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第15章 効率だけが許された村

冷たい風が、

乾いた地面をなぞっていた。


ノアは、

小さな村に辿り着いた。


村は、

静かだった。


無駄なものは、

何一つなかった。


家々は、

寸分違わず同じ高さ、同じ色。


道は、

最短距離で結ばれていた。


人々は、

立ち止まらなかった。

振り返らなかった。

言葉も交わさなかった。


ただ、

必要な動作だけを、

必要な速度で、

繰り返していた。


村の中央に、

一枚の石板が立っていた。


そこには、

たった一言だけが、

刻まれていた。


「効率こそ、善。」


ノアは、

その前で立ち止まった。


右手で、

軽く砂をすくい上げる。


細かな粒が、

指の間から零れ落ちていった。


誰も、

それを見なかった。


誰も、

気に留めなかった。


この村では、

立ち止まることも、

零れるものを拾うことも、

許されていなかった。


ノアは、

何も言わず、

静かに歩き出した。


指先からこぼれた砂は、

風に乗って、

誰にも見られることなく消えていった。


だが──

誰にも気づかれぬまま、

村の片隅に、

微かに、

風の溜まりが生まれていた。

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