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第25章 手放された始まり
新しいものは、
どこにもなかった。
生まれるはずだった芽は、
踏まれることもなく、
誰にも気づかれず、
ただ、
最初から無かったかのように、
土に還っていった。
人々は、
新たな何かを求めることをやめていた。
何かを始めること。
何かを望むこと。
何かを生み出すこと。
──それらすべてを、
手放していた。
ノアは、
かすかな土の匂いに足を止めた。
芽吹く音も、
息づく気配も、
どこにもなかった。
キューブは、
静かに脈動していた。
だが、
それすらも、
この世界では異物だった。
ノアは、
何も言わず、
そっと一歩を踏み出した。
始まりの気配を
失ったままの大地を、
静かに、
踏みしめながら。




