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第34章 応答なき神殿
扉は開いていた。
誰も通らないはずの道の先、
かつて神と呼ばれたものと人とが向き合った場所。
その中央には、
何もなかった。
像は朽ち、
香は絶え、
祈りの声は遥か昔に消えていた。
それでも、
空間だけが残っていた。
ノアは、
その中心に立った。
空気は澄んでいた。
だが、冷たかった。
かつてここで誰かが
何かを問い、
何かを信じ、
何かを待っていた。
いま、
その痕跡だけが、
石の床に沈んでいた。
キューブは、
何の反応も示さなかった。
それが、
この空間の状態を
静かに伝えていた。
応答はない。
だが、
空間はまだ、
問いを拒んではいなかった。
ノアは、
一歩、
奥へと進んだ。
音のない足音が、
かつて交わされた問いの残響と交差した。




