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南太平洋戦記-間に合った世界  作者: 鴨下英二
第2部 マッカーサー・キャンペーン

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第2部 マッカーサ―・キャンペーン 第2章 海兵団

ソロモン海上 高度2000m 日本海軍輸送機上

1943年 10月10日 深夜1:25


 機内は灯一つなく闇となっている、窓から差し込む星明りで物の輪郭

は朧にわかる。煩かった発動機の騒音も慣れてきた。

 多少なりとも眠っておこうと北丹鉄次郎2等水兵は瞼を閉じた。

しかし、生まれて初めて乗る飛行機という存在は彼の神経を興奮させ、とて

も眠れるものではなかった。


 鉄次郎は、丹後半島の付け根にある漁村で漁師の次男坊として生を得た。

漁村といっても小字の漁師の家が5軒ほど並んでいるだけで、彼の両親は

漁った魚を干物にして網野の海産物問屋へ卸し、その代価で生計を建てて

いた。

 彼に転機が訪れたのは海軍へ志願した叔父が土産を持って訪ねてきた時に

始まる。

 叔父は、海軍はいいぞ、飯が良い、何より歩かなくても船がかってに進ん

でくれると子供だった彼に吹き込んだ。

 鉄次郎は初めて見る水兵服と別世界の噺はおとぎ話のように聞こえた。

彼の中に何かが宿ったのはそのときであった。

 17歳の誕生日、鉄次郎は舞鶴海兵団の門を叩いた。つもりだった、しかし

彼が叩いたのは海軍工廠の門で、海兵団はあっちだと門の詰所で教えてもら

い海兵団に行き着いた。

 そんな彼が、鍛錬、座学、シゴキと一通り潜り抜け配属されたのは、当時

増強ひとしかった舞鶴第4特別陸戦隊であった。

 雪道を毎日3里も歩いて通学していた彼は、歩かなくてもすむ海軍を選んだ

のに、これでは詐欺にあったように思えた。


 舞4特戦隊が出征した時に、彼は盲腸炎併発の腹膜炎で海軍病院のベットの

上で苦しんでいたため従軍することが出来なかった。

 やがて、鈍い音と衝撃、ゴトゴト走る滑走路の荒れた路面で彼の旅は終わっ

た。

 北丹二等水は、ブーゲンビル島のブカ飛行場に降り、舞鶴第4特別陸戦隊に

赴任したのだ。

 飛行場には同期の咲田二水が出迎えに来ていた。

輸送機はエンジンを止めずに、連れて帰る傷病兵を搭乗させていた。

見たところ、戦傷ではなく皆疫病を患っているように見える。

これは、エライところに来た。彼は正直そう思った。



 

 











 

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