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南太平洋戦記-間に合った世界  作者: 鴨下英二
第1部 米軍反攻作戦 

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第1部 米軍反攻作戦 第4章 帝国海軍第2航空艦隊

君島環礁南西100海里 日本海軍空母蒼鶴 格納庫

1943年 11月4日 10:15



 格納庫内は閉散としていた、全ての飛べる航空機は出払っており、艦に残ってい

る航空機は甲板に並べられた直衛機くらいのものだった。

 いや、発動機不調の機体が1機エンジンカウルを取り外されて、整備兵が3人で

調整を行っているのが見える。 

 整備兵詰所へ入り切れない整備兵が壁際におもいおもいの姿で座ったり寝転んだ

りしている。

 柏山一等兵曹は兵員厠から帰ってくると、狭い整備兵詰所に入り将棋を指してい

る同僚の横に置いてある薬缶から番茶を湯呑にそそぎ、音を立てて飲み干した。

自身将棋が趣味なので「おい・・・」と声を掛けた。その時に艦がぐっと傾き増速

を始めた。

「早くねえか?」

将棋を指していた一人が柏山に言った。

「早いな、早すぎる、往復の距離を考えるといくらなんでも・・」

上の飛行甲板からは、直衛機が滑走を始めたり発動機を始動する音が聞こえて

くる。

 艦内の高声器が、着艦用意の放送を告げた。

その時には柏山一等兵曹は走り出していた、ラッタルを登り、途中で同郷の顔見

知りの航海科の下士官を見つける。

「なんだ?」

「制空隊の帰艦だ、かなり手前で対敵したらしい」

それだけ聞くと、柏山一等兵曹は飛行甲板横の整備作業張り出しへ走り出た。

 空母蒼鶴は、基準排水量2万6千トンの船体を風上へ向けて爆進していた。

上空では帰艦してきた数機が既に船体の周りを廻る着艦待機旋回を行っている。

 優先順位は、残燃料の無い機、戦傷機の順となっている。

 一番に着艦したのは、翌端が欠けている陣風21型だった。

 揚力が足りないためか、一度バウンドしたがなんとか着艦に成功している。

その後ろでは早くも次の機体が着艦コースに載っている。

甲板に飛び出した柏山は他の整備兵と一緒になって機体を押して着艦の邪魔に

ならないように右舷側へ押していく。

 日本海軍の標準空母の翔鶴型空母である蒼鶴は、飛行甲板が242メートルも

あるので、かなり空間に余裕があるが、陣風のように機体が大型化するとかな

りやっかいで、寄せた後は素早く艦首付近の駐機場所へ移動させねばならない。

 降りた一番機は早くも前部エレベータに載せられてチンチンと警報音を鳴ら

しながら格納庫へ下降していく。

柏山一等兵曹は2番目に降りた機と一緒に格納上甲板へ降りた。

 彼の戦争はここから始まる。

1番目の機体は修理に時間がかかるため艦首側の隅に寄せられて固定されて

いる、2番目の機体は直ぐに整備兵が取りついて不具合が無いかの点検を始

める。

 そのときには、上から燃料と弾薬の再装填の命令が下りてきた。

あちこちで、燃料補給、武器再装填の復唱がおこる。

 柏山の役目は、降りてきた機体の仕分けー再飛行可能か整備後回し、ようす

るに直ぐに飛べないかを見極めることにある。

 厄介なのは、次に甲板に機体を上げるまでの時間で、飛べるように修理でき

るが、それに技能と手間がかかる機体である。彼はそれを受け持つ事になって

いる。

 5番目に降りてきた機体がそれだった、操舵の不具合、ただどこが問題なの

かが判らない。後ろに立っている権藤整備兵曹長に、頼みますと一声かけると

柏山はその機体に取りついた。

 操縦席に座る整備兵にあれこれ、操舵を動かさせ、その状態を見て、当たり

を付けた箇所の点検口を開けのぞき込む。

 懐中電灯であちこち照らしていたが、ああここだと言って手を肩まで入れて

確認する。

 エレベーターはチンチンと警告音を響かせて次々に機体を格納甲板に降ろし

てくる。

 格納庫は騒然として、修羅場めいてきた。



 




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