしようという意思は…まぁ手段と常識度が違うならないか…。

 いや、むしろノマルってファンタジーの世界の人なのに、中性子弾頭が核爆弾だって知識あるの?

 おかしくない?


 まぁ…夢だからか。

 …いや、私にもそんな知識あったかな…どこで知ったの私。


「周囲の奴らは、私たちでもなんとかなりそうです」

「ヒメにだけ危害が及ばないようお願いしますようてる様!」

「私だって戦えますが!」

「…むしろ単純物理は、よく効いてるのかよ」


 これもまた、いつの間にか草陰から出てきたオーガの取り巻きのようなやつら。

 ディータもイシカも、ノマルと途中から居るリトも、自分が倒れない程度には戦えている。

 より単純な武器のほうが効くのかと、私も自己鍛造レールガンで一番大きいオーガをけん制する。

 ヒメは…戦うのもできるのだろうが、持久戦を踏まえてか支援と回復のほうをメインに呪文を使っているようだ。



 こちらとしては、正直なところはノマルの動き次第とみて手加減している気がする。

 もっと言うと、ノマルと私でどちらが本気ででかいの相手するかを探っている感じが伝わってくる。

 私が後先構わずやるとしたら、えらく広い範囲もろとも吹っ飛ばすことになるから後腐れがある。


 これはたぶんノマルもそう。

 どっちが最後にやっちゃいましたごめんなさいと頭を下げるかの、面倒の押し付け合いである。

 要するに。


 たぶん両方とも「こいつ早くぶちぎれて手早く終わらせないかな」とおもってるわ、これ。


 もうちょっとみんなが広がったら、私が先にやるかなこれ…?

 そう、思いかけたあたりで。


「あ、あなたたち! 危ないわ、ここに居ちゃだめだよ!」


 姫乃さんが叫んで、走っていく。

 少し走って、近くの木の前でしゃがむ。

 なんだろう?


「ごめんなさい、一度みんな、引いて下さい!」


 見ると、その先にちらりと見えるのは、子供。

 あれ?

 さっき寝ていた、あのお墓の前にいた子に見えるけど…。

 おかしいな。

 おかしいが、まぁ、捨てとけと言えるやつはいない。

 姫乃さんの言うこと優先にするだろう。


「その前に…っと!」

 口と顔に、私がレールガンを集中させる。

「鳥のヤツ! オーガの足元の、拾ってから来てよね」

「ナニイッテンデスカー!!!!」


 さらに打ち込み、ひるませると同時に、手でかばおうとしたのに合わせて、すこし欠けていたように見えた爪にもレールガン数発。

 爪が割れて落ちてきたのを、おまけで鳥に拾わせるプランだ。

 たぶんできるだろ。

 で、子供がいるんじゃ、無差別な範囲に焼けないから仕方ないよな。


 そうしていったん、その場を退却することになった。

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